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黒い翼と出合いと別れ 33

 病院からの帰り道。

 掟は琉哉と並んで歩いていた。


 ――標との会話の後、結局琉哉は巡け取ったハンカチは使わずに返し自らの手で乱暴に目を擦ると、

「それじゃあ、帰るね」と言い立ち上がった。


「えぇー。もうちょっと話そうよ」

 口を尖らせて標が言う。


「標、我が儘を言って困らせてはいけません」

 巡が窘める。


 どちらが上か分からない会話である。


「だってー」

「いやほら、いつご両親来るか分からないし」

 琉哉が言う。


「じゃあそれまでいてよ。親に紹介するから」

「何言ってんだお前」


 今まで標と琉哉の会話に口出しをしなかったが、思わず掟は口を挟んだ。


「何と言って紹介するつもりですか」

「んー、『同じ病気の友達がいたお姉さん』とか?」

「最悪の紹介です」

「そこまで!?」


 巡は容赦なく言い標は涙目になる。が、この会話は縞朔兄妹にとって日常茶飯事である事を掟は知っている。

 知らない琉哉は立ったまま狼狽えていた。


「俺も帰る」

 言って掟は立ち上がる。


 標の親に会っても今は気まずい。


 と、掟の方を向いた琉哉の顔にまだ乾いていない涙の跡を見付けた。

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