黒い翼と出合いと別れ 24
「……先生」
標は原八木を見て、ある事に気付いた。
「それって、結局は琉哉さんの友人と僕を同じに見ている、という事になりませんか」
その言葉に、原八木は弾かれた様に顔を上げ、標を見た。
「同じ病気を抱えた人間だから、もしかしたら僕も同じ行動を取るかもしれない。そう、思ってるんじゃないんですか」
「そんな事は――」
「ないと、言い切れますか」
畳み掛ける様な標の言葉に、原八木の声はかき消された。
「……もう一度、琉哉さんに会わせてください」
標は言った。
「僕は琉哉さんの友人と同じ病に罹ってはいるけど、違う人間です。……危うく忘れる所だったけど」
そして標は掟を見た。
「掟も、いいよね」
「反対しても無駄だろうしな」
成り行きを見ていただけの掟は、そう言う事しか出来なかった。
原八木は二人を交互に見た後、
「……何かあったら、その時は止めるからね」
とだけ言うと、疲れた様に病室から去って行った。
「止められるかと思ったのに、拍子抜けだな」
掟は病室の扉を見つめて言った。
「それより掟。明日、お姉さんをここに連れてきてくれる?」
「いきなり過ぎだろ!!」
掟が叫ぶと、そうかな、と標は首を傾げた。
「いつまで話ができるか分からないし、お姉さんとはちゃんと話をしておきたいんだ」
意外にも標は真剣な眼差しを掟に向けていた。
「……分かったよ。連れてくればいいんだろ」
掟がそう言うと、標はいつも通りの笑みを浮かべた。




