黒い翼と出合いと別れ 14
「高二の時だから……三年位前かな」
と、昔の事を思い出そうとしているのか、感情を無くした様な顔で、琉哉は語り始めた。
「その人とは高一の時同じクラスになった。最初のきっかけは忘れたけど、よく話す様になって、家にも遊びに行く様になった。……それが、高一の冬までの話」
そこで、琉哉は標に視線を向けた。
「高二の春、彼女が急に学校に来なくなった。病気だと言う話を聞いて見舞いに行こうとしたけど、面会謝絶だと断られた」
「……『黒翼症』だから」
標の呟きに、琉哉は頷いた。
「見られたくないと思ってたのかも知れない。……その時は病名なんて聞かされてないから、普通にすぐ退院するものかと思ってた。でも、何週間経っても、彼女は学校へは来なかった」
琉哉は言う。
「電話も繋いで貰えない。手紙を出した事もあったけど返信もない。渡して貰えたのかさえ分からない。正直、彼女は病気のせいで、もう意識さえないんじゃないのかと思ってた。……そんな時、急に、彼女本人から電話があった」
その時の事を思い出したのか、琉哉は一瞬辛そうな顔を見せた。
が、二人の視線に気付き、無表情に戻る。
「……彼女は『さよなら』と言って電話を切った。……そして、私が病院へ駆け付けた時にはもう、彼女は病室の窓から飛び降りた後だった」
そこまで言うと、琉哉は口を閉ざした。
そのまま、二人が帰るまで、もう昔の事について一切口を開く事はなかった。




