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黒い翼と出合いと別れ 1
注意※携帯で投稿しているので一話がかなり短いです。
――硲野掟が友人の縞朔標に呼び出されたのは、中学を卒業した数日後の事だった。
場所は市内の病院、その病室だった。
卒業式には参加していた。その後の祝賀会にも。あんまり美味しくないね、とこっそり言いつつ楽しそうに食事をしていたのも覚えている。
一体、どうしたというのか。
「あ、来た来た」
中に入った掟にぱたぱたと手を振る標は、病気や怪我をしているようには見えない。
「てゆーか個室かよ」
呆れた風に掟は言い、ベッドの横に置いてあったパイプ椅子に座った。
「すごいよね個室。バストイレ完備」
入り口横の扉を指差して、標ははしゃいでいる。
「……お前、怪我かなんかしたんじゃないの? すっげー元気そうなんだけど」
掟がそう言うと、標はぴたりと動きを止めた。
「実は、その件で掟を呼んだんだ」
標は掟をじっと見つめ、言った。
「ねえ掟。『黒い翼』って知ってる?」