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夏のホラー 短編

怖い音アンケート

作者: 空色
掲載日:2026/07/18

「──友恵(ともえ)さ、『怖い音アンケート』って知ってる?」


 オカルト好きな友人・鈴花(すずか)が不敵な笑みを浮かべて私に問いかける。


 ──あー、また新しい話を仕入れたのか?


 その時の私はその程度の感想しか持たなかった。彼女がオカルト系の話を仕入れてくるのはよくある事だった。


「どんな話?」


 私が鈴花に尋ねると彼女は嬉々として話し始めた。

 鈴花曰く、最近『怖い音アンケート』という都市伝説が流行っているらしい。


「家のポストに一枚のチラシが入ってるの、『あなたの音はなんですか?』って。そのチラシに記載されたQRコードを読み取るとアンケート画面が出てくるのだけど、その画面に沿ってアンケートに答えていくと──何か恐ろしい事が起こるのよ!」 

「で、肝心の()()()()()()()については分からないって?」


「そうなのよ!」と鈴花は酷く残念そうだったが、その時の私は笑って聞き流した。


 ──その話を聞いてから数日後


「──何これ?」


 私のポストに一枚の紙切れ──チラシが入っていた。私はそのチラシに印字された字を見て、怖気が走った。

 チラシには『あなたの怖い音は何ですか?』の文字が大きく書かれていたのだ。余りにもタイムリー過ぎる。


「悪い冗談!」


 ──もしかして、鈴花のイタズラ?


 しかし、彼女が今までこんな手の込んだイタズラをしたことは一度もない。

 私はチラシをもう一度じっくりと見た。

 文字の下、真ん中に大きくQRコードがあり、更にその下には問い合わせ先として株式会社アノヨエンターテイメントという会社名が記載されている。


 ──落ち着いて見れば、何処にでもあるアンケートチラシじゃない。このチラシ見た誰が勝手に都市伝説として広めたのね。


 季節は夏だ。気味が悪いが、その手のアンケートをする会社がないとは言い切れない。

 ほっとした途端、アンケートの内容が気になった私はスマホを取り出し、QRコードを読み取った。

 映し出される真っ黒な画面。

 暫くする無機質な文字で、『この中で貴方が怖いと思う音はどれですか?』という問が現れた。

 音源は3つ。

 私はそのうちの1つを聴いてみた。


 ──ドン!ドン!ドン!


 ドアを激しく叩く音が流れ、私はビクリと身を強張らせた。音声は短く、私は残り2つも聴いてみた。

 2つ目は足音と遠くで誰かが話す声。

 3つ目は蝉の声だった。


 ──何よこれ、1つ目以外は不気味なだけで怖くないじゃない。


 私は迷わず1つ目を選んだ。


 ──『この答えで間違いありませんか?』


 無機質な文字が表示される。私はそのまま送信ボタンを押す。


 ──『ご回答有難うございました』


 送信後、再び無機質な文字が表示された。

 私は数分間その画面を凝視していた。だが、特に何も起きない。

 ほっと安堵し、私は息を吐いた。


「何よ! やっぱり、ただのアンケートじゃない! ああ、でも鈴花に話すいいネタが出来たし、明日にでも教えて上げよう!」


 私は自分に言い聞かせるようにひとりごちる。その時である──。


 ──ドン!ドン!ドン!


 玄関のドアを激しく叩く音がした。




 ✤✤✤




──その翌日、この様なニュースが流れた。


『──○月△日、大学生の○○友恵さんが自室で亡くなっているのが見つかりました。被疑者は被害者の友人で、警察の取調に対し意味不明な言動を取っているとのことです──』












 

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