怖い音アンケート
「──友恵さ、『怖い音アンケート』って知ってる?」
オカルト好きな友人・鈴花が不敵な笑みを浮かべて私に問いかける。
──あー、また新しい話を仕入れたのか?
その時の私はその程度の感想しか持たなかった。彼女がオカルト系の話を仕入れてくるのはよくある事だった。
「どんな話?」
私が鈴花に尋ねると彼女は嬉々として話し始めた。
鈴花曰く、最近『怖い音アンケート』という都市伝説が流行っているらしい。
「家のポストに一枚のチラシが入ってるの、『あなたの音はなんですか?』って。そのチラシに記載されたQRコードを読み取るとアンケート画面が出てくるのだけど、その画面に沿ってアンケートに答えていくと──何か恐ろしい事が起こるのよ!」
「で、肝心の何が起こるのかについては分からないって?」
「そうなのよ!」と鈴花は酷く残念そうだったが、その時の私は笑って聞き流した。
──その話を聞いてから数日後
「──何これ?」
私のポストに一枚の紙切れ──チラシが入っていた。私はそのチラシに印字された字を見て、怖気が走った。
チラシには『あなたの怖い音は何ですか?』の文字が大きく書かれていたのだ。余りにもタイムリー過ぎる。
「悪い冗談!」
──もしかして、鈴花のイタズラ?
しかし、彼女が今までこんな手の込んだイタズラをしたことは一度もない。
私はチラシをもう一度じっくりと見た。
文字の下、真ん中に大きくQRコードがあり、更にその下には問い合わせ先として株式会社アノヨエンターテイメントという会社名が記載されている。
──落ち着いて見れば、何処にでもあるアンケートチラシじゃない。このチラシ見た誰が勝手に都市伝説として広めたのね。
季節は夏だ。気味が悪いが、その手のアンケートをする会社がないとは言い切れない。
ほっとした途端、アンケートの内容が気になった私はスマホを取り出し、QRコードを読み取った。
映し出される真っ黒な画面。
暫くする無機質な文字で、『この中で貴方が怖いと思う音はどれですか?』という問が現れた。
音源は3つ。
私はそのうちの1つを聴いてみた。
──ドン!ドン!ドン!
ドアを激しく叩く音が流れ、私はビクリと身を強張らせた。音声は短く、私は残り2つも聴いてみた。
2つ目は足音と遠くで誰かが話す声。
3つ目は蝉の声だった。
──何よこれ、1つ目以外は不気味なだけで怖くないじゃない。
私は迷わず1つ目を選んだ。
──『この答えで間違いありませんか?』
無機質な文字が表示される。私はそのまま送信ボタンを押す。
──『ご回答有難うございました』
送信後、再び無機質な文字が表示された。
私は数分間その画面を凝視していた。だが、特に何も起きない。
ほっと安堵し、私は息を吐いた。
「何よ! やっぱり、ただのアンケートじゃない! ああ、でも鈴花に話すいいネタが出来たし、明日にでも教えて上げよう!」
私は自分に言い聞かせるようにひとりごちる。その時である──。
──ドン!ドン!ドン!
玄関のドアを激しく叩く音がした。
✤✤✤
──その翌日、この様なニュースが流れた。
『──○月△日、大学生の○○友恵さんが自室で亡くなっているのが見つかりました。被疑者は被害者の友人で、警察の取調に対し意味不明な言動を取っているとのことです──』




