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最終決戦  作者: 一宮 沙耶
第2章 超能力者組織の再興

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4話 実験の失敗

私は、竜輝との子供を授かり幸せに浸っていた。

昔から、自分の容姿に自信がなく、まな板のようなバストに生きるのも恥ずかしかった。

体も、マッチ棒のように、女性らしさがない。


竜輝には、こんなバストは見せたくなかった。

でも、私には、竜輝に差し出せるものなんて何もない。

竜輝の子供を産むことぐらいしかできない。


だから、子供ができるように、避妊もせずに竜輝に体を預けた。

子供ができれば、竜輝も私と結婚せざるを得なくなるに違いない。

それが卑怯であることは、私が一番知っている。

でも、そこまでしないと、私が、イケメンの竜輝と付き合い、結婚することはできない。


体だけじゃない。竜輝がいうことはなんでもそのとおりにした。

常に、竜輝を見上げ、頷く自分がいた。

そのかいがあり、竜輝と結婚することができたの。


でも、私のお腹はだんだん、黄色で透明になり、赤ちゃんが見えるようになっていた。

しかも、竜輝の消息が途絶え、相談できるのは両親だけだった。

でも、両親もあまりに異常な状況で、ただ戸惑い、泣く日々が過ぎた。


そんな時、竜輝が通っていたという病院から治療しましょうとの声がかかる。

私は、どうしていいかわからず、竜輝が信頼していたその病院に入院した。


ある日、驚くことに気づく。

赤ちゃんと会話ができるようになった。

看護師さんは気のせいだと言うけど、確実に会話ができている。


お父さんのことや、こんな人に育って欲しいと伝える。

赤ちゃんは、お腹で育ててくれて、ありがとうと言っていた。

赤ちゃんはトカゲのような形だけど、これから人間の姿になっていくのだと思う。


ネットで調べても、赤ちゃんはお腹の中で、しっぽがある時期があると書いてあった。

私は、不安ばかりで、なんでも信じたいという精神状態になっていたのだと思う。

自分が異常ではないと思い込みたかった。


出産直前に、普通分娩は無理と言われ、全身麻酔をして帝王切開をすることになる。

全身麻酔は赤ちゃんに悪影響があると聞いていたので拒否したけど、認められなかった。

ベットの上で、口から麻酔を嗅ぐと、先生が3を数えるのも聞こえずに眠りにつく。


手術当日、全身麻酔から起きた私は、死産だったと聞かされ、大声で泣いた。

子供を見たいと言うと、見せられないと言われる。

お腹から取り出すと同時に、体の膜が破れ、液体として流れ出てしまい形がないという。


竜輝に慰めて欲しかったけど、竜輝とは連絡がとれない。

こんな時に、何をしているの? 私のそばにいて欲しい。


多分、もうこんな異常な私のことなんて愛想が尽きたのね。

窓から外を見ると、木々の枝からは枯れ葉が落ち果て、命の存在感は何一つ感じられない。

これから普通の生活なんてできないと思っていた。


1か月後、日常生活ができるまでに体は回復する。

そんな時だった。陽稀と会ったのは。

こんな汚れた私からみた陽稀は、手の届く人ではなかった。


こんなに異常な私が、普通の人生を過ごすことができるはずがない。

以前よりも、もっと自分に自信を持てない自分がいた。

鏡の前に立ち、どこにも魅力がない自分を絶望的な顔で見つめる。


しかも、私は、人にへつらうことでしか愛してもらえない。

自分というものがないもの。男性の輝きを受けてしか存在感を示せない月のような存在。

だから、いつも、笑顔で、どんなことがあっても男性の期待を受け入れてきた。


そんな私が、更に体も異常だとなれば、誰にも愛してもらえない。

そんな時、あり得ないと思っていたのに、私と付き合おうという男性と出会えた。

私も、やっと普通の人に戻れた気がした。


夢を語る陽稀は私にとって輝いていた。

一方で、そんな陽稀が私のどこが好きなのか分からないことで悩む自分がいた。

だから、どんな時も陽稀には笑顔で答え、なんでも言うことを聞いた。


月に1回は高額のプレゼントをし、旅行も誘ってホテル代は全額、私が支払う。

陽稀がホテルでシャワーを浴びている間、GPSアプリをスマホに忍ばせる自分もいた。

親は、そんな私を心配していたけど、そうでもしないと不安に押しつぶされそうだった。


その頃、鷺宮 凛という女性と出会い、時々、カフェでランチをするようになる。

陽稀とは違い、凛は、悪夢のことを心配そうな顔で、ずっと聞いてくれた。

いつも私を慰め、応援してくれる、とってもいい女友達。

ただ、いつも、私の話しばかりで凛のことはあまり知らない。


しばらくは幸せの日々が続く。

でも、ある日、やっと、私のことを刺した男性の顔をみることができた。

それは、あの子の父親だったの。


私は、死んだ子供の父親の夢でうなされていることを親に伝えた。

そして、彼は今どうしているか聞くと、子供を生んだ直後に、事故で死んだと言う。

その頃は私の精神状態が不安定で、そのことを伝えられなかったらしい。


どうして、あの人が夢にでてくるのだろう。

私があの人を殺したわけでもないのに。

ただ、その頃から、私の体に何か変化が起きていることに気づいたの。


それは、将来のことが予知できるようになったんじゃないかということ。

最初は、私の前に、公園で遊んでる子ども達のボールが飛んでくることから始まったの。

昨晩、そんな夢を見たなと思って公園をみたら、夢のとおりボールが飛んできた。


次に、お父さんの会社が、新しい特許で株価が急激に上昇する夢を見る。

お父さんの会社で新たな特許を取得したことなんて知らなかった。

株なんて興味もなかったけど、夢で見たとおりの株価が新聞に載っていた。


ここまでくると、単なる夢とか言っていられない。

この力は、妊娠したあたりから、だんだん身についたものじゃないかと思う。

その頃、凛から連絡があり、久しぶりに会った。


「実は、今日は別の用事で会いに来たの。」

「かしこまって、何なの? 怖いじゃない。」

「翠は、特殊な能力を持っているわよね。」

「どういうこと?」

「私達の情報では、予知夢をみる能力を持っているでしょう。」

「どうして知っているの?」

「私も、翠と同じで超能力を持っているから。誤解されたくないけど、一番初めに翠に近づいたのは、私も同じ超能力で、悩みを共有できるんじゃないかと思ったから。あなたのお子さんは、私が入っている超能力者の組織に守られている。」

「え、あの子は生きているの?」

「ええ。組織に参加してもらえれば、今はアメリカの研究所にいるので、すぐにはとは言えないけど、会えるようにできると思うわ。」


私は、想定もしていなかったことを聞かされ、呆然とその場で立ちつくした。


「どう? 私達の病院で、これからも検査を続けさせて。」

「私、これから何かあるの?」

「それを調べるの。体調がいいと判断された頃には、あなたのお子さんにも会わせてあげられると思う。だから、希望をもって一緒に進みましょう。」

「あの子と会えるのね。お願い。」

「ただ、一つ約束してもらいたいことがある。超能力者の存在は、普通の人にとって不安そのもので、政府は私達を暗殺しようとしているの。それは翠についても同じ。だから、翠が超能力者だということ、私のことも含めて、他に超能力者がいるということは、ご両親も含めて、誰にも言わないで欲しいの。」

「分かった。それで私の子に会えるのであれば。」

「良かった。分かってもらえて。」


そんな時、ふと、あの悪夢のことを思い出していた。

そういえば、あれも予知夢だったの?

でも、あの人はすでに死んでいる。


それとも、死んだというのは嘘で、今でも生きているのかしら。

私が別の男性と一緒にいることに激怒し、私を殺そうとしている?

でも、あんな校舎はこの辺にはない。

いくら考えても、あの人が何をするのか分からなかった。


ある日、私はびっくりして、その場で凍りついた。

腕や膝、足の裏に、夢で見たようなガラスで切ったような傷が多数あったから。

いつ、怪我したんだろう。全く記憶はないのに。


でも、これって、あの夢の怪我に似てる。

そう思っている間に、背中が腫れてきた。そう、包丁で切り裂いたように。

私は、激痛に苦しみながらも、凛に聞いてみた。


そうしたら、凛は、前から分かっていたように冷静に私に話し始めたの。

これは最初の症状にすぎずに、これを契機に、だんだん私の体が溶けていくんだと。


私は、翠が言ったとおり、体は切り刻まれるようになり、溶けていった。

あまりの苦痛に、病院には、もう命を終わらせたいと伝え、今、何かの薬を投与された。


私の人生って、何だったのかしら。

でも、竜輝と結婚し、子供も産み、陽稀とも出会え、幸せだったかもしれない。

体から痛みは消えていき、意識は朦朧としてきた。


凛は、翠の墓の前でお花を供え、小声で話しかけていた。

お墓の周りでは、枯れ葉が舞う。

カラスの鳴き声だけが遠くまで響き渡っていた。


「翠に近づいた目的は、あなたの症状を調べること。翠には、注射でロボットを入れたわけじゃない。超能力を持つ男性から精子を受け取り、受精し、子供を産んだだけ。そんな女性も、超能力が持てるのか、その後、子供も含めて、どうなるのかを調べていたの。でも、安全が検証されていないんだったら、あなたを巻き込むべきではなかった。私は、自分に自信がないから、部下からいわれたら、なんでも許してしまう。それで、あなたに迷惑をかけてしまった。」


凛は、お墓を正面から見ることができず、供えたお花を見続けていた。


「本当のことをいえば、翠とは、あまり親しくなりたくなかった。だって、今回の結末は、途中で想定できていたんだもの。それを言えなくて、ごめんなさい。未来にいつも希望を託して努力していた翠には言えなかった。今回の結果は、本当に残念。でも、あなたの功績は大きい。あなたの検査を通じて、超能力者との間に子供ができても、母体には影響がなく、子供に超能力が引き継がれるように改良が成功した。あなたは守れなかったけど、許してね。ゆっくり、おやすみなさい。」


凛は、長い黒い髪をたなびかせ、墓地の階段をゆっくり降りていった。

その時、河田さんから連絡が入り、空気感染に成功したと連絡が入る。

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