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最終決戦  作者: 一宮 沙耶
第6章 地球の終末

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2話 アメリカの超能力者

「今井さん、アメリカにようこそ。」


私は、日本で超能力者を全滅させた功績で、アメリカ大統領の側近として招聘された。

アメリカ大統領が用意したプライベートジェットで日本からワシントンDCに到着する。

アメリカの空港では大統領が歓待し、一緒に専用リムジンに乗った。


空港からハイウェイに乗り、北へ進む。

昔、官僚として来た時は多くの先進的なビルに囲まれていたエリアを走る。

その後、ここは超能力者からミサイル攻撃を受け、今は、再開発に向けた更地が広がる。


専用リムジンから降りたところはホワイトハウス。

ホワイトハウスだけは、昔のままで再建されていた。

アメリカの権力の象徴ということなのだと思う。


エントランスで、軍隊の礼砲がなり、敬礼を受ける。

その後、大統領から執務室に通され、アメリカ最後の超能力者について相談を受けた。

ジョンという人が、このままでは周りの人から殺されてしまうと言っているらしい。


政府が自分に安全な場所を提供し、身の安全を保証してくれとの要求だった。

一方で、この要求をのまなければ、先の戦争で製造していたミサイルを使うと脅す。

アメリカ政府は、この要求を受け入れるよう考えていると伝えられる。


「要求に従ってはだめです。1人の超能力者でも残せば、いずれ数が増え、人類の脅威になります。」

「そうは言っても、彼はミサイルで脅している。身の安全を確保するだけで、そのリスクは回避できるんだぞ。」

「アメリカはテロ行為に屈しないのではないですか。」


私は、この要求を受け入れることは、将来に禍根を残すと直感した。

そして、アメリカ政府のキーマンに断固拒否するよう説得に回る。

でも、アメリカでは司法取引の制度もあり、強い反対を受ける。


どこかで隔離しておけば、1人では何もできないだろうという人もいた。

もう、人類は勝利したのだから、今更大丈夫だという意見もあった。

どうして、そんなに楽観視できるのかしら。


ただ、超能力者のために人類がどれだけ被害を受けたのか。

1人を残せば、敵はネズミのように増えていく。

他国に潜伏する仲間と合流し、再び、人類を攻め滅ぼすために戦争となるリスクも残る。


1か月間の説得により、アメリカも、その超能力者を暗殺することで合意した。

日本での超能力者絶滅の実績が評価される。

ただ、大統領が陰で話していることを私は知らなかった。


「あの女性に任せておいて大丈夫ですか、大統領。」

「任せておくんだ。成功すれば、彼女を選任した私の手柄だし、失敗すれば彼女の責任となる。あの女性を調べたら、日本の政府でも、同じように扱われていた。所詮、トップの手駒にすぎない人材なんだよ。」

「分かりました。」


私は、ジョンには、いかにも要求に応じるかのように振る舞いながら居場所を探した。

どこにいるかが分かるまでには、それ程、時間はかからなかった。


早朝、SWATチームを率いてジョンの家に忍び込む。

彼は、ベッドから飛び起き、何が起きたのか分からず佇む。

でも、すぐに状況を理解し、ミサイルの起爆装置を手にした。


「お前達は俺を騙したのか、卑怯な奴らだ。どうして、こんな非力な人を殺そうとするんだ。」

「抵抗はやめろ。手を頭の上にのせろ。」

「俺を追い詰めた代償を受け取れ。」


追い詰められたその超能力者は、道連れだとミサイルを打つ。


「この地球が滅びようと、殺されてしまう俺には関係のないこと。お前達の自業自得だからな。」


超能力者は、最後まで言い切ることなく、頭を弾丸で貫かれた。

ただ、ミサイルを止めることはできずに月に衝突する。

三日月が輝く夜空に、閃光がほとばしった。


数日後、月の軌道が大きくずれ、1年後に、月が地球に衝突することが明らかになる。

大統領は、激怒し、私をホワイトハウスに呼び出した。

ホワイトハウスは地球を破壊する事態に至った私への抗議デモで囲まれていた。


抗議デモに来ていた人々はホワイトハウスに入り込み、私を捕らえた。

抗弁をしようとする私に、人々は容赦がなかった。

ある人が拳銃を取り出し、私の頭を銃弾で貫く。


私は、人類のために命を捧げてきたのに、どうしてこんな結果になるんだろう。

官僚になってから楽しいことなんて一つもなかった。

常に、お手並み拝見で追い詰められ、必死で前に進んできた。


日本では、部下の兵士を特攻隊のように死に追いやった報いかしら。

いえ、それで日本は平和を取り戻せたの。

どうして、私の努力を認めてくれないの。


そういえば、大学の時に彼と過ごした幸せの時間もあった。

彼が、私の心の穴を埋めて、いつも微笑んで見守ってくれていた。

彼の腕の中で、私は守られ続けたい。


私は、ゆっくりと背中から床に倒れた。

日本の勇者と称えられた私のあっけない最後だった。


一方で、私を殺しても、月の動きは止まらない。

そんな報道のなか、誰もが生きる気力を失っていった。

毎日騒がれてた超能力者の話題も忘れさられていく。


あと1年後には死ぬのに、今更何をすればいいのかと。

もう、誰もが絶望感にひしがれていたんだと思う。

自分の部屋で酒を浴びるように飲む人達も増えていく。


月が衝突するとこの地球、そして私はどうなるのか。

恐怖に耐えきれずヒステリックになる人々。

生きている意味を失い、ただ、呆然と佇む人々。


月の軌道はまもなく楕円となり、すごい速さで地球をかすめて飛んでいくようになる。

月が通り過ぎると、そのエリアは建物だけじゃなく、山も川もすべてが荒野となった。

荒れ地に成り果てたパリの映像がテレビに映ると、次は自分の街だと誰もが恐れる。


月が通り過ぎていないときも、海の満ち引きの差は激しくなり、気候は荒れた。

暴風雨が吹き荒れ、いつもスーパータイフーンという感じで、外で立ってはいられない。

河川は氾濫し、多くの家が流されていった。


そして、4日に1回ぐらい月は轟音をたて通り過ぎ、地球を荒れ地に変えていく。

通り過ぎるときは、月が空の半分を覆うように大きく、慈悲とかは全くない。

荒野とならなくても、平穏な地球はもう、どこにもなかった。

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