34話〜酒場改築〜
34話〜酒場改築〜
俺の家に酒場のマスターが遊びに来た。
どうやら、看板娘の彩音に彼氏が出来たというから見に来たらしい。
彩音はマスターに気に入られ可愛がられていて娘のように扱われている。それは彩音にとっても同じことだった。
しばらく、彩音は仕事を休んでいた。
俺は二人の様子を観察していた。
「いらっしゃいマスター」
彩音はマスターに挨拶をする。
「やあ、久しぶりだね!元気にしてたかい?」
「はい!毎日充実しています!」
「それは良かった!ところでそちらの方が例の彼氏君かい?」
「そうですよ!私の恋人です!」
彩音は嬉しそうに俺を紹介する。
「君が黒瀬海斗君かね?」
「はじめまして。黒瀬海斗と言います」
俺は自己紹介をする。
「ああ、よろしく頼むよ!」
マスターは握手を求めてきたので握り返す。
「それにしてもまさか彩音ちゃんが結婚してしまうとは思わなかったな……」
「違いますよ!まだ結婚していませんよ!」
彩音は慌てて訂正する。
「まあいずれ一緒になるのだろうから変わらないじゃないか」
「全然違います!私は海斗とラブラブで幸せになりますから!」
彩音は必死に弁明する。
「そうかい……お幸せにね」
マスターは納得していない様子だった。
「それで今日はどのようなご用件でしょうか?」
俺は本題に入る。
「実はな……最近酒場に若い冒険者たちが多く出入りするようになってきてな……それで店を増設しようと思っているんだがどうしたものかと考えていてな」
「なるほど……それで相談しにきたんですね」
俺は納得する。
「そこで提案なのだが……君も一緒に協力してくれないか?」
マスターは真剣な眼差しで俺を見る。
「わかりました。やりましょう」
俺は即答する。
「本当かい?助かるよ」
マスターは安堵の表情を浮かべる。
「ただし条件があります」
俺は人差し指を立てる。
「何かな?」
マスターは身構える。
「完成したら俺も客として来させて欲しいということです」
俺は率直に伝える。
「それだけかい?」
マスターは拍子抜けしたようだ。
「はい」
俺は答える。
「わかった!約束しよう!」
マスターは快諾する。
「ありがとうございます」
俺はお礼を言う。
「いやいや、こちらこそ本当にありがとう!君のおかげで酒場はより繁盛するだろう!」
マスターは上機嫌になる。
「それではさっそく取り掛かりましょう」
俺は意気揚々とする。
「よろしく頼むよ!」
マスターは激励する。
「あたしも頑張るよ!」
彩音もやる気を見せる。
「おう!任せとけ!」
俺は自信満々になる。
こうして三人による大規模なリフォーム工事が始まったのだった。
俺はまず設計図を作るために建築関係の資料を集めたりした。
そして様々な情報を集めて分析する。
最終的にどんな店にしたいかを決めた。
外観はヨーロッパにあるようなお洒落な感じにする。内装も凝った作りにして高級感溢れる空間にする予定だ。
「よし!これで大まかなイメージができたぞ!」
俺は完成予想図を見ながら呟く。
「わぁ!素敵!早く建ったところ見てみたいな〜」
「楽しみにしていてくれ、絶対に期待に応えるから」
俺は彩音に宣言する。
「うん!頑張ってね!あたし応援してるよ!」
彩音は両手をグッと握ってエールを送ってくれる。
彼女の笑顔は最高である。
「ああ!必ず成功させてみせる!」
俺は決意を新たにするのだった。