表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

33/37

33話〜看病する側も下心あり〜

33話〜看病する側も下心あり〜




次の日。

昨日、上半身裸でいたせいか俺は風邪を引いた。

熱があり、咳が出る。

鼻水も止まらない。

完全に風邪を引いてしまった。


「彩音……ゴホッ……ゴホォ……風邪引いた……」

「大丈夫!?海斗!?」


彩音は慌てて駆け寄ってくる。


「ああ……昨日コスプレで裸にされて風邪を引いたみたいだ……ゴホオオオオ」

「ゴメンね……すぐに看病するね!」


俺は自分の寝室に移動する。

ベッドの上で横になると彩音が布団をかけてくれた。


「熱を測るから動かないでね」


彩音は俺のおでこに彩音のおでこを当てた。


いわゆる

『おでこで体温チェック』

である。


「あれれ〜?熱いなぁ〜」


彩音はニヤニヤしながら俺を見る。

完全に楽しんでいる。

俺は彩音に文句を言う気力もない。

大人しく彩音の指示に従う。


「じゃあ水飲む?」


彩音は水を持ってくる。

俺は受け取ると水を飲み込んだ。


「ちょっと村長さんに薬あるか聞いてくるから待っててね」


彩音は部屋から出て行く。


(はぁ……情けない)


俺は溜め息をつくと目を閉じて眠りにつくことにした。

しばらくすると扉が開く音がする。

目を開けるとそこにはナース服姿の彩音が立っていた。


「お待たせ海斗!」


彩音のナース服姿に心の中でガッツポーズする。

よく頑張った…俺。

俺は上半身を起こして彩音に話しかける。


「ごめんな彩音……迷惑かけて……」



「ううん!気にしないで!私のせいなんだから!」


彩音は申し訳なさそうに謝る。

俺は彩音の頭を撫でた。


「ありがとう……」



「どういたしまして!」


彩音は嬉しそうに微笑む。

俺は再びベッドに戻る。


「今日は大人しくしててね!私がしっかり面倒見るから!」



「わかった……任せるよ」


俺は彩音の言葉に甘えることにした。


「とりあえず、村長さんからお薬貰えたから飲んで?」

彩音は水と一緒に薬を差し出す。


「サンキュ」


俺は受け取ると薬を飲み込む。


「よし!じゃあゆっくり休んでね!」


彩音は俺の頭を優しく撫でる。

俺は瞼が重くなり自然と意識が遠退いていくのを感じた。


「おやすみなさい……海斗……」


彩音の声を最後に俺の視界は暗転した。


数時間後。


俺は目が覚める。

部屋を見渡すと誰もいない。

(そういえば彩音は何処に行ったんだろう?)

俺は起き上がろうとするが体が思うように動かない。頭痛も酷くなってきている。


「海斗起きたんだね」


彩音が部屋に戻ってきた。

俺は彩音に尋ねる。


「彩音……?今何時だ?」

「うーんとね……もう夜だよ」


俺は愕然とする。


(嘘だろ……一日中寝てたのか……)


「食欲ある?何か食べれそう?」


彩音は心配そうな顔で訊ねてくる。


「あぁ……少しだけ……」


俺は彩音の問いに答えると上半身を起こそうとするがなかなか起き上がれない。


「無理しないでいいから……」


彩音は俺の身体を支えるとゆっくりと起こしてくれる。


「海斗?辛くない?」

「平気だ……」


俺は強がってみせる。


「本当にぃ〜?」

「あぁ……」


彩音は疑いの眼差しを向けてくる。


「だったら証拠見せてよ……」

「証拠……?」


俺が聞き返すと彩音は俺の胸に手を当ててきた。


「ドキドキしてるよぉ〜」

「そりゃあ心臓が止まってたら死んでるだろ……」

「もうっ!違うもん!」


彩音は頬を膨らませる。

(はぁ〜……癒される……)

俺は幸せのため息を吐く。


「じゃあ……海斗のお口に食べさせてあげるね?あ〜んして?」


彩音はスプーンで掬った粥を俺の口元に運んでくる。

俺はパクリとそれを食べる。


「おいし?」

「……美味い」


素直に感想を述べる。


「よかった〜」


彩音は安堵した様子を見せる。


「ほら……まだいっぱい残ってるよ?全部食べてね?」


彩音は残りの粥を平らげるまで何度も繰り返してくれた。


「ふぅ〜……満腹になったよ……ありがとな……」

「どういたしまして!」


彩音は俺に微笑みかける。


「じゃあ最後にこれを飲んでお休みしようね」


彩音は俺にコップに入った液体を渡す。


「これ飲んだら治るんだな……?」


「もちろん!効果抜群だから!」


俺は彩音を信じてゴクリと飲み干した。


「おやすみなさい……海斗……」

「おやすみ……彩音……」


俺は眠気に負けて瞳を閉じる。

(明日には良くなるといいな……)


俺は期待を込めて眠りにつくのだった。




翌朝。

目を覚ますと頭が軽くなっている事に気づく。

身体も楽になっている気がする。


(やっと治ったか……よかった……)

俺は安堵のため息をつく。

彩音は俺の隣で寝ていた。

その無防備な姿にドキッとする。

(可愛いな……)


俺は彩音の寝顔を眺めていると不意に彩音が目を覚ます。


「海斗おはよ〜……」

「おはよう」

「どう?具合は?」


彩音は起き上がると俺の顔色を伺う。


「ああ……大分楽になったよ……」

「本当?よかったぁ〜!」


彩音は安心したように息を吐く。


「俺も男なのに情けないところを見せてしまったな」

「そんなことないよ?私は海斗が弱っている姿も好きだからね!」


彩音は笑顔で答える。

(本当に天使のような女の子だ……)


俺は改めて思った。


「ねぇ……海斗……?」


彩音は突然真剣な表情になる。


「ん?」


俺は首を傾げる。

すると彩音は俺に近づいて来たかと思うと唇を重ねてきた。


「!?」


俺は驚いて声が出せない。


彩音はチュッと音を立てて離れると舌をぺろりと出した。


「えへへ♪キスしちゃった……」


彩音は照れくさそうにはにかむ。

(俺は彩音のこういうところに惹かれたんだな……)俺は彩音の頭を撫でる。


「ねぇ……もっとしたいな……?」


彩音は潤んだ瞳で見つめてくる。


「ああ……いいぞ……」


俺は彩音の要望に応える。


「じゃあ……次は海斗からして……?」


彩音は目を閉じる。

俺は彩音の肩に手を添えると彩音の柔らかい感触を感じる。


「彩音……愛してる……」



「私も愛してる……」


お互いに愛の言葉を紡ぐ。

俺は彩音の首筋に吸い付く。


「あっ……そこだめぇ〜……」


彩音は甘い吐息を漏らす。


「んっ……んぅ〜……」


彩音は顔を真っ赤にして悶える。


「はぁ……はぁ……はぁ……」


彩音は息を切らせながら俺を見る。


「もう限界だよぉ〜……」


彩音は涙目になって訴える。


「わかった……ここまでにしよう」


俺は彩音を解放すると彩音はその場に崩れ落ちる。


「はぁ〜……危なかった〜……」


彩音は胸を押さえながら呼吸を整える。


「どうしたんだ?」

「あのね……今凄くドキドキしてたから……」


彩音は恥ずかしそうに語る。


「そっか……」


俺は彩音を抱きしめる。


「海斗?」

「怖かったか?」


俺は優しく尋ねる。


「ううん!でもちょっとビックリしちゃっただけ!」


彩音は笑顔で否定する。


「そうか……ごめんな……」

「海斗は悪くないよ?私が誘惑したのがいけなかったの……」


彩音は反省の色を見せる。


「いや……俺が我慢できなかったのが悪い……」


俺は責任を感じる。


「海斗は優しいね……」

「そんなことねぇよ……」

「海斗は自分のこと責めすぎだよ?たまには自分を褒めてあげてもいいと思うけど?」

「そうかな……?」


俺は自問自答する。





「そうだよ!少なくとも私は海斗のこと尊敬してるよ?だっていつも皆のために頑張ってるんだもん……」

「ありがとな……励ましてくれて……」

「うん!いつでも相談に乗るからね?」

「ああ……」


俺は彩音の温もりを感じながら目を閉じる。

今日は風邪で体調が優れなかったが明日からは元気に過ごせそうだと思った。


それと彼女のナース服姿は最高だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ