29話〜好きになった理由〜
29話〜好きになった理由〜
俺と彩音は仲良く新居で暮らしていた。
恋人同士となり初の彼女だ。
だが、1つだけ分からない理由がある、なぜ彩音が俺を好きになってくれたのか?
ある日、俺は思い切って尋ねてみた。
「どうして俺を選んでくれたんだ?」
彩音は少し考える仕草をした後答える。
「初めて会った時の印象が良かったからかな。優しくて頼り甲斐があってカッコ良くて……あと、一緒にいると安心できて居心地がいいんだよね。あとは……顔かな?」
俺は笑うと彩音もつられて笑い出す。
初めて会った時?
俺はいつ彩音と初めて会ったのだろうか?
「ごめん、初めてっていつ頃だっけ?」
「覚えてないのー?んー、じゃあ内緒にしとくねー!」
彩音は意地悪そうな笑みを浮かべていた。
だがそれが可愛らしいと思ってしまう自分がいる。
まあいいかと思い俺は諦める事にした。
そんな時に彩音からある提案をされた。
「実は海斗にお願いしたいことがあるんだけど聞いてくれる?」
「お願い?また何か作るか?」
「違うの、海斗にあたしと付き合う中で守ってほしいことが3つあるんだ?」
「いいぞ、何を守ればいい?」
俺は彩音のお願いを破らないことを約束する。
「1つ目!毎日1回以上キスすること!」
「恥ずかしいけど頑張るよ」
1つ目は毎日キスをすること。
今のところは問題ない、毎日してるしな。
「2つ目!絶対に嘘は吐かないこと!」
「わかった、守るよ。嘘は吐かない」
2つ目は嘘は吐かないこと。
これも守ることを誓う。
「3つ目!他の女の子に目移りして浮気しないこと!」
「浮気はしない。彩音だけを愛すよ」
3つ目は浮気しないこと。
どこまでが浮気になる線引きが分からないが問題はない。
「ありがとう!でもね、1つ目と2つ目は何回か守れなくても見逃してあげるけど……3つ目…浮気したら……殺すからね?」
俺は背筋がゾワゾワとする。
彩音は笑顔で言っているが目が笑っていない、これはマジだと俺は認識する。
「肝に銘じておくよ」
俺は3つの約束を守ることを決意する。
「えへへへっ♪」
彩音は嬉しそうな表情で微笑んでいた。
そして彩音は俺の膝の上に乗ってくる。
「ねぇ海斗?ギューってして?」
「分かったよ。ほら」
俺は彩音を優しく抱き締めた。俺に包み込まれるようにすっぽり入る彩音。
「ふぅ……落ち着く……」
「そうか?」
「うん。温かいし良い匂いするし安心する……」
彩音は甘えモード全開だ。俺に抱きつく力を強くして離れないようにしている。まるで小動物のようで可愛い。普段はクール系の美人だが今はまるで別人のように見える。
「もっと強く抱きしめて?」
「こうか?」
俺はさらに強く彩音を抱き寄せる。すると彼女は満足げな表情になった。
「海斗、大好き」
「俺も大好きだ」
彩音と付き合うことになったが付き合う前よりもラブラブな毎日を送っていた。彩音と出会えて良かったと思う。
これからもずっと一緒にいてくれないか?
と俺は彩音の耳元で囁く。
「もちろんだよ!海斗のこと絶対に離さないからね!」
彩音は頬を赤く染めている。
彩音は俺の頬に手を添えるとキスをした。
俺はまだ知らなかった。
彩音が俺が思うより貪欲で嫉妬深く、愛に飢えた獣だということを。
そしてそれはこれから先も変わらないことを。