27話〜再開!家造り!〜
27話〜再開!家造り!〜
俺は家造りを再開した。
俺と彩音の噂はすぐに村中に知れ渡り村人の人達が手伝ってくれる。
これは俺のためじゃない。
村の男達は彩音のためにと手を貸してくれる。
そして俺と彩音の家の建設が始まった。
前回とは別の場所、村長が土地が余っているからと土地を譲ってくれた。
まずは基礎となる土台作りだ。
木材を集めて組んでいく。
次に壁や屋根を作っていく作業に入る。
村人達は俺の指示のもとにテキパキ動いてくれる。
そんな俺を監督役のトールさんはニヤニヤしていた。
そして昼休憩になるとトールさんは俺の元にやって来た。
「どうしたんですか?」
「いやぁ~若いっていいなぁ~って思ってよ!」
「は?」
「惚気るんじゃねーよこの幸せモンが!」
トールさんは俺の背中を思いっきり叩く。
「痛っ!ちょ!何するんですか!」
「ガッハッハッ!まぁ頑張りな!応援してるぜ!」
「はい」
こうして順調に建築は進んでいった。
村人達との会話は俺にとっては新鮮であり楽しかった。
ある日、村の男の一人が話しかけてきた。
「なぁ?どうして白石さんを選んだんだ?」
「え?あぁ……」
俺は彩音に惹かれた理由を聞かれた。
俺は自分の思いをそのまま伝えることにする。
すると彼は納得したように大きく首を縦に振った。
「なるほどね。そういう事か」
「どういう意味ですか?」
「いやさ?何でお前みたいな冴えない男を選んだんだろうって不思議に思ってたんだけどよ?白石さんが好きになるのもわかるわ」
「そうですかね?」
「ああ!俺もお前みたいな奴がタイプだからな!」
「え?」
「冗談だ!ガッハッハッ!」
「もう…やめて下さいよ…」
「ははははは!冗談だって!それにしても羨ましい限りだな」
「そうなんですか……」
「なんだ?嬉しくないのか?」
「嬉しいんですけど不安になるんですよ……こんな俺が彩音と釣り合うのかって……」
「おいおい!そこは自信持とうぜ!」
「分かりました」
「そう言えば……最近よく笑うようになったよな」
「えぇ……そうかもしれません……」
「お前のおかげで村全体が明るくなった気がするよ」
「俺のせいですか?」
「お前のせいでもありおかげでもある」
「そうですか。でもそれは俺だけの力ではありませんよ。村の皆さんのおかげです。それに……」
「それに?」
「彩音がいたからこそ今の俺があるんです」
「そうかい。なら良かったよ」
「はい」
その日の夜。
小屋に帰った俺を彩音が出迎えてくれた。
「おかえり〜」
「ただいま」
「ご飯できてるよ〜」
「ありがとう」
食卓には美味しそうな料理が並んでいる。
俺は席について手を合わせる。
「いただきます」
「どうぞ召し上がれ♪」
俺は箸をとり食べ始める。
彩音が作ってくれた料理はどれも絶品だった。
俺達は会話を楽しみながら食事を終えた。
その後片付けを済ませて寝床に入った。
隣では彩音が寝息を立てて眠っている。
俺は布団の中から起き上がり部屋を出た。
廊下に出ると窓の外に星空が広がっていた。
月明かりに照らされて庭に咲く花々が美しいシルエットとなっている。
俺はその光景を眺めながらぼんやりと考え事をする。
明日からまた忙しくなる。
それでも頑張れる。
そう思うことができるのは彼女のおかげだ。
「彩音……好きだよ」
俺は呟いた後寝室に戻り眠りについた。
翌朝。
俺は起きて身支度を整えると仕事場へと向かう。
今日は彩音は酒場の仕事なので家にはいない。
仕事場に着くと既に何人かの職人が働いていた。
「おはようございます」
俺は挨拶をする。
「おう!来たか!昨日は随分遅くまで起きていたみたいだな」
「ええ」
俺は苦笑いをする。
「まぁいいさ。さっさと始めようぜ!」
「わかりました」
俺達は仕事を開始する。
午前中は主に木材の運搬を行った。
午後からは大工道具を使って家造りを行う作業に取り掛かる。
「よいしょっと!」
材木を加工していく。
慣れた手付きで次々と形作られていくクラフトスキルのおかげであろう。
「よし完成したぞ」
「すごいですね」
「だろ?俺達の大切な仕事場だからな」
トールさんは胸を張って言う。
「ところで……例の件はどうなったんだ?」
「まだ先です」
「そうか……」
「どうしたんですか?」
「いや……ちょっと心配になっちゃってな」
「大丈夫ですよ」
「ならいいんだがな」
「それより今日はもう終わりましょう」
「そうだな。じゃあな」
「お疲れ様です」
こうして今日の作業は終わった。俺は家に帰った後、夕食を済ませて風呂に入り就寝した。
次の日もその次の日も同じような日々を過ごした。
そして数カ月後。
ついに家が完成した。