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22話〜メイド服の酒場〜

22話〜メイド服の酒場〜





俺は白石さんに招待された。

と、いっても白石さんが働いている酒場だが。


今日はメイド服を着て酒場で働くらしくご飯を食べに来いと言われた。 




「いらっしゃいませご主人様」


俺が酒場に入るとメイド服姿の白石さんが出迎えてくれた。

可愛いなと思いつつ席へと案内される。

メニュー表を見て注文することにした。白石さんが考案したメニューなので全部美味しそうに見える。


「今日は何をご注文されますか?」

「そうだなぁ」


白石さんに勧められて頼むことにした。しばらくすると料理が運ばれてきた。美味しそうだ。


「いただきます」

「どうぞ召し上がれ♪」


食事を楽しんでいると白石さんがテーブルへやって来た。


「黒瀬どう?美味しい?」

「すごく美味しいよ」

「良かった♪頑張って作った甲斐があったね♪」




「え?自分で作ってくれたのか?」

「うん!黒瀬に食べて欲しくてね」

「ありがとう。嬉しいよ」

「どういたしまして♪」


白石さんは照れ臭そうに笑っていた。


「ところで白石さん。例の告白はいつするんだ?」

「明日だよ」

「そっか。頑張れよ」

「うん!黒瀬のおかげで自信が持てたからね」

「俺は何もしていないけど」

「そんなことないよ。黒瀬のおかげで今の私があるんだから」

「そうなのか?」

「そうだよ。黒瀬には感謝してるの」

「そっか」


白石さんは優しく微笑んだ。


「じゃあ楽しんでね」


俺はメイド服姿で一生懸命に働く白石さんを眺めながらご飯を食べる。


白石さんは明日告白するのか。

今の白石さんとの生活も終わりか。


白石さんなら、相手が誰であろうと告白が成功するだろう。

そしたら、彼氏彼女として幸せに異世界ライフを過ごすんだろうな。


俺は寂しく1人で物作りスローライフか……まぁ、最初にこの異世界に来てクラスメイトのみんなからバカにされて追放された時に誓った、【1人で気長にスローライフ】に戻るだけだ。

元々それが目的だしな。


俺が落ち込んでいる間にメイド服を着た白石さんは酒場で働いていた。


俺はメイド服姿の白石さんを眺めながら飲み物を飲む。


白石さんは明日告白するのか。

今の白石さんとの生活も終わりか。


白石さんなら、相手が誰であろうと告白が成功するだろう。

そしたら、彼氏彼女として幸せに異世界ライフを過ごすんだろうな。


俺は寂しく1人で物作りスローライフか……まぁ、最初にこの異世界に来てクラスメイトのみんなからバカにされて追放された時に誓った、

【1人で気長にスローライフ】

に戻るだけだ。元々それが目的だしな。




俺が落ち込んでいる間にメイド服を着た白石さんは酒場で一生懸命に働いていた。


「別にいいか、部屋が広くなるし。家を建てるのもやめて倉庫にでもしよう」


独り言を呟いた後グラスに入った飲み物を一気に飲み干した。

酒場の出口に向かい歩き始めると酒場の客たちが白石さんの周りに集まっている。


「白石の姉ちゃん可愛すぎるぜ!最高だ!」


白石さんは人気者だ。酒場で働く白石さんはとても魅力的だ。


「えー?ほんと?ありがと!」



「こっち来て一緒に飲もうよ!」



「うーん。迷っちゃうな~」



「みんな~今日はありがとう~」


白石さんはお盆を持ってお皿を集めている。


「よっ!流石看板娘!」


白石さんはお皿を厨房に持って行こうとしている。


俺は酒場の外に出た。

(白石さんはやっぱりすごいな。あんなに大勢の人達から好かれているんだから)


空を見上げると綺麗な星空が広がっていた。

星に手を伸ばしても掴むことはできない。白石さんには届かないな……。


白石さんが幸せに暮らせるならそれでいいか。

俺は自分にそう言い聞かせて酒場を後にした。



夜風が心地よい。街灯がぼんやりとした光を放っている。

通りには人が少なく静まり返っていた。


「女々しいかよ俺は…」


俺は白石さんが好きなのか?

いつからだ?

まったく分からない。


と、いうのはきっと嘘だ。

俺が作った服を初めて白石さんが着てくれた時。


凄く綺麗だと思った。

その時からだと思う知らず知らずに白石さんを意識していたのは。



俺はいつの間にか白石さんの事を好きになっていたんだと思う。

でも俺が彼女の側にいる資格なんて無い。



俺なんかじゃ釣り合わない。

それに彼女には他に好きな人がいるんだし。

俺は彼女のことになると冷静に判断することが出来なくなってしまうらしい。


白石さんは魅力的な女性だ。彼女に惹かれてしまうのは当然の事だろう。


家に帰りベッドに横になる。


目を瞑るけれども寝付けるはずがない。


それからしばらくして仕事を終えて銭湯に入って白石さんが帰ってきた。


「お疲れさん」


「黒瀬?まだ起きてたの?もしかして〜あたしを待っててくれたりして〜?」


「冗談だろ」


俺達は軽口を叩く。


「ちょっと出てくるわ」


と、勝手に気まずくなり俺は小屋の隣にある工房へ向かう。


「え?今から!?」


「俺はアイディアが浮かんだらすぐに動かないとダメなんでね」


俺は逃げるように工房へと引きこもるのだった。


取り残された白石さんは


「……バカ」


その言葉は俺には届かなかった。




 

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