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宝石龍と流れ星の君  作者: ひびあらたな
1/5

流れ星の君


日々は晴れ晴れ。わたしたちはただ、あなたの笑顔が見たい。



ーーどうか笑って。



今日は宝石龍達が天の川を見上げながら神様に歌を捧げる日だ。


色とりどりの宝石龍達は歌を歌ったり、楽器を奏でていた。


宝石龍達の髪が風に吹かれて靡く。


ここに夜空の星を眺めていた宝石龍がいた。


パールの意思の宝石龍、パールメリーだ。


左隣にはサファイアの意思の宝石龍、ファイサファイアがいた。


パールメリーの桃色の髪が風に吹かれて靡いていた。その瞳には星空が映っていた。


「七月七日」


パールメリーは天の川を指差しながら呟いた。


「運命の日」


またぽつりと呟いた。


瞳に星空を映しながら、パールメリーは回想した。


場所はウィル大聖堂。それはそこで聞いた話だった。



ーー七月七日、運命の日。その日は流星が降る。そして世界を救う本を見れる場所に行く扉が現れるだろう。



クリスタルの意思の宝石龍、クリスタルフォルテ教皇は言った。



ーー占いによるとそれは今年の可能性が高い。扉が現れたら誰がその場所に行くのか。そう、誰が世界を救うのか決めておこう。


クリスタルフォルテはカードを取り出した。



ーーここにみなを表したカードがある。誰が世界を救うのか今から占おう。



宝石龍、一体一体を表したカードが空中に浮かび上がる。



ーーうわ〜、ドキドキするなー!



ーー世界を救うのは一体誰かしら?



宝石龍達はざわめきはじめた。



ーー静粛に。



ブラックダイヤの意思の宝石龍、ダイヤエレジアが話すと、あたりは静かになった。



ーー誰かな?誰かな?



ーーしーっ、静かに。



だがまた話し声が聞こえはじめた。みんな、世界を救うのは誰なのか気になっているようだ。



ーー導きの手の神、リーヴル様。世界を救うのが誰なのかお教えください。



クリスタルフォルテは言った。


空中に浮かんだカードが混ざりはじめる。


様々な色に光り輝きながらカード達は動きを止めた。



ーー一体誰なんだ………?



誰かが呟いた。


その時、一枚の光り輝くカードがクリスタルフォルテの手に舞い落ちる。



ーー神様のカードだ。



「神様が世界を救ってくれるんだよな」


ファイサファイアはパールメリーを見ながら言った。パールメリーはハッとしながらファイサファイアを見た。


「もしかしたら今日神様が見れるかも!」


パールメリーは興奮しながら言った。


「うわぁ〜!ワクワクする!」


ファイサファイアは笑顔になった。


宝石龍達の暮らしている世界、ウィルワールド。


この世界を創ったのが導きの手の神、リーヴルだ。


この世界の誰もが一度はその目で見たいと思っている存在である。


「占いが当たるかなんてまだわからないりま〜」


いつの間にかパールメリーの足元にいたラリマーシレーナはパールメリー達に向かってそう言った。


「フォルテの占いは最近ハズレばっかりりま」


「でも今回は当たるかもしれないじゃないか」


パールメリーの後ろにいたスカーレットロアーはそう呟いた。


「みんな神様に逢いたがっている。私も例外ではない。一目でもそのお姿を見たいものだ」


スカーレットロアー、ガーネットの意思の宝石龍だ。


「どうしたラリマー、お前さては神様に怒られると思っているな?」


「そうりまよ。いつまで子供でいるんだって怒られそうで逢いたくないりま」


ラリマーシレーナは身震いした。


「ちょっと怖いりまね」


「いいじゃないか。お前は子供のままで。大人になりたい時になれば良い」


「大人になりたくないりま」


ラリマーシレーナは俯きながら言った。


「ずっと子供のままでいたいりま」


「いればいいだろう」


「あ、流れ星だよ!」

パールは嬉しそうに声を上げた。


「本当だ……願い事しないとな」

スカーレットロアーは呟いた。


「「神様、どうか世界を救ってください」」


いろんな宝石龍の声が重なった。


その時、複数の流れ星が一つの流れ星に向かって行き、ぶつかった。


「うわぁ、何?何?すごい………。ねえ、ファイ達見た?」


パールメリーは目をきらめかせて言った。


「複数の流れ星が集まったよな」


ファイサファイアは空を見つめながら言った。


「なんだ?やっぱり今日なのか?」

スカーレットロアーは手で顎を触りながら呟いた。


「緊張するりま………」


ラリマーシレーナは身震いした。


「流れ星………落ちる!?きゃあ!」


パールメリーは叫んだ。

流れ星がパールメリー達のいる方に向かって落ちてきたのだ。


光の筋が夜空に浮かんだ。


流れ星の跡が、天から架かった橋のように見えた。


やがて、その光の橋に人影が見えた。


「誰か歩いてくるぞ!」


誰かが叫んだ。


「神様ですか?!」


宝石龍達は一斉に話し始めた。


人影は光の橋を歩きながらパールメリー達の方へ向かって行った。


宝石龍達は声を上げながら、人影が歩いてくるのを見守った。


やがて人影は姿を現した。



ーー流れ星の降る七月七日、七夕の日。その日、宝石龍達の暮らす世界ウィルワールドに流れ星のように僕はやってきた。


それから僕は摩訶不思議な世界で暮らすことになる。その日から宝石龍達との日々が始まってしまったのだ。



ーー逢いたいよ、みんな。



誰にも聞こえることのなき声が星空に響いた。



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