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第18話:冒険者ギルド②

「……何か用ですか?」


 俺は振り返りながらそう口にすると、そこに立っていたのは人相の悪い大柄な男性だった。


「先輩冒険者として忠告だ。舐めたことしていると、痛い目に遭うぞ?」

「別にずっと一人でとは考えていません。最初ですし、まずは一人で活動したいと考えているだけですよ」


 心配してくれているのか、それとも単に新人に絡みたいだけなのか。

 俺はそう返すと、もう一度受付嬢へ向き直り質問してみる。


「新人が一人で活動するのは、ルールに反することですか?」

「い、いえ、そのようなルールはございません。ただ、命を大事にするという意味では、パーティを組むことを推奨しております」

「だろ? ってことで、俺たちがてめぇを指導してやるよ!」


 大柄な男性の後ろには、別に二人の男性が立っている。

 細身で身軽そうな男性と、二の腕が丸出しになっている筋骨隆々の男性だ。


「心配してくれているのは分かりますが、遠慮しておきます」

「なんだと? てめぇ、舐めてんじゃねえぞ!」

「はぁ。あの、こうした先輩の提案は、絶対に受けなければならないんですか?」


 ため息を吐きながら、俺はもう一度受付嬢に質問をした。


「え、えぇっと、そういうわけではなく、あくまでパーティも推奨ですので、お一人で活動をしたいということであれば、危険な目に遭ったとしても自己責任で――」

「だそうです。なので、俺には今のところ、パーティは必要ありません」


 これ以上受付嬢を巻き込むのはかわいそうだ。……今にも泣きだしそうな顔をしているしな。

 というわけで、俺は大柄な男性に笑顔でそう言い放つと、その場をあとにしようとした。


「こいつ! ぶっ殺してやる!」


 ……はぁ。マジでなんで、こうなるかな。


「素直に引き下がってくれたら、痛い目に遭わずに済んだのに――な!」

「あへ?」


 俺の背後から殴り掛かってきていた大柄な男性の腕を、俺は振り返ることなく首を横に倒すだけで回避し、そのまま腕を掴んで投げ飛ばす。

 体が空中に浮いた瞬間、大柄な男性から変な声が聞こえてきたが、気にすることなくそのまま床へ背中から叩きつけた。


「ぐはっ!?」

「これで満足ですか?」

「こ、こいつ!」

「やりやがったな!」


 いや、最初に手を出したのはそっちだろうが。


「このままやるってんなら、相手になろう。だが、怪我をしても知らないぞ?」


 これは断じて感情のコントロールができていないわけではない。

 降りかかる火の粉は、払わなければならないからな。

 俺がそう言い放つと、細身の男性が二本の短剣を抜き放ち、筋骨隆々の男性が拳を握り構えを取る。


「くそっ、離しやがれ!」


 すると大柄な男性が力任せに腕を振りほどこうとしたので、俺はあえて手を離す。

 こういう輩は、一度完膚無きまでに叩きのめしていた方が、あとからまた突っ掛かってくることもなくなるはずだ。


「やるぞ!」


 大柄な男性が腰の剣を抜くと、合図と同時に三人が同時に襲い掛かってきた。

 それにしても、この状況で誰も止めに入らないというのは、どういうことだろうか。

 これが冒険者ギルドの日常、ということもあるまいし。


「……まあ、どちらにしても叩きのめすだけだな!」


 最初に突っ込んできたのは、細身の男性だ。

 見た目通り身軽なのだろう、低い姿勢から間合いを詰めてくると、左右のナイフを巧みに振り抜いてくる。

 とはいえ、軌道は単純であり、俺は容易くその腕を掴んで動きを止めてみせた。


「な、なんだと!?」

「ふんっ!」


 直後には筋骨隆々の男性が鋭い突きを放ってきたが、俺は細身の男性の手を掴んだまま、体を捻らせることで回避する。

 この時点で細身の男性と筋骨隆々の男性は、驚きの表情で動きが雑になった。


「よっと」

「いででででっ!?」


 俺はこのタイミングで細身の男性の腕を捻り上げて関節技を掛けると、情けない声を上げた。


「く、くそっ!」


 細身の男性を助けようとしたのだろう、筋骨隆々の男性が再び前に出てきたが、その動きに精細さは欠片もない。

 俺は細身の男性の手を離すと同時に筋骨隆々の男性の拳目掛けて、自らの拳を突き出した。


 ――ゴキッ!


「ぐがああああっ!?」


 鈍い音が響き渡ると、悲鳴を上げたのは筋骨隆々の男性の方だった。


「てめえら! どけええええっ!!」


 そこへ大柄な男性が大声を上げると、直後には渾身の横薙ぎが放たれた。

 その軌道は俺の胴を狙っている。


「全く。狙いが分かりやす過ぎるんだよ」


 俺はため息を吐きながらそう言い放つと、腰を落として力を込め、両手を開いて上下から勢いよく挟み込んだ。


 ――バチンッ!


「……う、動かねえ、だと!?」


 大柄な男性が放った横薙ぎを、俺は両手で挟み込むようにして受け止めてみせた。

 それも、流気術を使って筋力を増加させており、大柄な男性は剣を動かそうとしても、ピクリとも動かない。


「どうする? まだやるか?」

「う、うるせえ! ……ちくしょう、動きやがれ! 放しやがれ!」


 放せと言われても、ここで放したらまた襲ってくるだろう。

 ……というわけで。


「ほっ!」


 ――バキッ!


「……お、俺様の剣がああああっ!! 新調したばかりなんだぞおおおおぉぉおおぉぉっ!?」


 俺は剣を挟んだまま両手を下方向へ捻り、剣を折ってみせた。

 すると大柄な男性は悲鳴にも似た声でそう叫んでいたが……そんなこと、俺は知らんがな。

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