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第17話:冒険者ギルド①

「さて、まずは何をするかな」


 支度金としていくらかのお金は貰ってきている。

 しかし、お金も有限であり、何もしなければいずれはなくなってしまう。

 王城である程度も準備を済ませてきたが、市井でしか準備できないものも出てくるだろう。


「となれば、何か稼げることを見つけないといけないな」


 そんなことを考えながら歩いていると、城下町には意外と武装している人が多いことに気がついた。


「……そういえば、母さんや近衛騎士団長は元々、冒険者だったって言っていたな」


 陛下の身を守る近衛騎士には、本来ならば貴族出身者しかなれないという決まりがあった。

 そんな風潮をぶち壊したのが陛下だとは知っていた。平民からも実力があるものであれば、犯罪者でなければ雇用を開始したのだ。

 冒険者をしていたということは、近衛騎士団長も平民だったのだろう。

 まさか、平民から近衛騎士となり、さらには騎士団長にまで成り上がっていたとは驚きだ。


「それに、母さんも冒険者だったんだな。……俺も冒険者で稼げるなら、修行にもなりそうだし、情報も得られそうだし、一石三鳥だな」


 特に情報を得る、というのが最も大事だ。

 ゼルディス様が言うには、現実世界で俺だけが頑張ったところで、どうしても手の届かない場所が出てくるのだとか。

 その時に大事になってくるのが、俺と同じくらいに強い仲間の存在だ。

 暗黒竜を討伐することもそうだが、暗黒竜の復活に際して、各地でその他の魔獣が猛威を振るう可能性が高いのだと言われている。

 これは研究を得意としているアルフォンス様、フェルミナ様、そして錬金術の師匠であるエリクシル様ら全員が同じ意見を口にしていた。

 となれば、備えておくに越したことはないはずだ。


「城下町の冒険者ギルドなら、強い冒険者もいそうだもんな」


 旅は道連れ、なんて言葉もあるんだ。

 ずっと一人旅を続けるのもつまらないし、共に旅をしてくれる仲間を見つけるのも悪くはないかもしれない。


「冒険者ギルド……冒険者ギルド……お、あれか?」


 城下町を散策していると、特に武装している人たちの出入りが多い、二階建て建物を見つけた。

 看板には間違いなく「冒険者ギルド本部」と書かれており、一目で分かり安堵する。


「身分は偽らないといけないけど……まあ、才能なしの第五王子の名前を覚えている人の方が少ないだろうし、家名さえ名乗らなければ問題ないか」


 そんなことを考えながら、俺は冒険者ギルドの扉を開いた。


「――近隣のゴブリン討伐だ! 斥候を募集する!」

「――おい! これは俺が狙っていた依頼だぞ!」

「――あら~? 早い者勝ちが冒険者のルールでしょう?」


 何やら賑やかなところだな、冒険者ギルドという場所は。

 とはいえ、依頼やら何やらの前に、俺は冒険者に登録しなければならない。

 天井に看板がぶら下げられており、その中に「冒険者登録窓口」というものを見つけて、そちらへと向かう。


「いらっしゃいませ。本日は冒険者登録ですか?」

「はい。お願いします」

「それでは、こちらの書類に必要事項をご記入ください。代筆も承っていますが、いかがなさいますか?」

「自分で書けるので大丈夫です」

「かしこまりました。それでは、分からないことや、書き終わりましたらお声掛けください」


 受付嬢はそう伝えると、別の作業を始めてしまう。

 俺は書類に目を通すと、問題ない質問だけだったので、すぐに項目を埋め始める。

 得意武器か……剣も魔法も使えるが、目立つのは正直、好きではない。

 どこから情報が陛下に届くのかも分からないからな。


「……終わりました」

「え? か、確認いたします、少々お待ちください」


 なんでそんな驚かれるのか。

 書類に確認を始めた受付嬢は、しばらくして笑顔でこちらに向き直った。


「お待たせいたしました。問題ございません。初めての方は大体、答えた内容に不備があったりするので、お早かったですし驚きました」

「あぁ、そういうことか」

「こちらに冒険者になられた方へお渡ししているしおりがございます。簡単に口頭でも重要な事項をお伝えできますが、いかがなさいますか?」


 しおりを読み込むこともできるが、あえて重要な事項と伝えているのだから、それなりの内容なのだろう。


「お願いします」

「かしこまりました」


 それから受付嬢が話してくれたのは、依頼の受け方と完了の仕方、依頼失敗時のペナルティやランクアップについてだ。

 また、冒険者資格の失効についても教えてくれたが、三年以上依頼を受けなかった場合や、単純に犯罪を犯してしまった場合に失効することもあるという、なんとも曖昧なものだった。

 ただ、それでも冒険者ギルドという組織が機能しているのだから、これが市井では普通なのだろう。


「問題ありません。ありがとうございます」

「こちらこそ、最近は口頭での説明を聞きたがらない方が多いので、こうしてしっかりと聞いていただける方が冒険者に登録してくれると嬉しいです」


 こうして俺は、冒険者に登録することができた。

 誰でも最初は最低ランクのFランクから始まるらしく、受けられる依頼も制限されているらしい。


「初めての依頼を受ける際は、こちらからパーティを募集することも可能です。得意武器が剣ということですので、魔導師か遠距離武器が扱える方を――」

「いえ、パーティは必要ありません。ひとまずは一人で活動したいと思います」


 新人冒険者が、実はマスター級に値する実力を持っているなんて知られたら、それこそ面倒を呼び込みかねない。

 故に受付嬢の提案を断ったのだが、これがいけなかった。


「おい、てめぇ。登録したばかりの新人が粋がってんじゃねぇぞ?」


 ……どうやら俺の選択は、自ら面倒を呼び込んでしまったようだ。

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