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第15話:ライオネル・アクスター③

◇◆◇◆


「……本当によろしかったのですか、陛下?」


 そう口にしたのは、宰相のザイード・ファイケルだ。


「よい。見ていて面白かったではないか。なあ、レヴォルグ?」


 ライオネルは笑いながら、話を騎士団長のレヴォルグ・ガストンに振った。


「その通りですな、陛下! 俺の殺気を受けても微動だにしないところが、なおさら素晴らしい!」

「おい、レヴォルグ。陛下の御前だぞ、言葉遣いを気をつけるのだ」

「なんだ、いいじゃないか! 俺たちだけなんだからな!」


 注意を促したザイードに対して、レヴォルグは笑いながらそう言い放つ。


「この場でだけだぞ、レヴォルグ」

「ほらな! がはははは!」

「はぁ。陛下も陛下ですぞ」

「お前は固すぎるのだ、ザイードよ!」


 呆れた物言いになったザイードに対して、レヴォルグは笑いながら彼の肩を強く叩く。


「ぐっ! この、バカ力が!」

「おっと! 俺を殴ろうってか? そうはいかないぞ!」

「じゃれるのは止めろ。今はレインについての話であろうが」


 レヴォルグとザイードのやり取りを見ていたライオネルが、苦笑しながらそう口にした。


「おぉ! そうでしたな!」

「確かにその通りですね。そして、レヴォルグの言うことも一理あるかと」

「うむ。あれには我も驚いた。レヴォルグよ、あの殺気は本気で放ったものであろう?」


 ライオネルが確認を取ると、レヴォルグは楽しそうに答える。


「もちろんですぞ! それをいとも容易くいなし、苦も無く受け答えまでして見せました! いったい誰が才能がないなどとほざいたのか!」

「……ですが、おかしなものですな」

「む? 何がだ、ザイード?」


 本音を言えば自分がレインを鍛えたいと思っていたレヴォルグだが、その横でザイードは思案顔を浮かべる。


「レイン殿下は五年もの間で意識を失っておられました。その五年という年月は、子供の身からすればとても大きな五年であるはずなのです」

「確かにのう。最も吸収し、成長する時期を、レインは逃したわけだからな」

「そうか? 俺が聞いた話では、レイン殿下は努力の人なのではないか?」


 レインの努力を見ている人は少なからず存在していた。

 ザイードの耳には届いていなかったかもしれないが、レヴォルグの耳には届いていたのだ。


「我もそう聞いておる。しかし、やはり才能が開花せず、剣も魔法も、ゴールド級か、よくてダイヤ級だったはずだ」

「なれば何がレイン殿下を変えたというんだ?」

「それは、分かりませんが……」


 それからしばらくは三人とも無言の時間が続いた。


「……どちらにせよ、今後のレインの成長が楽しみでならんな」


 無言の時間を破ったのは、ライオネルだった。


「すぐにレリシアの後宮へ追加の人員を派遣せよ。足りなければ近衛から出させても構わん。よいな、レヴォルグ?」

「すぐに配置いたします」

「俺も問題ございません、陛下!」


 ザイードとレヴォルグがすぐに返事をすると、ライオネルは満足気に頷く。


「それとだ、隠密にも指示を与えておくとしよう」


 続いてのライオネルの発言には、ザイードとレヴォルグは表情を引き締め直す。


「……やはり、メレノラ様が動いていたと見ているのですか?」

「見ているのではなく事実なのだよ、ザイード」


 レリシアが独自の情報網を持っているように、ライオネルたちも当然だが情報網を持っている。

 それも、レリシアが持つものとは桁違いに広い情報網をだ。


「俺たちの情報をすり合わせた結果で出た結論だろう、ザイード」

「それはそうなのだが……はぁ。悩みの種が消えませんな」


 レヴォルグの言葉に同意を示しながらも、ザイードは思わずため息を吐いてしまう。


「より精度の高い情報を得るためにも、隠密を動かすのは必須だ」

「……それも、致し方ありませんね」

「それじゃあ行こうぜ、ザイード! 人員の配置についても話し合わなきゃいかんだろうからな!」


 こうしてザイードとレヴォルグは、ライオネルに一礼をしてから謁見の間をあとにした。

 残されたライオネルは椅子に深く座り直すと、その表情は自然と笑みを浮かべている。


「……いったい何がお前をそこまで強くしたのだ、レインよ?」


 そう呟いたライオネルは、しばらくの間で天井を見つめながら、レインのことを考えていたのだった。

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