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今日は鯵、そしてスパイシーいなりへ

 チェーンの寿司店に行った。

 平日のお昼どきとあって、すんなり座れるけどガラガラではなく、店側も適度な気合の入りよう。

 そのためか、鯵が当たりの日で、めちゃくちゃ美味しかった。

 脂がのり、臭みがなかった。

 鯵だけクオリティが違った。

 これで私はテンション爆上がりだった。

 同じ種類は食べないつもりだったのだが、鯵だけは2皿食べてしまった。

 妻も2皿食べた。

 計4皿。

 もっと食べれたし、今日食べた皿すべて鯵でも良かったかも、とさえ思った。


 ***


 そんなふうに舞い上がっていた私は、最後に「スパイシーいなり」なる変わり種を注文した。

 多くは語らないが、これが蛇足だった。

 否。

 むしろ、これを頼んだことは正解だった。

 食欲に後ろ髪を引かれ、ずるずると注文を続け、一向に暴食の連鎖を終わらせることのできない、回転寿司という奇怪な空間に、その一撃でぴしゃりと静謐をもたらし、永遠にも思えた戦いに問答無用で終止符を打つことができたのは、あのスパイシーいなりのおかげなのだから。


 広告の謳い文句は、人気商品スパイシーサラダといなり寿司の奇跡のコラボレーション!みたいな感じだったように思う。

 私はそもそもスパイシーサラダを知らなかった。

 「写真を見て、美味しそうと思った」から頼んだのだが、「写真を見て、美味しそうと思った」なんて、「声を聞いて、息子だと思った」くらい馬鹿馬鹿しい話だ。

 もし妻がその場にいなかったなら、恥ずかしくて事後報告なんてできない案件である。

 きっと鯵食いーずハイだったのだ。


 悪い事は言わない、見た目から想像する味をご所望の方は、どちらかといえば海鮮ユッケ軍艦を頼まれると良ろしい。

 望む味がそこにはあるだろう。

 いなりの甘さに強烈なパンチをもらい受け、楽しい食事のひとときに時短ノックアウトをお見舞いされたい方は、止めはしません。

 個人の自由です、是非とも挑戦されたし、健闘をお祈り申し上げます。


 ちな、お財布にも優しい親切設計となっている。

 単価自体は高いが、損して元取れである。

 さながら、高級デパートのウインドウショッピングで悪戯に物欲を刺激されたときは、地下へ向かい高級なパンをどれでも一つだけ買うとよい、にわかに物欲が満たされ余計な買い物をしなくなるよ、という理論と同じことだ。

 鯵より10円高いスパイシーいなりよ、君に幸あれ。

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