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第109話 ホームセンター

 

 俺は「ふぅ……」と息を吐き出してから、教室を見回す。

 倉世は教室の外に出て行き、他の生徒も。俺は水戸部から買い出しに付いてくるように頼まれている為、教室に残っていた。

 ふと、椅子に座ったままの篠森が見えて。

 

「……結局、篠森には伝えれてないんだよな」

 

 タイミングを見つけられなかった。

 もう放課後になってしまった。メッセージを入れるか。

 

「よし……甲斐谷くん。忘れてないよね?」

「買い出しだろ」

 

 俺は椅子から立ち上がる。

 教室を出るタイミングで篠森に、この前の様に。その後でチャットを。

 

「そうそう」


 それが良いだろう。


「おーい、篠森も……行くよー」

 

 俺に声を掛けてから、教室に残っていた篠森に水戸部が呼びかける。

 

「篠森も、一緒なのか?」

 

 俺は驚き、思わず水戸部に向けて疑問を口にしていた。

 

「あれ、嫌だった?」

 

 俺は首を横に振って答える。

 

「いや、そうじゃなくて」


 ただ、若干思うところはあると言うだけの事だ。


「じゃあ、良いじゃん」

 

 俺は水戸部の言葉に「それは……まあ、そうだな」と頷いた。


「まあ、篠森も学園祭の手伝う事あるかって聞いてきてさ、買い出し誘ったら行くって言ってくれたんだよね」

「そう言う……」

 

 篠森が俺たちの方に近づいてくる。


「ほら」


 結局学校に戻ってくるのだからと、荷物は俺も篠森も、水戸部も自分の席に置いたままにして。

 

「職員室行くよ」

 

 水戸部の一声で移動を始める。

 クラスの予算を持っているのは先生らしく、先生の元に向かわなければならないのだと。

 

「失礼します」

 

 俺と篠森は水戸部に続いて職員室の中に入って行き、担任教師の席に向かう。

 

「ん、水戸部と篠森に……甲斐谷か」

 

 先生が俺を見て目を丸める。

 

「……まあ、篠森いるなら大丈夫か。気をつけて行ってこい」

 

 先生は机の引き出しから予算が入っているであろう封筒を取り出し、水戸部に預けた。

 

「くれぐれも問題は起こすなよ」

 

 それは、俺に向けた注意だったのか。

 

「…………はい」

 

 先生の忠告に返事をしてから、俺は「失礼しました」と一言告げ、頭を下げて職員室を出る。

 

「あの感じだと、私と甲斐谷くんだけだと小言言われてたかな」

 

 職員室を出た所で水戸部が職員室の方へと顔だけを向けてポツリと漏らす。

 

「うん、多分……篠森居ないと何か色々言われてたかもね」

「……付いてくにしたって俺だからな」

 

 それは不審がるだろう。

 よりにもよって俺なのだから。

 

「でも先生も言ってたけど、篠森も居るからね」

 

 水戸部はそう言って篠森の方に向く。

 

「誰だって変わんないって」

 

 篠森の言葉に「いやいや、わかんないよ?」と水戸部は返す。

 

「ま、それはもう良いや。早いとこ行って、早く帰ろっか」

 

 一階、生徒玄関。

 靴を履き替えようと下履きに手を伸ばす。ふと、倉世の下駄箱には未だ下履きが残っているのが見えた。まだ帰っていないらしい。

 

「…………」

 

 今は関係ない。

 俺は自分の靴を取り、上履きを下駄箱に入れ、履き替える。

 

「で、ホームセンターにする? それともスーパー?」


 外に出た所で、水戸部が俺と篠森に聞いてくる。


「学校からだとホームセンターの方が近いと思うけど」

「甲斐谷くんもホームセンターで良い?」


 水戸部の確認に俺は「ああ」と答える。


「じゃあ、ホームセンターにしよっか」


 水戸部は言う。


「────お、見えてきた」

 

 しばらく歩くと、ホームセンターが目に入った。

 買い物カゴを持つことも無く、ホームセンター内に入る。

  

「よし。じゃあ、ガムテープとカッターね」

 

 早速と、目的のガムテープとカッターの売り場を探す。

 

「文房具コーナーにどっちもあるよね、多分」

 

 水戸部はそう言って文房具のコーナーに向かって移動し、探し始めると水戸部が「おっ」と声を上げる。

 

「どうした」

 

 俺は水戸部の方に近づく。

 

「ほら、カッター見つかったから」

 

 水戸部の指先の延長を目で追いかける。確かに何種類かのカッターが並べられている。

 

「で、どれにするんだ?」

 

 値段もそれぞれで変わってくる。

 この辺りは予算を把握している水戸部に委ねるのが良いだろう。

 

「んー、安いの三つくらいで良いと思うけど」

 

 そう言って水戸部が並べられている中でも最も安いものを三つ手に取る。

 

「別に良いの買った所で、学園祭でしか使わないと思うし」

 

 俺たちがカッターを使う様な場面も限られている。その上、予算も有限なら確かに安い物の方が良いとなるのは当然だ。

 

「カッターあったし、後はガムテープなんだけど……」

 

 ガムテープが置いてないかと、探すために俺は顔を上げる。

 

「ガムテープ、無かった」

 

 文房具コーナーを一通り見てきたのか、篠森が水戸部にそう報告する。後は地道に探し出すか。とは言え、電化製品のコーナーだとかではないだろうことはわかる。

 

「あっち、かな……?」

 

 篠森の指差した方向に三人で進む。

 文房具コーナーの直ぐ近く、梱包資材のコーナーを通りがかった所で紙テープが並べられているのが目に入る。


「なら、ガムテープも……あったな」


 水戸部と篠森もガムテープがあると分かったらしい。


「お、ガムテープあったね」


 水戸部はガムテープを手に取り、物色を始めた。


「んー……これは二つ、かな?」


 どの程度必要になるかは分からないが一先ずは、と言った感じか。


「じゃあ、ちょっと買ってくるね」


 そう言って水戸部が会計の為にレジに向かう。

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