第2実技試験12
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咄嗟に取った移動方法だったが思いの外良案だったようだ。
セレスティアに着弾する前にゴベルスドラゴンの毒液攻撃を防御魔法で止められる圏内に入れたことでそう思った。
ジェット気流を作る手とは逆の手をセレスティアに向けて翳し、彼女の眼前に迫る毒液から守るように防御魔法を展開した。
先程防御した毒液攻撃よりも強かったようで少しダメージによるひび割れは見えるがセレスティアは無事だったので良いだろう。
ただしそう何発も保つものではなさそうだ。
防がれることを読んでいたのか、それともオーバーキルするつもりだったのか既に次の攻撃をしているゴベルスドラゴンを見つつ、追加の毒液を避けるために風魔法を弱めてから接近しセレスティアの腕を掴み退避した。
あの個体は毒液に自信があるのか、やけに毒液攻撃に頼っている。
それとそろそろ竜巻の方も突破されそう。
チラリと目をやって確認すると私が起こした竜巻が弱まっていてゴベルスドラゴンが地面に着くまであと少し、という所だった。
尻尾を折り畳み翼を広げてブレスをぶつけて竜巻を掻き消そうとしているようだ。
片手で使っていた風魔法を少しずつ弱めて浮遊魔法を解くと、追いかけて来ようとしている2頭に向けて魔法を使おうとセレスティアの手を離そうとした。
しかし持ち上げようとした私の腕に震えるセレスティアの手が強く絡まり魔法を使うのが遅れた。
慌ててセレスティアを見ると彼女も今気が付いたようで小さくぁ、と呟くとパッと手を私の腕から離した。
再度魔法を使うためにゴベルスドラゴン達を見たが、何故か1頭見当たらない。
っ!?
何処に行った!?
左右を見回そうと顔を横に振った時、不意に頭上が暗くなった。
嫌な予感がしつつも防御魔法を展開しようと手を翳した。
しかしその前に手に強い衝撃が走りボキリと鈍い音がした。
鈍い激痛を感じながらも反射的に肘を折って畳むとセレスティアに追撃が当たらないように防御魔法を張った。
「ごめんなさいっ私、」
「私は大丈夫だから、目を離しちゃダメ!」
謝ろうとしてこちらを振り向いたセレスティアにゴベルスドラゴンから目を離さないように言うと、唇をグッと噛んで正面を見直した。
痛みで手が動く気配がない、ってか動かせない。
これ折れてる?
骨折とかいつぶりだろう……師匠と組み手した時以来かな。
だらりと力無く垂れ下がる手首を憎らしく見るが痛みが無くなる気配はない。
現世の時より痛みには多少強くなったものの、やはり試験中じゃなかったら叫んでいたくらい痛い。
痛みから冷や汗がたらりと米神を伝った。
どんどん手首の関節が膨らんで腫れて行くのを感じながら防御魔法の展開に集中した。
セレスティアを後ろに庇いながら2匹のゴベルスドラゴンの攻撃を防御魔法で防いでいたが、それも長く続きそうにない。
毒液攻撃にブレスと強力な魔法攻撃を立て続けに受けている防壁にはヒビが入っていた。
そしてついに毒液攻撃に負けて砕けた防護壁の間から大きなブレスが飛んできた。
折れた手を激痛に耐えながら持ち上げて風魔法を使い相殺しようとしたが、全く力が入らなかった。
そこへセレスティアが両手を翳して詠唱し私と同じ風魔法を使用して2人分合わせて何とか纏まった風を作り出した。
なけなしの風魔法とゴベルスドラゴンのブレスがぶつかった瞬間、私達の体は大きく吹き飛ばされてセレスティアと離れ離れになってしまった。
ゴロゴロと転がった際、地面に負傷した方の手を打ち付けて思わず呻くと突然体からガクリと力が抜けた。
この感じ、まさか……!
体の中から力を奪われて行く感覚に既視感があり、痛みを堪えながら体を起こすとそこには予想通りの光景が広がっていた。
地面に現れた大きな召喚魔法陣の上には大きな黒い影が落ちていて砂埃が晴れると、父親譲りの棘のある尻尾に母親譲りの美しい翼を持ち生まれたての頃とは違い翼の小さなトカゲから大きな美しいドラゴンになったレジーナがいた。
ゴベルスドラゴンのブレスの余韻があったはずだが、まるでそよ風でも吹いた?程度のリアクションで呑気に伸びをしていた。
魔物との戦闘行為は基本避けて採取や捕獲を優先して来ていた日々を少しだけ悔やみつつ、代わりに日々ファルファーラの森を飛び回って修行しまくっているレジーナの戦闘力に期待した。
来てしまったのは想定外だったがもうなりふり構っていられない。
こちらの指示を待っているレジーナに2頭のゴベルスドラゴンを攻撃するように言って、吹き飛ばされたセレスティアを探すことにした。
急な展開にいつもの調子で流されるままレジーナへ指示をした私は、会場の悲鳴とどよめきの声なんて全く聞こえていなかった。
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