第2実技試験11
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一瞬呆けた顔をしていたセレスティアも、眉間に皺を寄せ始めたニイーズナーさんの咳払いにハッとした様子で後ろへ下がった。
ニイーズナーさんから参加の有無を確認されたのでこのまま受けます、と答えた。
私の返答に満足した様子で頷くと檻に向かって詠唱して掛けられた魔法を解除した。
「女神の加護を与えられし我が身に宿る源流の力よ、檻に掛けられし拘束を解除せよ。……生き残れよ」
ニイーズナーさんまでもが死亡フラグの立ちそうな言葉を残して運動場の端へ浮遊魔法で移動して行った。
檻の扉がガシャン!と重い音を立てて外れると中からのっそりと2頭のドラゴンが日の元へ出て来た。
後ろに控えるセレスティアの姿を見ることは出来ないが、感知魔法では居場所は変わっていない。
息を荒く吐く2頭は相当気が立っているようで1頭が大きく上空へ向かい咆哮を上げると、次いでもう1頭も咆哮を上げた。
2頭の咆哮が合わさりビリビリと空気を震わせると運動場の周りで待機している人達がピリッと身構えたのを感じた。
ターゲットはこちらに向いているがいつ他へ攻撃するか分からないからだろうか。
この場にいる誰もが緊張しているのがなんとなく分かった。
先に動いたのは魔物の方で1頭が3本の尻尾をピッと頭の上まで伸ばすとその内の1本からビュッと何かを射出して来た。
防御魔法が通用するか分からないので浮遊魔法で横へ避け、そのまま火属性魔法の上位である炎魔法で2頭を囲い込むように攻撃した。
先程聞いたこの魔物の特徴で元は西から来たと言っていた。
西の魔物は毒属性魔法を使える種が多く、代わりに火属性魔法を苦手とする魔物が多かった。
なのであそこで暮らす時には炎魔法で周囲の植物や毒性のある蟲などを焼き払って毒持ちを寄せ付けないように魔法薬を散布してから生活基盤を作るのだと師匠から聞いたことがあった。
中には揮発性の毒を使いわざと引火させる狡猾な魔物や植物もいるそうだが、もしそうであったとしても最初の攻撃やゴベルスドラゴンからは十分に距離を取っているので回避可能と判断した。
すると2頭のうち尻尾から毒を吐いた1頭が慌てて尻尾を1本に閉じると檻の上へ跳躍して退避した。
もう1頭は口を大きく開けて空気を圧縮したブレスを地面に吐き巨体を浮かせて回避していた。
これであの尻尾が熱に弱いことが分かり、体格の割に小さい翼は飛翔に向かないことも分かった。
先程私が攻撃された場所を見ると地面に紫色の液体が掛かっていて煙を上げて溶けているらしいことが分かった。
三叉に別れた内の1つから溶解液が出るというのは分かったがそれがどの尻尾から出るのか、全て同じ毒なのかはまだ分からない。
ブレスで回避した方が巨体に似合わないくねった動きで素早く接近して私に向けて尻尾を開き別れた3つの尾先からそれぞれ液体を射出してきた。
この魔物の主な攻撃方法は尻尾からの毒液攻撃なのか、と考えつつ防御魔法を展開しながら魔法で後退すると毒液は防御魔法に防がれてこちらへ届くことはなかった。
これで防御魔法も使えるな、と思っていたらグワっとゴベルスドラゴンの口が近付いてきて防御魔法に空気を圧縮したブレスをぶつけて来た。
あの巨体を支えるレベルなら相当な圧力のはず。
もしかしたら防御魔法が破られるかも知れないな。
勿論防御魔法展開と同時に後退していた為、仮に破られてもこちらに攻撃が届く前に対処出来る。
しかしその心配は杞憂だったようでブレスによる空砲も無事防御魔法に弾かれた。
あれ?私の魔法練度意外と良かったりする?
もしかしてこのまま押し切れちゃったり?
そんな感じでやや調子に乗ったのが災いしたのか、怒ったゴベルスドラゴンが更にブレスを何発も防御魔法にぶつけ始めた。
徐々にひび割れてきたそれに焦りつつ、気付けばもう1頭の檻に退避したゴベルスドラゴンが突然飛び上がって背中の翼をピンと張ってハンググライダーのように滑空を始めた。
え、その小さい翼って退化したんじゃなくてそんな使い方するんだ!?
驚きと感心で目をやっているとゴベルスドラゴンの行き先を見てマズいと声を張り上げた。
「セレスティア!そっちに行ったよ!!」
「っ!ぁ、」
展開が早かったのでただ対応が遅れたのか、それとも恐怖で足が竦んでしまっていたのか。
どちらにせよセレスティアが状況を把握して動き出すには少し遅かった。
こちらはテンポ良くやりあっていたのでわざと不意打ちのようなタイミングで檻を飛び立ったと見られる。
器用に滑空しながら尻尾を構えて三叉にするとそれぞれから毒液が噴出した。
それは一直線にセレスティア目掛けて飛んで行き、彼女の顔面に降り掛かろうとしていた。
少し離れてしまっていたことを後悔しながらセレスティアの名前を呼びながら防御魔法を1度解除して手を翳し目の前のゴベルスドラゴンへ向けて特大竜巻をお見舞いした。
滑空するだけの機能しかない翼では大きく竜巻に逆らえないだろうと判断したからだ。
あの巨体を巻き上げるだけの風力を生むのは少し手間だが封じるのは技の性質的に風属性魔法の方が相性が良かった。
そして体を巻き上げられ身動きの取れなくなったドラゴンを確認することなく、そのままセレスティアの元へ浮遊魔法に加えて手のひらから圧縮した風魔法を噴射してジェット気流を作り高速で移動した。
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