第2実技試験8
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今までの参加者の中でも1、2を争う圧倒的な実力に皆驚いて彼らに見入ってしまっていた。
かく言う私も師匠とはまた違う棒術のようなものを使った戦闘スタイルに珍しさもありつい集中して見てしまったのだが。
颯爽と試合を済ませてしまった2人を見ていると、ギルが突然くるりと振り返りこちらを見て来た。
パチリと視線がかち合うとニコりと微笑んで連れの金髪の少年の腕を引きこちらへやって来た。
少年はギルに耳元で何事か囁かれると抵抗することなく腕を組んで一緒に歩いて来た。
すると一部のギャラリーがワッと騒つくと次いでヒソヒソと噂されているのが分かるような話し声があちこちから聞こえて来た。
噂をしているのはちょうど私達と同じ側の観客席で試合を観ていた人たちのようだ。
「なぜあの方がこちらに……!?」
「嘘、まさかわたくしの所に?」
「私のお父様はガレリア帝国の軍隊長候補ですのよ?きっと私の所に違いありませんわ!」
「入試中は単独行動をされると思っていたが……一体誰の所へ向かっているんだ?」
「わざわざ国外で目を付けられたとなると、相当な実力者なんだろうな」
「ガレリア帝国皇子が自ら足を運ぶなんて……もしかして近衛隊にスカウトするのかな?」
ザワザワとしていて周囲の人達がどんな話をしているのかは聞こえないが、有名人そうな感じなのでやっぱりギルは良いとこの生まれなんだというのは何となく分かった。
人間である私より耳の良い魔人の2人は顔をポカーンと開けてギル達を見ていたかと思うと、クラレスがこちらをバッと振り返り私の肩を勢い良く掴んだ。
「ああああの、レヴィはギルさんの正体に気付いてたの!?」
「え?庶民じゃないだろうなぁくらいにしか……どういうこと?」
「そんなことはワタシでも分かるゾ!そうじゃなくて、アイツの隣にいるニンゲン、」
「あの金髪の人、ガレリア帝国の皇子様だったんだね!」
あわわ!と忙しなく手をバタバタさせながら話すクラレスと目をぐるぐる回しながら付け足すニーナを差し置いて、ピティがあっさりと特大の爆弾を投下した。
へぇーガレリア帝国の皇子様……はぁぁあ!?
ってことはギル、良いとこの生まれどころじゃない!!?
どうしよう何にも考えずに実技試験中気安い態度取ってた……やばい。
もしかしてにこやかに微笑んでるのも今までの無礼を詫びさせてやるって息巻いてるとか?
ガレリアの貴族に対する不敬の罪ってアルテナス神興国でも適用されるのかな。
罪に問われたらどうしよう!
田舎者で無知でしたすみませんじゃ済まされないよね!?
仮に不敬罪で捕えられた場合のことを想像して顔を青くしていると、いつの間にか近くまでギル達がやって来ていることに気が付いた。
ここはいち早く弁明しておかないと!
「ごめんなさい!そんなに偉い人だとは思わなくて、色々許して下さい!」
「何を言っているんです?僕は何もされていないので許すこともないのですが……」
「レヴィ、自分から声を掛けては駄目なのよ」
そう叱咤するセレスティアの声にはっ!とラリューヌさんとの一般教養の授業を思い出して更に顔を青くした。
すっかり忘れてた!貴族の人には自分から声を掛けちゃいけないんだった!!
どうしよう、どうしよう!とニーナとピティを見るがそんなもの無縁だと言わんばかりに目を逸らされた。
クラレスとセレスティアは既に額に手を当て天を仰いでいた。
「ふふ、ははは」
「ちょっとグレイ、笑っては失礼ですよ。くすっ」
「……え?」
「すみません、気を悪くしないで下さい。ちょっと珍しい反応だったもので」
「面白い気配だ。それに加え高度な魔法……興味深いな」
突然笑い出した金髪の少年に戸惑っているとギルから助け舟が、と言っていいかは要審議だが、出された。
ギルから高度な魔法を複数、無詠唱で発動する私のことを聞いていて一度見てみたかったらしい。
黄色い声を上げるでもなく、ただ慌てふためく私達が珍しかったそうな。
そりゃあ森育ちの私には皇子様なんか無縁だし、ピティやセレスティアも田舎育ちと言っていたから耐性なんかないに等しい。
魔人の皆はどうか分からないがクラレスはお祖母さんから礼儀作法を教わっているようだからもしかしたらこのメンツでは1番ちゃんとした家柄かも知れない。
私を見に来た、と近所の飼い犬にでも会いに来たかのようなノリで言われたが今現在も周囲のザワザワは大きくなるばかりだ。
特にご令嬢達からの突き刺さるような視線の痛いこと。
これらに絶対気が付いている筈なのに、尚も素知らぬ顔で微笑んでいるギルに不満の目を向けた。
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