表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/96

散策2

閲覧ありがとうございます!



「なんですと!!?」


口から出てしまったものは引っ込められない。


また周辺の人々から怪訝な視線を頂く羽目になってしまった。

そろそろここを離れた方が良いかも…。



まだ朝市の時間ではあるが居た堪れなくなってその場を離れることにした。

あぁ、南国のフルーツに東の国の茶葉に獲れたてのお魚…さらば。


とりあえず女神様と話すために人気のない路地へ向かった。

昨日の様に不審者に会わないように大通りと大通りの間で人の通りがそれなりにある所を選んだ。


もし仮にまた会っても逃げ道は確保出来る!

大通りの近くだけあってこれだけ道が広ければフェローを喚び出して逃げることも出来るだろう。

ただ立ち止まっていると不自然だから歩きながら話せばいいか。




ーいつでも主導権を入れ替えることが出来るの?


『いつでも、ではないけど貴女が弱った時とか緊急時とか呼ばれた時は出られるワ』


ーその時私はどうなってるの?


『今の私みたいに外の世界の事を体を通して見られるワ』


ー女神様の意思では出てこられるの?


『一応ね。でも人と話すのは好きじゃないから進んで出ることはないと思うから、安心して良いワよ』




じゃあメインの体の持ち主になるのは私って事で良いのかな?

女神様あんまり外に出るの乗り気そうじゃないし。


よく他の人格と体を共有すると相手が乗っ取ろうとするイメージがあったから不安になっちゃった。

一心同体って言ってたし女神様にはその気はなさそうで一先ず安心した。




ホッと胸を撫で下ろしてから今度こそ市場を散策しよう!と意気込み、

数歩進んでからピタッと止まった。



あれ、ここどこだ?



デジャヴを感じるぞ。

昨日も似たようなことなかったか?


そんなに長く喋ってなかったのにまた見知らぬ路地に来てしまった。

カリギュラの市場広すぎなんじゃ?

現地の人は迷わないのかな。



キョロキョロしてなんとなく店が露店でなく扉のある所がちらほらある場所を探した。


魔法道具はデリケートな物も多いので屋内で保管して販売するのが基本だ。

他にも乾燥した素材など屋外で販売可能な物は沢山あるが、魔法道具を販売している店は区画が決められていて密集しているはずなので今回は目印として利用した。





アレだ!

見るからに魔法道具売ってますよ、と主張しているエリアを見つけた。

陽当たりの良い店はショーウィンドウに綺麗な鉱石が置いてありキラキラ輝いている。

木の扉にはアンティークな金属の模様がありドアベルの上に星型の金属が乗っている。


文字が読めない人も分かるように店で扱っている物をあのエンブレムで教えているのだ。


星は鉱石や薬草などの魔法素材、大鍋は魔法道具、ドラゴンは魔物の素材、剣は武具、帽子は魔法の掛かった衣類、箒は魔法の掛かった雑貨類を扱っているそうだ。


他にも城下町などでは高級な仕立て屋専用やらお菓子のお店用やら色々あるらしい。

ここでは殆どの店が露店なのであまり関係ないようだが。





やっと目的のゾーンに到着してさぁどこから回ろうか?と露店の店先を眺めていると、




「おい、頼むよ!オレにはどれが良いんだか分からないんだ!」


「悪いが俺は医者じゃねぇ。どれが効くかなんて教えられねぇよ」


「分かんねぇけどなんかの呪いだよ!じゃなきゃあんな苦しむはずがねぇ!」



私のいる通りの入り口から少し入ったところ、日陰になっているせいか店全体が苔むして仄暗い雰囲気の露店に赤茶色の髪の少年が店主らしき小太りの男に噛み付かんばかりに声を上げていた。



「そんなこと言ったってねぇ。歯からの出血に全身のアザに動けないくらいの疲労感に急に怒りっぽい、なんてそんな沢山の症状に一度に効く魔法薬なんて扱ってないよ。他所を当たりな」


「オヤジはずっと遠洋に出てやっと帰ったばかりだったんだ。途中で何かに呪われたに違いねぇ!」


「だから俺は医者じゃねぇって言ってるだろ。商売の邪魔だ。これ以上騒ぐなら組合兵を呼ぶぞ」


「っ、クソ!」




男性にそう言われると悔しそうに吐き捨てて少年は走り去った。

因みに組合兵はカリギュラを取り仕切る中央組合の自警団で市場の治安維持を目的にしている武闘派集団である。


…それって呪いなの?壊血病とかではなく?


壊血病とは長期間ビタミンCを摂らずにいることで出血を止められなくなる病気だ。

ビタミンCは骨や皮膚の成長や赤血球の形成を助けたりと幅広い仕事をしている。

昔はよくビタミンCの含まれる新鮮な果物とかが食べられない船乗りが罹ってた病気だったと思うけど、ここでもそうなのかな?



何となく心当たりがあって解決法も私の考えている通りなら簡単なわけで。

ただ行動しても良いものか悩んだ。


恐らく壊血病だろうとは思うが彼が呪いだと決めつけていたのも気になるし、魔法で鮮度を保てる筈だから遠洋にいたとはいえ果物くらい食べられたのでは?




ーあー、でも気になるなぁ。



『なら行けば良いワ。さっきの子ならそこの角を曲がった先で蹲ってるワよ』


ーえ、女神様そんなこと分かるの?


『簡単な感知魔法よ。貴女もそのうち出来るようになるワ』


ーへぇ〜便利そう。他に何か出来るの?


『…まぁ、色々出来るワ』




女神様があんまり言いたくなさそうなので、これ以上は深く聞かないことにした。


さっきの少年は近くにいるらしいので、一応役立ちそうな物を買っていこうと思う。

ついでに師匠のお使いも済ませちゃおうかな。


朝もらった追加の軍資金とお使いメモをローブのポケットから取り出した。

メモにはファルファーラの森では見ないものが多く書かれていた。

中には私が全く知らないものも書いてある。

なんだこの水竜の髭にアルラウネの花粉って…分かるけど気になるチョイスじゃないか。




先程突っかかられていた店主の店へ行ってみようかな。

さっきの話の詳細も聞いておきたいし。



「あの、すみません」


「いらっしゃい。何かお探しですか?」


「こちらにオークの角とハナツボカズラは置いていますか?」


「お客さん運が良いね。ちょうどハナツボカズラの大きいのが手に入りまして。オークの角もうちのは大きいのが揃ってますよ」


「では一番大きな物をお願いします」



背が低いせいか年齢より下に見られるけど、市場の人も宿の人も私を子供扱いしては来ない。

多分ローブを被ってるから人相が分からないのもあると思うが一番はもし貴族のお忍びだった場合、下手に扱うと大変なことになるからだ。


この店主も先程の少年への対応なんて感じさせない丁寧な接客だった。



「はい。こちらでお間違いないですか?」


「ありがとうございます。本当に大きいですね」


「そうでしょう!持ち帰りはどうします?宿まで届けましょうか?」



ここでは持ち帰れない物は収納魔法で仕舞うか転移魔法で送ってもらうか配達屋さんに届けてもらうらしいのだ。

たまに師匠が何処ぞで買い付けた物が送られてくるのだが、転移魔法陣が倉庫に放置してあった時は周りの物が雪崩れて来て大変だった…。


拡張魔法を上書きしてポシェットに入れられるようにすることも考えたが、他にも買うかもしれないので出来れば空けておきたい。

そうなると宿まで送ってもらう方が良いかもしれないな。



「宿へお願いしても良いですか?場所はー」


「…はい。ではこちらにお届けしますよ。先に前金を頂きますね」


「こちらで。あの、さっきここにいた男の子は…」


「ちょうど頂きます。アイツはアストライオって言って船乗りの親父さんがいるんですよ」


「お父様は具合が悪いそうですね」


「そうなんです。生憎こちらにはどうしてやることも出来ないので。噂の聖女様がホントにいるんならお願いに行けるんでしょうけどね」




聖女様?あー朝師匠が言ってたな。

帝国の皇子様が探してるとかなんとか。

わざわざ王族がここまで来たってこと?


店主曰く、カリギュラには医師がおらず交易船に船医が乗っていれば診てもらう程度だという。

それも組合の用意した簡易診療所で無償奉仕らしいのでほぼ善意で成り立っているとか。


なんだそりゃ。

思わず呆れて半目になってしまった。


.

いいね、評価などありがとうございます!


もし面白いと思われた方がいらっしゃればいいねや評価、ブックマークなど頂ければ嬉しく思います!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ