第2実技試験5
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「あの、貴方一体何なんですか?」
「お前らこの檻の魔物と戦うんだろ!?僕もそうだった!これから棄権するからその予定はなくなるけどな!」
私の問いを完璧にスルーして続けられる言葉。
ちょっとは話聞いてくれてもいいのに。
仕方なく残るもう1つ檻に下げられたプレートを見ると55番との表記。
そして私達に向けて自分の引いた木札を見せる青年の番号も55番だった。
確かに見るからにヤバそうな檻ではあるが、まだ中が見えていないのに何故魔物が何なのか分かるんだろうか。
セレスティアと共に首を傾げていると、青年は馬鹿にしたように荒く鼻を鳴らして言った。
「お前達は外から来たから知らないだろうが、この国では北のダンジョンでこんな扱いを受けるような危険性の高い魔物は決まってる!深層のゴベルスドラゴンだ!!」
「ゴベルス、ドラゴン?」
聞いたことのない名前に首を傾げたままの私とは対象的にセレスティア達は青年の言った魔物の名前を知っているらしく、聞き耳を立てていた周囲の人達と共にプチパニックを起こしていた。
「な、あのゴベルスドラゴンを捕獲したって言うの!?」
「そんな……生きて試験を終えられるかも分からないわっ」
「ワタシでも流石に……レヴィ、やめた方が良いんじゃないカ?」
「ゴベルスドラゴン!?御伽話じゃないのか?まさか本物がまだ生きてるわけないだろ……随分と昔に追い出されたって聞いたぞ?」
「馬鹿、そりゃあフレアドラゴンのことだ。ゴベルスドラゴンってのはフレアドラゴンが討伐された後に北に棲み着いたって言われるドラゴンだよ」
「フレアドラゴンなんてそれこそ御伽話よ。ドラゴン自体がそもそも滅多にお目にかかることなんてないんだから」
「ゴベルスドラゴンもドラゴンというより毒蛇に近い生態だと聞いたことがありますわ。フレアドラゴンがいなくなった後のダンジョンの跡地を他の魔物と争って勝利したのでしょう?」
皆あの檻の中が気になっていたのか、ざわざわと噂する声があちこちから聞こえてきた。
ゴベルスドラゴンかぁ。
フレアドラゴンの後に棲み着いたってことはピラミッド的にはフレアドラゴンが頂点ってことだよね。
ドラゴンを見たことがない人も多いらしく、やれ火を吐くらしいとかフレアドラゴンはもう絶滅しているとか好き放題話している。
私としては師匠の使い魔にクイーンがいてそのお世話もしていたからドラゴンは比較的見慣れているし、なんならフレアドラゴンの生き残りであるアンペルとも交流させてもらっているので特に物珍しさは感じていない。
ただ周りにいる誰かがゴベルスドラゴンの生態が毒蛇っぽいと話しているのが聞こえたのでそれが気になった。
ゴベルスドラゴンという名前を初めて聞いたので、これから相手をするならどんな魔物なのかは出来る限り知っておきたい。
ということでちょうど良いのが目の前にあるわけだから、ついでに聞いてみることにした。
「ゴベルスドラゴン、だっけ?この檻の中にいるのは確定なのかな?」
「さっき試験官が北のダンジョンから捕獲して来た、と言っていただろう?ならそれ以外の土地から連れて来てはいないはずだ。あのダンジョンは大昔にフレアドラゴン狩りの為に大規模な討伐部隊が入ってから深層以外には強い魔物が殆ど確認されていないと言われている」
だからこそ今回の試験に使うことを選んだんだろう。
そう続けた青年がだが!と拳を強く握って続けた。
「それだけでは試験として難所が足らないと判断したのか何なのか、深層にしか生息していないはずのゴベルスドラゴンを連れて来るなんて学院側はどうかしている!」
「つまりゴベルスドラゴンはダンジョンのボス的な存在ってこと?一体どんな攻撃をするの?」
「お前本当に戦う気か?アイツらは元々西からやって来たと言われているから北の寒さに適応した種類みたいだな。でも西の魔物特有の毒属性攻撃もすると聞いたぞ」
ふむ、やっぱり西の魔物は毒が得意なんだな。
クイーンも毒属性魔法は使えないけど耐性は高いって師匠が前に言っていたし。
顎に手を当てて対処法を思案していると青年が正気か?と言いたげな顔でこちらを見ていた。
気が付けば周りの人が皆私を見ていて、つい首を傾げていたらセレスティアが唇を震わせて聞いて来た。
「あ、貴女本当に戦う気なの?」
「そりゃあ、やらないと失格になっちゃうし。それにまだゴベルスドラゴンが相手って決まったわけじゃないでしょ?一応檻の中は見えてないんだから」
「そうかもしれないけど……もし彼の言ってることが当たっていたら、」
「無理だったら即棄権すれば良いよ。先生達もいるんだし、止めてくれるでしょう」
止めてくれたら良いなぁ。
流石に試験中に死者が出たら外聞が悪いはずだし、止めてくれるよね?
希望的観測も含みつつセレスティアの疑問に返答すると、彼女もまたヴィアラクテアの端からやって来たと言っていたからかすぐに棄権するのは気が進まないようだった。
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