第2実技試験3
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運動場の中心まで来ると指を振って小さなテーブルと両手程の木箱を出した男性は今回の試験の概要を話し始めた。
「これより第2実技試験を始める。残ったのはこちらとあちらで合わせて300人程度となった。諸君らには我々が北部のダンジョンで捕獲して来た魔物と戦ってもらう。魔物の檻にはこの木箱に入っている木札と同じ番号が振ってある。これから1人ずつこの中から木札を1枚引き、該当する魔物と戦ってもらう。どんな魔物と戦うかは事前に確認しても良い。無理だと思った者は棄権するのも手だ。しかしその場合は即失格となる」
……な、なんだってー!!?
ダンジョンの魔物って普通の街道とか森に出て来るのより強い個体が多いって聞いたけど!?
ポカーンとする私の横であばばばばと唇を震わせているクラレスがき、北って東よりも強い魔物が多いってお祖母様が言ってた……!と早口で呟いていた。
ニーナも猫耳部分と尻尾の毛を逆立てながら腕が鳴るゾ!と言っていたが強がっている部分もありそうだ。
セレスティアは予想していたのかあまり驚いた様子はなく、ピティはよく分かってなさそうな顔で魔物かぁ、仲良くなれるかな?と言っていた。
流石に仲良くはなれないと思うがそれをツッコむ気力のある人はいなかったようでその呟きに対しては誰も何も言わなかった。
緑髪の男性がそう説明した時点で既に何名かの人が手を挙げて棄権していった。
せめてクジを引いて魔物を見てから考えれば良いのに、と思ったが試験内容が向かないと悟ったんだろうか。
誘導員に連れられて去って行く彼等の後ろ姿をしばし眺めているとクジ引きの列が出来ていることに気が付いた。
「レヴィ、こっちだゾ!」
「先に並んでるよ!」
ニーナとピティが声を掛けてくれたので最後尾に一緒に並ぶことにした。
魔物の種類は様々で先に並んでいたとしても何の魔物が当たるか分からないことに加え、棄権している人が今もチラホラ出ていることから魔物の数が当初の人数分用意されているとして、危険な魔物に当たる確率は大して変わらないと考えられる。
なので急いで並んでも見るからにヤバそうな見た目の魔物に当たる人がいれば、小さな犬くらいの大きさの魔物の人もいた。
前者は檻の中で暴れているそれを見て棄権を決めた人もいるし、後者は余裕の表情で試験開始を待っている人が多かった。
「……全員が引き終わったら早速番号順に呼び出すので魔物の確認をするなら早めにやっておくこと。後ほどルールと合格条件を伝える」
待っている間にテーブルの近くにいる緑の髪の男性からアナウンスがあった。
クジを持っているのはライトグレーのベストの青年で赤いネクタイに目が行った。
あれ?昨日警護に立っていた人達はグレーや茶色のネクタイが多かったけど、これは指定なのかな?
通りがかった女生徒達の中にも茶色やグレー、たまに赤いリボンを着けている人がいたのでもしかしたら何かのランク分けで支給されるのかもしれない。
そろそろ順番が来る、というところでニーナが先に行ク!と前に出たので大人しく譲ることにした。
次いでピティもニーナの傍にいたので必然的に2番目に。
更にセレスティアもそこへ並び3番目。
クラレスが緊張しているのか足取りが遅くなって行くのでそれを見守るために私が最後に並ぶことにした。
木箱を前に意気揚々と手を突っ込んだニーナが引いたのは83番という木札だった。
それを見て興奮した様子で木箱に手を入れたピティは20番を、緊張しているのか強張った表情で木札を引いたセレスティアは189番だった。
そしてクラレスが恐る恐る引いたのは154番。
全員が引き終わってもまだ魔物を見に行かずに待ってくれるらしく、4人の視線を受けながら私も自分のクジを引くことにした。
魔物の種類とか種族については大まかにしか勉強してないから、出来れば未知の種族は当たりませんように!
私の中の女神様に祈りを捧げるように心の中で念じながら木箱に手を入れ最初に触れた木札を選び取った。
237番と書かれた木札を両手で握り締めてもう一度ダメ元で祈ってみた。
その際何故か私の中で女神様がフッと鼻で笑うような音を出したのを聞いた気がした。
ー自称とは言え女神なんだからお願いくらい聞き届けてよ!
『なぁんで私がそんなことしなきゃいけないの?というかこれに関しては私の専門外だワ』
ーいや、そうなんだけど!分かってはいてもお願いしちゃうのが日本人のサガっていうか……
『そうよ日本人!貴女の世界の漫画、日本人ってとんでもない人種だワ!あんな作品を思い付いたり本業じゃないのにとんでもなく上手な絵を描いたりするなんて!』
ーあぁ、野生のプロと呼ばれる方々だね。私の記憶で見たの?
『ぱそこん?という魔道具を最近使えるようになったワ。お陰で知見が広がった気がする!』
ーパソコンは魔道具じゃないけど、それは良かった。でもその知見というのはちょっと偏ってそう……。
『ということで私は忙しいから!試験頑張るのよ〜』
ーえ?ちょっと女神様!?
ぷちん、と髪の毛を千切るような軽い音が鳴ると女神様からのコンタクトは完全に沈黙した。
マイペースな女神様に木札を手に持ったまま数拍思考停止してしまった私は悪くないと思う。
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