第2実技試験1
閲覧ありがとうございます!
夜の女子トークは次の日が実技試験ということで早めに切り上げられることとなったが、皆初対面とは思えない程に打ち解けることが出来たと思う。
前日無理せずに切り上げた甲斐があり思いの外早くに目が覚めた早朝。
クラレスも同じ頃に起床し少しの間談笑して過ごした。
水に浸かれたのが良かったのか、魔道具を装着して人型になり食事を共にした時は昨日よりもかなり顔色が良くなっていた。
人魚から人になる時の変化は思わずじっと魅入ってしまうくらい綺麗だった。
耳の代わりに生えていたエラが引っ込んでいき、体のあちこちを覆っていた鱗も消えてそれぞれ耳と人の皮膚になった。
全体的に瞳と同じ青緑色の鱗や尾鰭が肌色になっていくのは珍しくて不思議な感覚がした。
今日の試験についての詳細はまだ何も説明されていないが、冊子にはスケジュールが記載されていて朝7時に食事が運ばれてくることと9時には部屋を出て階段のあるホールで待つようにと指示があった。
7時にテーブルに置いてある魔道具のマットを介して送られて来た朝食を食べていた私とクラレスは、起きる気配のない2人に呆れながらも30分頃には食事の手を止めて1度起こすことにした。
ニーナの寝起きの悪さは何となく想像が付いていたが、ピティは普段よりもぐっすり眠ってしまっていたと笑っていた。
試験期間中にぐっすり寝れるなんて逆に凄いのでは?と呆れつつも感心してしまった。
意識が覚醒するとすぐにシャキッと動き出したピティと比べ、クラレスに着替えを手伝ってもらいながら寝ぼけ眼でボーッとしているニーナに何となく育ちの良さを感じた。
昨日の女子トークでピティは教会に併設された孤児院の出身と言っていたので、きっと朝の身支度は自分でやっているんだろう。
手慣れた動作でテキパキと衣服を着替えて食事を始めていた。
対してニーナは人に手伝ってもらうのが当たり前のような仕草にのろのろとした動き。
現代の学生時代の私のようだと思った理由がこれでよく分かった。
あの頃の私はそれがどれほど恵まれていたかを全く理解していなかった。
起こしてくれる人がいて、世話を焼いてくれる人がいること。
日頃師匠を起こして身支度を手伝い、パピヨンの食糧事情を担っているからこそその役割の大変さが身に沁みて分かった。
ニーナの周りには彼女に目を掛けてくれる人が常にいるんだろう。
例えばよく話に出てくるカロルさんとか。
その後何とかニーナに身支度してもらい、時間内にホールへ向かうことが出来た。
この区画には女性しか案内されていないようで殆どが育ちの良さそうな令嬢然とした出立の少女達だった。
案の定私達、主にニーナを視界に入れるとひそひそと塊になって噂し始めたがまだ頭が寝惚けているのかニーナが騒ぐことはなかった。
彼女達の間に佇んでいたセレスティアを見つけるとピティが彼女をこちらへ連れて来た。
「皆、私のお姉ちゃんだよ!」
「!……セレスティアよ」
「ワタシはニーナ、ダ……」
「ぁ、く、クラレスですっ」
「受付で会いましたね。レヴェリアです」
セレスティアはニーナの猫耳やクラレスの髪色を見てギョッと驚いた顔をしたものの、後ろの令嬢達のように過剰な反応をすることはなく淡々と自己紹介をした。
ピティはヴィアラクテア王国とサウスポティエの森の境にある小さな村から来たと言っていたのでセレスティアも同じはずだ。
辛うじて村の場所はヴィアラクテア王国内と言えるのだが、王都から離れれば離れるほど価値観や思想は中央のそれとは違うようだ。
例えばあの国の特に地位の高い女性は肌の色が白ければ白いほど良いとされているがその理由がとんでもなくて、陽の下に出るのは商人や貧乏人ばかりだから肌を日焼けさせないのが原則なのだとか。
他にもこの国では生まれによる差別をしてはいけない、という女神の教えを生まれた地位や場所は女神の采配である為、その役目を全うしなくてはならないなどと都合の良い解釈で広めているらしい。
その話を聞き、宗教の教えを使って国や統治者にとって都合の良い価値観や思想を植え付けるのはどの世界でも同じなんだなぁと思ってしまった。
女神アルテナスを信仰する教会は大陸の至る所に建設されており、ピティ達は村にある女神の教会にお世話になっているそうだ。
ただヴィアラクテア王国にも魔法学校があるそうで魔力があると分かった当初はそちらも一度検討されたらしい。
しかしその学校はヴィアラクテア王国貴族の価値観を煮詰めて固めたような人ばかりがいる為、孤児院出身の2人は入試を受ける資格も得られなかったのだそう。
対してアルティ学院は平民でも魔人でも受け入れており、運良く貴族の後見人が付いた2人は筆記試験も免除されるという特典付きだった、
そりゃあこっちを選ぶよね。
というかそもそもヴィアラクテアの学校は受けられないんだし。
そのお陰でまたピティに会うことが出来たので私的にはとても嬉しかったけどね。
お互いに自己紹介を終え少しの時間ではあったが雑談をしていると、ホールの階段を登ってやって来た白衣の女性が手のひらをパンパンと2回ほど叩いた。
女性はクリーム色の髪を揺らしながら赤茶色の目を細めて全員を流すように見つめながら言った。
「皆さんおはようございます。これから第2実技試験を開始する為、会場に移動します。離れずに着いてきて下さい」
.
いいね、評価などありがとうございます!
もし面白いと思われた方がいらっしゃればいいねや評価、ブックマークなど頂ければ嬉しく思います!




