休息1
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第1実技試験で組んでいたチームはこれにて解散となり、次のステージへ進んだ者は明日行われる第2実技試験まで自由行動だと言う。
合格者は学院の敷地内に用意された宿泊施設に寝泊まりし、次の日の試験に参加するようにと緑の髪の男性に言われた。
その場で忘れ物がないか聞かれた後、休憩所には戻らずに運動場を出ることになった。
案内してくれているグレーのベストの青年によると既に何組か2勝したチームが宿泊施設に滞在しているそうだ。
学科塔のある中庭に出ると男女に別れて案内すると言われた。
ギルとジャスパーとはここでお別れになるので、第2実技試験頑張ろうねと言い合って新たに現れた女生徒の後を着いて行くことになった。
「実技試験って2日間もあるんだナ」
「ローブとか返してもらってないし、泊まりの道具もないけど大丈夫かな?」
「……」
「そちらは問題ありません。ひと通り各部屋に用意してありますし、他に必要な物があればお待ちします」
私とニーナの疑問に先頭を歩いていた女生徒が答えてくれた。
どうやら荷物はまだ返してもらえないみたいだが、代わりに宿屋のようなサービスを提供してくれる様だ。
特にないと困る物は思い当たらないので、とりあえず部屋に案内してもらってから考えるかな。
案内人の後ろに着いて歩いているといつも通り話しかけてくるニーナの少し後ろで俯いた無言のクラレスが歩いていた。
どうしたんだろう。
もしかして渡した荷物の中に何か大事な物でもあったのかな?
本塔までやって来ると入り口のホールを通り過ぎ、大きな石造りの階段を登ることになった。
2階分程登ったところでホールから伸びる広い渡り廊下を進んだ。
そろそろ来た道が分からなくなりそうだ。
トイレとか何処にあるんだろう?
石の廊下を進むと3つの道があり1つは上へ行く階段が、残り2つは扉があった。
2つの扉の1つを女生徒が開けると中へ入るよう促された。
中は更にまた通路があり今度は幾つも扉があった。
まるで一人暮らし向けアパートのような間隔で配置されている扉のノブには板が掛けられていて入室済と書かれていた。
板には入室済という文字の下に十字の線が引かれていて4つ丸が書き込めるようになっている。
ということはこの部屋は4人1部屋で充てがわれるものらしい。
順番に埋まっている部屋の板を女生徒が確認していき、とある丸が1つだけ書かれている板を見つけるとそこへ私達を誘導した。
どうやらここが今夜過ごす部屋になるようだ。
女生徒がノックすると中からはーいと女の子の声がした。
聞き覚えがあるな、と思っていると中から扉を開けて出て来たのはピティだった。
「はい。あ、」
「申し訳ありません。新たに同室の方を3名ご案内致しますが宜しいですか?」
「は、はい。大丈夫です!」
「こちらが皆様のお部屋になります。今後のスケジュールや設備に付きましてはそちらのテーブルに置いてある冊子をご覧下さい」
「分かりました。ありがとうございます」
「ありがとウ!」
「……ありがとうございます」
「それでは私は失礼します」
本当にクラレス元気ないな。
もしかして結構疲れちゃったのかな?
試験で使ってた眠りの魔法、まだ使いこなせてないって言ってたもんね。
部屋の中は10畳くらいのスペースに2段ベッドが2つ、頭側に窓があり足元側には2人用サイズのテーブルが1つずつ置かれていた。
部屋の扉側の壁には柱時計と棚があり中にはティーセットや茶菓子が仕舞われている。
テーブルのそばに備え付けられているのは簡素だがしっかりした木材で出来ていて背凭れと肘掛けの付いた良い椅子だ。
クッションも貴族が使ったりするからか普段使っている椅子よりも座り心地が良さそうだ。
テーブルには3冊の冊子と何度か見た魔道具のマットが置かれていた。
「レヴィ、また会えたね!わぁ魔人さんだ!私ピティって言います、よろしくね!」
「ワタシはニーナダ!こっちがクラレス。よろしくナ!」
「く、クラレスです。よろしくお願いします……」
「レヴィ達とは違う会場だよね?私は2番運動場だったんだ。おねぇちゃんとも離れちゃったから、部屋も1人で寂しかったんだけど知り合いで良かったよ」
「そうだったのカ!私達は第1運動場だったゾ!オマエいいヤツだな、ピティと言ったカ?」
「うん!ニーナちゃんって呼んでもいいかな?」
「いいゾ!ちゃん付けは慣れないが、ピティなら許ス!」
「わー!ありがとうニーナちゃん!」
女生徒がきっちりとした礼をして退室すると、部屋に入るなり意気投合する2人。
元がテンション高めの2人だからかウマが合うようですぐに打ち解けたようだ。
それに引き換え……チラリとクラレスを見ると、やはり顔色が青白く体調が悪そうに見える。
ニーナのことはピティに任せておいても大丈夫だろう。
まずはクラレスをどうにかしないと。
もし具合が悪いなら誰か呼んで医務室へ連れて行く必要があるかも知れない。
顔色の悪いクラレスに声を掛け、椅子に座ってもらった。
そして背中を摩りながら出来るだけギルのような優しい声で話し掛けた。
「クラレス、顔色が悪いよ?もし具合が良くないなら医務室へ行った方が良いと思う」
「っ、だ、大丈夫……ちょっと……」
「……クラレス、何か事情があるなら聞くよ?力になれるかは分からないけど、一緒に考えることは出来るから」
「……ありがとう、レヴィ。実は、」
言いづらそうにしながらも重い口を開いてクラレスはぽつりぽつりと話してくれた。
「実は、私陸で生活したことがなくて……いつもは水の中で過ごしてるの」
え、クラレスって水の魔物の血が入ってたの!?
綺麗な青緑色の瞳を潤ませながら、決心したように話してくれたのは水の中に住む彼女ならではの悩みだった。
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