第1実技試験17
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ジョシュは話の途中で仲間の体調のこともありこの後の試合は棄権する予定だと言った。
私の魔法のせいかと思い慌てて謝罪したのだが、それは必要ないとすぐに突っぱねられた。
「レヴィ、俺たちは感動したんだ。まだまだこの世界には凄い奴が沢山いるんだってことを知る良い機会だった」
医務室で話し合ってまた一から冒険者として修行を積み、その実績をもってアルテナス神興国を納得させて閉ざされた北の大地へ赴こうと結論を出したのだそうだ。
彼等が話し合って出した答えなら、私がつべこべ言うことではない。
ただここまで来るのもそれなりの苦労があっただろうに、無駄になったとは思わないのかが不思議だった。
ジョシュは私の考えを見透かしたように笑いながら更に付け足した。
「ここに来なかったら俺達は勝手に限界を決め付けて行き詰まったままだった。もしまた会うことがあれば、その時は出来ることがあれば言ってくれ。特にレヴィは俺に勝ったら願いを1つ聞くって言ったしな」
「え、あれって冗談じゃ、」
「俺は約束で嘘は吐かねぇ。それに世の中何があるか分からねぇだろ?」
「……確かに。その時はお願いします」
「おう、任せとけ。じゃあな」
最初の嫌味な印象から一転してとてもフレンドリーかつ明るい彼の態度に誰も文句を言うこともなく、人見知りなクラレスも話せるくらいに優しい人だった。
棄権してしまったのは残念ではあるが、彼等には彼等の目的があるので今回は仕方ないだろう。
ジョシュが仲間の元へ帰ったので次の試合に向けての話し合いを再開すること数十分。
アナウンスで呼ばれて移動した人達がいなくなったので少し静かな時間も出て来た休憩所。
ニーナは近接が得意だがさっきみたいな搦手を出されると弱いことが分かった。
ただ魔獣化の魔法を使った際の攻撃力、機動力はさっき見た通りタフなジョシュを沈める程の威力を誇る。
ジャスパーは感知魔法でも見失いそうなくらい隠密行動には優れているが、それはさっきの試合でフィールドに土の山が形成されたことで生かせた能力と言える。
通常の平面のフィールドでは中々使えないだろう。
クラレスは最後の作戦で地面に水属性魔法を使用して相手の使った沼化の魔法を巻き込んで全体を沼化させたらしい。
更に彼女の固有魔法が相手を眠らせる魔法だったそうだが地上では上手く使えないのでさっきは言えなかったそうだ。
しかし地面全体を沼化させた際に水気を多くし音波に乗せて魔法を使ったところ思った通りに上手く行ったと喜んでいた。
土属性魔法は魔力を流した場所を変化させる魔法が多いが、水属性魔法は魔力を水に変化させて物体に浸透させ変化させることが出来る。
その分水属性魔法には高度な魔力操作を必要とすると言われ、使いこなしている人が少ない魔法でもある。
ギルは頭脳派だが思考中の戦闘時は対応速度が落ちるのか、次回の試合では中遠距離を希望していた。
私も身体能力強化の魔法が苦手だからという理由で後衛へ回ったのだが、さっきの試合で十分前衛での戦闘が可能だと分かったので次回は私とギルの位置が入れ替わることになった。
それから更に時間が経った頃に27番、と呼び出しをされた。
また先程のように待機場所に向かうと8組揃うまで待つことになった。
テントから移動する時に幾つかの番号のテントが片付けられているのを見かけた。
恐らく全てのチームが一巡し、一部のチームがジョシュ達のように棄権したのだろう。
次の相手は誰だろう、と周りを見回しているとこちらを異様に怯えた様子で見てくる集団がいた。
見知った顔だなと思っているとギルが前回の試合で集まった際に見た貴族の子供達だと教えてくれた。
ニーナが威圧的な視線でなんダ?ワタシ達に何か用カ?と聞くも全員が顔を青くして俯き喋らなかった。
明らかにおかしい態度だ。
もしかしてニーナが何かしたのか?
もしそうなら全員連帯責任で失格になるかも知れない。
そう思いフォローしようと前に出ると、女の子がビクリと震えて大きな目に涙を溜め始めた。
は?
え、もしかして怖がられてるのって私?
嫌な予感がしながらも少年達の前に行くと、1人の勝気そうな少年が出て来て言った。
「お、お、お前があの英雄を、た、倒したヤツだな!し、しかも英雄達と対等に戦ったどころか棄権にまで追い込むなんて……お前の様なヤツに僕は負けないぞ!!」
「いや、私は」
「だ、ダメよ!そんなことを言ったら私達まであんな風に……私まだ死にたくない!!!」
「さっきの試合、隣で見ただろ!?アイツは英雄のアックスですら止めたんだ!!僕達なんかすぐに殺される!!」
ついに泣き出した女の子を尻目に遠い目をしながらギル達を見ると、あちらも何か諦めた様な薄ら笑いを浮かべていた。
あれ?私あの時何したっけ?
魔法でガッツリ2人沈めて、3人を相手に……わああああ!!!
腕が立つと思ったけど、そういえばあの人達英雄とその仲間の冒険者だった!
ってことは英雄をボコった極悪人だと思われてる!?
ち、違うよ!と言おうと口を開けば泣かれ、遠い目をすれば彼等に後退りされてどんどん距離が遠のいて行った。
幸か不幸か対戦相手の発表で選ばれたのはあの貴族の少年達で、案の定彼等は私の相手なんて命が幾つあっても足りないと言って棄権した。
ニーナは何故かニヤニヤして流石ワタシの友ダ!と肩を叩いて来たし、クラレスは菩薩顔で両手を組んで現実逃避してるし、ジャスパーは口笛を吹いてそっぽを向きギルに至ってはツッコむのも疲れたと呆れ顔でスルーされた。
ここまでの作戦会議の意味……。
こうして私達は第1実技試験を無事突破したのであった。
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