第1実技試験14
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ギルから言われたのはまず魔法で大きく地面を攻撃し土煙を立てて視界を遮って欲しいこと。
そしてすぐに後退し土煙から出て待機、もしスキンヘッドが突っ込んで切り掛かって来たらそのまま応戦するようにとのことだった。
指示通り雷魔法で大きく地面を抉り土煙を立て、今は外まで後退したところだ。
中で一体何をしているのかは分からないが、ギルとクラレスは中に残ると言っていた。
土煙がまだもくもくと立ち込めている中、私に向かって急速に接近してくるスキンヘッドが感知魔法に引っ掛かった。
咄嗟にその場から後ろへ飛ぶと、地面に深々と大きなアックスの刃が突き刺さった。
もし避けれなかったら死んでるんですけど!?と内心冷や汗を掻くくらい綺麗に切り裂かれていた。
多分私の防御魔法でも表層の筋肉くらいまでは斬られていたかも、と思いつつもスキンヘッドを見ると予想外に何やら嬉しそうな顔をしていた。
「いやあ、こんなに戦い甲斐のある相手は久しぶりだ!広範囲魔法を平気で複数使える人間なんていたんだな!」
あ、やっと人間認定してくれたんだ。
さっきまでずっとその問答してたから良い加減にして欲しいと思っていたところだったんだよね。
でも1つ訂正しておきたい。世の中上には上がいるのだ。
「そうですか?私の周りには結構居ますけど。貴方も身体能力強化の魔法が他の方よりもずば抜けてますね」
「……そこに気付いたか。んじゃ俺に勝ったら良いこと教えてやるよ」
「結構です」
「なんでだ!!?」
いや、なんでこの流れでそうなるのかが不思議だよ。
呆れた視線を向けるもののスキンヘッドは全く動じずに何故か名乗り始めた。
「まぁ良いさ。俺の名前はジョウ・シュトロイゼン!お前の名は?」
「……レヴェリア」
「レヴェリアか!よぉし、決着をつけるぞ!もし俺に勝てたら1つ願いを聞いてやる!」
え、いらない……。
なんかよく分からないけど乗り気にさせてしまったようだ。
とりあえず試験に合格したいので遠慮なく倒させてもらおう。
さっきみたいに3対1でやるわけじゃないしまた合流される前に倒して籠を奪ってしまおう。
今私がこの人にお願いしたいことなんて籠が欲しい以外に無いし、なんならその願いは彼を倒せば果たされるわけだし。
人の気も知らないで嬉しそうにアックスを構えながら行くぞ!と叫び突っ込んでくるスキンヘッド、もといジョウ・シュトロイゼン。
この世界じゃファミリーネームのある人は大概貴族かお金持ちだけど、この人もそういう感じなのかな?
パッと見、冒険に明け暮れています感が否めないんだけど。
なんでそんな人がアルティ学院の入試を受けに来たのかな?
繰り出される斬撃を再び盾で防ぎつつ、先程は他の2人に使用していたリソースで彼を攻撃した。
魔法の力加減がやはりまだ分からないので調整しながら雷魔法を放つが、少しふらつく程度ですぐ立ち上がられてしまうのであまり効いていないようだ。
雷魔法がダメなら何が有効かな?
しばし考えて火属性魔法と水属性魔法をそれぞれ矢の形にしてアックスに向かって放った。
交互に何度も攻撃し、シュトロイゼンはそれを全てアックスで防いで見せた。
この人、やっぱり他のメンバーとは格が数段は違うな。
そう改めて再確認して水属性魔法の矢に添えるようにもう1本矢を放った。
それも見事に防ぐとこれで終わりか?今度はこちらの番だな!と言いながらアックスを担ぎ一直線にこちらに振り下ろしてきた。
けれど私はその場から動かなかった。
何故なら動く必要がないからだ。
シュトロイゼンの振り下ろしたアックスは私に到達する前に目の前に翳した手から発動している防御魔法によって止められ、そのまま真っ二つに刃が折れた。
バキィン!と太い音を立てて弾けた破片がシュトロイゼンの頬を掠めた。
物凄く驚いた顔で折れたアックスと私を見る彼の姿に少し胸がスカッとした。
「散々やってくれたのはそっちの方です」
「っ、なんのことだ?」
「魔人のジャスパー達を馬鹿にしてくれてどうもありがとう。で、1つ聞きたいんですけど」
そこで言葉を切って彼の後ろを指差しニッコリ笑いながら続きを言った。
「その馬鹿にしてた魔人にやられるって、どんな気持ちですか?」
折れたアックスに驚き油断したシュトロイゼンの死角、真後ろから腕を獣のように変形させたニーナが現れ、その大きな背中に一撃を叩き込んだ。
カハっ!?と息を詰まらせた隙を見逃すはずもなく、彼の腰のベルトと籠を繋ぐように括られた麻紐を鋭く尖らせた爪でブチりと千切るとそのまま籠を弾き飛ばした。
飛ばした籠は小型化して潜んでいたジャスパーが落下地点におり、固有魔法を解いてキャッチするとそのまま籠を咥えてポールをするすると登り、手早くフックに持ち手を引っ掛けた。
フックに掛けたと同時に大きなドラの音が鳴り、会場中に聞こえるくらいに大きな男性の声で27番勝利!という言葉が響き渡った。
呆然と立ち尽くすシュトロイゼンの後ろには泥沼化した地面に沈められたBと D、そして私によって無力化されたAとCがいた。
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