第1実技試験10
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開始の合図と共に飛び出したのは茶色い猫耳の魔人、ニーナだ。
一拍遅れてギルもニーナに呼び掛けながら後ろに着く形で走り出して行った。
「よし、ワタシに任せロ!」
「ニーナさん落ち着いて!では後ろは頼みます!」
「フォローは任せろ!」
「は、はい!」
「分かった」
クラレスと私は籠の死守に専念することにした。
あちらの先鋒も私を見ているので籠の場所はすでに知られているだろう。
どうせ隠しても仕方ないので手に持っているだけだからあえてモロバレにしてるんだけど。
どうやら向こうも2人、先鋒が飛び出して来ているのでこのまま行くとニーナ達と交戦することになるだろう。
と、思ったら彼らの足元の地面から土の山が次々と現れた。
土の山は鍛えている冒険者風の彼等がしゃがんで隠れられる程度の大きさはあり、目隠しとしての役割があるようだ。
私達の足元まで満遍無く現れた土の山を気にした様子もなくニーナは軽々と飛び越えて行く。
ギルも上手く避けながらニーナに引き離されないようについて行っているようだ。
因みにクラレスは土の山に足を取られて尻餅をついていた。
クラレスの手を取って起こしながら発動者を確認すると、スキンヘッドの横にいる男が手を前に出して魔力リングを発現させているので彼が土の山を作っているらしい。
「女神の加護を与えられし我が身に宿る源流の力よ、形を成して大地を隆起させよ!……こんなもんで良いか」
「おっしゃ!さっさと終わらせて酒でも飲もうぜ!」
「籠はお前に任せた!」
「おい!俺の分も取っておけよー!」
籠を持っているスキンヘッド目掛けてニーナが突っ込んで行くと手前に立ち塞がった男、仮にAとする、Aを素早い足技で蹴り上げた。
続いたギルももう1人の先鋒、Bを風魔法で吹き上げて拘束した。
2人とも凄い!
素早く敵を無力化する技術に舌を巻きながら、クラレスと周囲を警戒した。
案の定、やられる2人とは別に1人が土の山の合間から気配を消してこちらへ接近して来ている。
「ぁ、レヴィ!」
「大丈夫」
クラレスが私の死角から奇襲してくる1人の存在に気が付き名前を呼んで教えてくれたが、感知魔法でばっちり把握しているので問題なし。
ー女神様、行くよ!
『分かってるワ!久しぶりに暴れちゃうワよー!』
ーえ、それはちょっと……。
『もう遅いワ!』
すぐ近くまで迫っていたCの眼前に手を出し、魔法を発動する。
手のひらに出現した魔力リングは大きく広がり、Cを包み込むと同時に体が大きく傾いた。
ふらふらと足取りが覚束なくなり突如ばたりと倒れてしまったCに、ギルによって空中に吹き上げられたBがおい!とCに声を掛けていた。
しかし彼に掛けたのは魔力を眠り粉に変換させた所謂毒属性魔法なのでしばらくは起きない。
毒魔法は風魔法と土魔法の混合上位魔法で素質がある者か風と土魔法を熟達させないと習得出来ない。
勿論私は後者で、ファルファーラの森に自生する毒草や師匠の無茶振りに鍛えられた形で習得した。
突然倒れた仲間に驚いた相手チームは、ニーナやギルによって転がされたり浮かされたことを受けてふざけた雰囲気を仕舞った。
ニヤけていた顔が真剣に此方を睨む様子にクラレスが怯えていたが、大丈夫だよと声を掛けた。
確かに一気に空気が張り詰めて緊張感を漂わせている。
チーム全員のガタイが良く鍛えているのが伺えたことと、体のあちこちに引っ掻かれたり火傷をした傷痕が見えたので勝手に冒険者風と思っていたが、やはりそれなりに修羅場を超えて来た人達のようだ。
先程までのナメた態度が嘘のようにニーナに沈められたはずのAがいつの間にか起きていてギルに魔法を放った。
一瞬火花が散ったので恐らく初級の雷魔法か何かだと思われる。
「女神の加護を与えられし我が身に宿る源流の力よ、彼の者を雷で拘束せよ……さっきはよくもやってくれたな!……まぁあっちは任せても問題ねぇか。さっさと魔法を解除してもらおうか」
「ぐっ!いつの間に!?」
「っと!、おい、もっと丁寧に降ろせよ!」
「うるせぇ!お前が油断してるから捕まったんだろうが」
「お前だって魔人のガキにやられてただろ!」
麻痺させられたのか片膝を付いたギルは魔法の維持が出来なかったようで、風魔法で拘束していたBを解放してしまった。
Aはニーナをスキンヘッドを含むDに任せ、まず仲間の救出に動いた。
この5人、ちゃんと信頼関係が構築されている。
そして何の指示もしていないのにスキンヘッド達はニーナを迎え撃つ準備をしていた。
まずい。
向こうは土魔法で目眩しの下準備もしていた。
ならもう一手打っててもおかしくない。
急いでニーナに向かって声を張り上げた。
「ニーナ!!深入りしないで!!何か準備してる!!!」
「へぇ。ガキの癖に鋭いな。でも遅いぜ」
発達した脚力で到達したスキンヘッドへ向かって拳を振り上げたニーナに向かって、何やら呟きながら手の平を向けるスキンヘッド。
その手に魔力リングが小さく発現するとニーナの体からガクンと力が抜けたように振り上げた拳が宙を舞った。
そのまま先程私が眠らせたCのように地面に倒れ込んでしまったニーナ。
「そんじゃ、本番と行きますかね」
うっわ、嫌な予感当たっちゃったよ。
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