第1実技試験9
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何とか2人を落ち着かせ、ニーナには改めて試験中のポジションについて教えておいた。
その際ギルに対し、オマエ近距離で戦えるのカ!?と驚いていたが彼の体付きや身長の高さをよくよく見ると確かに訓練している者の身体だナ!と納得していた。
一目見て分かるんだな。
ちょっと感心して目を離した時、ニーナが付け加えるように呟いた言葉をばっちり聞いてしまった。
「レヴィは力なさそうだけどナ!」
うん、さっき感心したのはナシの方向で。
にっこり微笑みながらニーナを見ると、何故か引き攣った顔をしてわ、悪かっタ!と突然謝って来た。
別に何も言ってませんけど?
身体能力強化の魔法はからっきしだからあながち間違ってないけどね。
残りの4組も合流し、先程受付にいた緑の髪の青年が試験概要を説明してくれるらしい。
「これから2組ずつに分かれて対戦してもらう。チーム全員が戦闘不能になるか、相手チームの籠を奪い、分割されたそれぞれのフィールドの中心にあるポールに引っ掛けた方の勝利だ。分割された区画から隣や外へ出たり籠をフィールド以外の何処かに隠すのは反則。武器の持ち込みや魔法薬、魔道具による攻撃や妨害、魔法の強化は無効となり本人だけでなくチームごと失格とする」
4分割か。さっきもそう言っていたけど、一体何で分割しているのかな。
制限時間は設定されていないが、審判が続行不能と判断した場合も終了となるらしい。
全チームが終了したらその場で審議し結果を出してから休憩所へ戻ることになるとのこと。
各フィールドには数名の審判がいて観客席にも護衛のための生徒達がいる。
彼らが受験者の能力もチェックしているそうで目に留まった者はチーム戦で敗退しても上がれることを再度伝えられた。
「では組み合わせを発表する。まずフィールドA、16番対5番。次にフィールドB、27番対8番。フィールドC、43番対19番。フィールドD、20番対35番。それぞれのフィールドへはそこの看板に沿って行けば着く。くれぐれも開始前に戦闘行為はしないこと。破れば即時失格だ」
私達は27番なのでフィールドBの対戦相手は8番ということになる。
若い番号ほど効率良く人を集めているし会議時間もより長く取れたはずだ。
チラリとギルを見ると同じことを私達に教えてくれ、更に相手は先程好き勝手言っていたあの冒険者達だと教えてくれた。
「アイツらカ!早速やり返せるナ!」
「に、ニーナさん、頑張りましょうねっ」
「そうだナ!」
さっきまでオドオドしていたクラレスだがニーナに発破を掛けられたのが効いたのか、何やら最初とキャラが違う気がする。
どもりながらも意見をしっかり言える子になって……いる?
これは良いこと、だよね?
余りにもかけ離れて行くクラレスの最初印象と今の言動に遠い目をしつつも、ニーナほど酷くないからきっと大丈夫と自分に言い聞かせた。
ジャスパーを見るとやはりクラレスの変化に驚いているようで鼻をひくつかせながら私の方へすすっと寄って来て囁いた。
「なぁ、クラレスどうしたんだ?あんなヤツだったか?」
「私もちょっとついて行けてないんだ。でも萎縮するより良いかなって」
「それもそうだな。……とりあえず行くか」
「だね」
変なテンションでフィールドBと書いてある看板の先へ向かって行く2人の後を無言で着いて行く私達。
8番の人達は先に行っているらしく、途中で鉢合わせることはなかったのが今は救いだった。
薄暗い階段を登って外へ出ると眩しさに手庇を作った。
私たちが到着すると思っていたよりも多くの人で客席が埋まっていて、一部の人が歓声を上げていた。
確か先程国外の来賓も呼んでいると言っていたな。
入国してから街中を何度か歩いたが特に人が噂している様子はなかった。
なのにこんなに人が集まるんだ、と驚いているとジャスパーが東の国からここへ来る道中、商人や街中で試験を見せ物にすると噂されていたそうだ。
つまり国内では箝口令が敷かれていて国外ではそれらの制限がなくなるので自由に噂していた、ということ?
それなら街や街道を経由せず直接来た私が把握してないのも当たり前か。
フィールドB、と書かれた看板に従って出て来たのでフィールドBで間違いないだろう。
最初に来た時には無かったフィールドを4分割している大きな鉄格子が目を引いた。
相手の籠を奪ってポールに掛ける、と言っていたのでフィールドの中心に目を遣ると物凄く背の高い金属の棒が一本立っていた。
10メートル以上はあるんじゃないか?
浮遊魔法か身体能力強化の魔法など体か籠自体を浮かす方法がなければ籠を掛けるのは難しそうだ。
籠の持ち手を握り締め先んじて向かいに揃っている冒険者風の8番を見た。
楽勝だぜ、と言いたげな様子でニヤニヤと話している。
籠を持っているのは奥のスキンヘッドのようだ。
ギルとニーナが先行するためには、籠を守るために固まっている2人以外の3人を誘導しないといけない。
私が籠を見せて引き付けるのが1番早いかな?
あの人たちがどの程度の腕前かは分からないけど体は大分鍛えているから、攻撃は喰らわないようにした方が良いな。
お互いに見合いながら開始の声が掛けられた。
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