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初契約4

閲覧ありがとうございます!



奇妙な音を立てているソレは、辛うじて人の形をしているものの明らかに人間とは思えない容貌をしていた。


大きさは私より頭2つ分大きいくらいで顔は無くのっぺらぼう。

体は薄紫色の何かを塗ったような凹凸があって変な光沢もあった。

全体に泥を纏ったように粘度のある何かが滴っていて、時折ポコっと泡のような物が浮き出てくると濃い紫色のガスを発生させていた。



え、この噴出してるガスって吸ったら絶対死ぬヤツじゃん!



ガス以外にも部屋からむわりと漂って来る腐敗臭が鼻を突いた。

今はパピヨン内なので耐毒などが付与されているローブを着ていない。

もしあれが本当に毒だったら生身に受けることになるのでかなりヤバい。

しかも腕にレジーナを抱えているせいで両手が塞がってしまっている。


よろよろとしつつも確実にこちらに向かって進んでくるソレは足元にビチャやらボタやらと音を立てて泥の様なものを落としている。

それが地面につくとブシュウという音と共に煙を出しているので高濃度の酸で出来ているようだ。



レジーナをソレから隠すように抱え込むと師匠に向けて大きく叫んだ。




「こ、コレはなんなんですか師匠!?すっごい気色悪いんですけど!!?」


「食虫植物を素体にして魔物の死骸から取り出した核を人型に入れて魔術付与したんだけど、やっぱり失敗よね〜」


「そんな呑気な!それよりもこれどうにかして下さいよ!!」



そう言いながらもじりじり後退してソレから距離を取っているのだが、これどうやって捕まえるの!?と頭が混乱してどうしたら良いのか分からない。


するとレジーナが腕から抜け出そうともがくので、危ないからダメだよ!と言って抱え直そうとしたがぴょこっとソレに向けて顔を出すと口をパカっと開けた。




あ、と私が口に出した瞬間、目の前が真っ赤に染まり顔が焼けるように熱くなった。



ボォ!!!

ジュワワアアアア……



「……え?」



レジーナの口から吐き出された真っ赤な炎が目の前のソレを包み込み、ドロドロとした体を焼き尽くしている。

しかも的確にソレだけを狙ったので周囲の設備には引火していないというテクニックを披露していた。

これには私も師匠もポカーンと見つめてしまい驚いて言葉も出なかった。



口も鼻も目さえないソレはクネクネと苦しそうに身を捩って炎から逃げようともがいていた。

生憎と見た目のグロテスクさのせいで可哀想とさえ思えず、毒ガスに引火しないかだけが気になってしまった。



幸いなことに空気中に出ないと気化しないのかそれとも可燃性ではないのか、ガスが出て爆発を起こすことはなかった。

ソレが燃え尽きるまでしっかりと見届けてから、実験室の扉を開けたままにしてパピヨンの玄関兼リビングルームへ出て椅子に腰掛けた。


はぁ、とお腹の底から漏れてくるような溜め息を吐いてレジーナの様子を確かめた。

覗き込むときゅるんと澄んだ目を向けてくれるのだが、いかんせん先程のブレスもどきが記憶に新しいので素直に可愛いと思えなかった。


見た所特に体に異常は無さそうだし、ブレスを吐けるくらいには元気そうなのでクイーンの怒りは免れそうだ。



レジーナの身体チェックを終えたところへ、実験用ローブと耐毒マスクを被った師匠が出て来た。




「ごめんなさいね。思ってたよりも元気だったみたい」


「それで済みます?アレ完全に生きてましたよ」


「魔物の核が良くなかったのかしらね〜」


「次はありませんからね!ここが森の中だからって、万が一バレたら毒を撒き散らすクリーチャーかなんか作ったって言い掛かりをつけられて他の国から消されますよ」


「リーレットが言いそうなことだわ。……しょーがないわね」




どうやら今やっている実験は諦めたようだが、きっと類似したことはするだろうと容易に想像が付いた。

勿論そこもガッツリと釘を刺しておく。

でないと私の命が幾つあっても足らない。

流石にパピヨン内でもローブ被りっぱなしというのは嫌である。




「そもそも生き物に魔術付与をするのはどこの国でも禁忌だってリーレットさん達が言ってましたよ」


「頭の固いこと言うんじゃないわよ。ダメだなんだと言っていたら技術は発展しないわ」


「いや、それらしいこと言ってますけどその代償と尻拭いはこっちにも降り掛かるんですよ!?」




魔法を使う魔物には体の何処かに核がある。

人間には核はないが代わりに魔力回路という神経とかツボ?に似たようなものが個々にあると言う。


核は大抵心臓の近くにあるとされ、核を破壊されると魔法を使うことが出来なくなるので魔物にとっては心臓と同じくらい大切な物だ。

見た目は所々に亀裂の入った石だが取り出して間もない核は亀裂部分が光っていて、時間の経過と共に亀裂の光が消えるとただの石になってしまう。


なので魔法薬などの素材として使うには取り出して間もない核に保存魔法を掛けておかなくてはいけないので市場ではやや高価だ。



取り出して間もない魔物の核には魂が宿るという言い伝えがあり、地域によっては儀式や祭りで奉納することもあるという。

ソースはセルージュさんだ。




恐らく師匠はその話を聞いて生き物を造れないか試してみたくなったのだろう。


現代でもクローンや遺伝子操作、生命の創造などは倫理観スレスレで表立って研究出来る内容は限られていた。

それをこの世界でやるのはかなりリスキーなことだ。


魔法を使うことで何が起きるかは分からないが、少なくとも国同士の交流が希薄な世界だからこそこっそりやれるのかなと思った。



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