第1実技試験8
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最初の組が行ってから1時間は経ったかな、くらいにまた8組が呼ばれることとなり27番もその中に入っていた。
私達の番号だ。
まだ行った人達は帰って来ていないが、設備を見る限りもう一度戻ってくる可能性が高そうだ。
緊張をほぐす様に手のひらをグーパーし、籠の持ち手を掴んでしっかり持つ。
ジャスパーも緊張しているのかヒゲがピンと張っているし、クラレスは見るからに額から冷や汗を流していた。
ギルがニーナを起こしている間に魔法でパッと洗浄と飲み食いした物を片付けた。
指先でパパッとやったので目立たないだろうと思ったのだが、向かいのテントのピンク色の髪の女の子とばっちり目が合ってしまった。
その子はオレンジ色の目をこれでもかと見開いていてとても気まずかったので、先導するギルとニーナに続いて足早に会場へ向かった。
来た道を戻るように進むとライトグレーのベストを着て帯剣をした青年が立っていた。
彼によるとこれから試験の説明と合格基準、禁止事項などを伝えられるとのこと。
まずは南側出入り口へ向かうように言われたので、看板に従って移動する。
幸い試験会場だからかこまめに看板が立てられていて迷ったりする事はなかった。
もうすぐ南側出入り口だな、と言うところで他の組が見えて来た。
一度に呼び出されるのは8組なので他に7組来ることになる。
人数を見るに3組程度が先に到着していたみたいだ。
「おいおい、何だコイツら。魔物がいるじゃねぇか」
「人間と魔物が一緒にいるってことは、コイツら皆魔人か?」
「使い魔参加させるのアリなのかよ?」
「馬鹿、こんな弱そうな魔物が使い魔契約出来るわけないだろ」
「そりゃそうか!」
「なんで僕達がこんな見せ物みたいな所で魔法を使ってやらなくちゃいけないんだ」
「しょうがないですわ。貴族が免除されるのは筆記試験だけですもの」
「ですがまさかあんな獣と同じ空間にいなければならないなんて……何故首輪を着けていませんの?暴れ出したらどうするつもり?」
「そうしたら俺の魔法で黒焦げにしてやるから安心しな」
「そりゃ頼もしいね」
なんか言ってる……本当性格悪いな。
貴族が性格歪んでそうなのはイメージ通りだけど、寛容そうな冒険者風の人達にまでそんなことを言われるとは思わなかった。
ジャスパーは気にしてなさそうに見えるけど、クラレスは完全に顔を青くして萎縮してしまっている。
案の定、喧嘩を売られたと思っているニーナが腕捲りをして乗り込もうとしているので止めないとと思い近付くと、先に静かに近付いていたギルが鮮やかな手付きでニーナの腕を掴んでいた。
感知魔法を使っているはずなのにそれでもニーナの反応が遅れる程の動きにニーナ自身も驚いていた。
「オマエいつの間ニ!?すばしっこいヤツだナ!」
「お褒め頂き光栄です。今、騒ぎを起こしてしまうと失格にされてしまいますよ」
「ぐ、確かニ……悔しいゾ!」
「大丈夫ですよ。ここにいるということは戦う可能性があるのですから、もし当たったらその分をぶつければ良いのです」
こそこそとニーナに耳打ちしているギルだが、近付いていたので私にもその会話は聞こえてしまっている。
つまりやり返すなら試験で、ということか。
まぁ今暴れられて皆失格にされるよりも全然良いのでその意見には賛成だけど、問題は萎縮しているクラレスだ。
このままだと試験に差し支えるかも知れない。
何か勇気付ける言葉を、と考えているうちにニーナがクラレスに近付いていた。
「おい、オマエあんなヤツらの言ってることを気にしてるのカ?」
「っ、だ、だって……」
「ワタシもアイツらにはムカついたがビビるのは違うゾ。絶対試験で見返すんダ。じゃなきゃいつまでもナメられて他の魔人達もバカにされル」
「馬鹿に……」
「そうだゾ。アイツらはワタシ達が何も考えてないと思ってル。でも違うだロ?クラレスは悔しくないのカ?」
「………」
一瞬罵倒するのかと心配したがニーナの言葉に俯き考えている様子のクラレスに仲裁しようと向けていた足を止めた。
2人の会話を邪魔してはいけないと思ったからだ。
それにニーナがクラレスのことをオマエからクラレスと呼び変えているのを聞いて、ニーナなりに打ち解けようとしているのではと察した。
しばし俯いて無言だったクラレスが少し顔を上げてゲラゲラと笑う彼らを見て、グッと唾を飲み込みニーナに向かって意を決したように言い返した。
「く、悔しいです!あんな人たちに、皆さんを馬鹿にされるなんて……負けたくありませんっ」
「うむ!よく言ったゾ!あとはアイツらをタコ殴りにするだけだナ!行くゾ!」
「はい、ニーナさんっ」
「ちょぉっと待った!!なにその展開!?途中までは良かったけど、試験で当たらなきゃダメだから!」
なんで今乗り込む流れになった!?ギルの話聞いてただろ!
クラレスも、いつの間にニーナの舎弟みたいになってるの!?
やる気が出るのは良いけど、あんまりニーナ寄り思考回路になるのはちょっと……フォローしきれないんですけど!
まさかの展開にクラレスのことはニーナに任せようと思った先程の自分の行動を早速後悔することになってしまった。
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