初契約3
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「レジーナの額の紋章、どう見ても使い魔契約のだよね」
《そのようだな。まさか勝手に使い魔契約を出来てしまうとは、我も思わなんだ》
「まだ生まれてそんなに経っていなくても契約って出来るものなの?」
《分からぬ。本来なら成体になってからするものだと我は聞いたぞ》
アンペルとひそひそ会話をしていると、クイーンの前に座らされたレジーナがきょとんとこちらを見ていた。
それを見てドラゴンの厳つい顔から急にデレっとした表情に変わったアンペルに親バカだな、と思ってしまった。
普段私と話す時はちょっとカッコつけてるくせに、レジーナの前では甘々のパパっぷりが凄まじい。
まぁ見てる分には面白いので良いけど。
すると様子を見ていたクイーンがアンペルに声を発し、それを聞いたアンペルから私に指示が飛んだ。
《我が妻よりアムリネの元へ行くべきでは、と助言が入った。どうする?》
「そうだね。一回師匠に相談した方が良いかも。紋章を確認して欲しいからレジーナも連れて行こうか」
我が妻、とカッコよく言っているが私は知っている。
アンペルは普段クイーンのことをレッドハニー(赤いお嫁さん)と呼んでいるのはここだけの秘密だ。
多分言ったら照れのあまり雷魔法が尻尾から漏れてくる。
前にもイチャイチャしている時にあったのでこれは経験則である。
体を小さくした2匹はパピヨンの外にいると言うので、私とレジーナだけ中に入ることにした。
生まれてすぐはピリピリしていたクイーンだったが私や師匠が一緒にお世話をするうちに余裕が出て来たようで信頼して任せてくれる場面も増えて来た。
最初は産後鬱が遅れて来たような状態でレジーナとあの部屋に籠ってアンペルも寄せ付けない時期があった。
部屋の前に食べ物を置いて行くことしか許してもらえず、久しぶりに入ることが出来た時には掃除が必要なくらい荒れていた。
あまりの荒れ様に師匠がクイーンを引き摺り出して説得している間に部屋を掃除してレジーナを水浴びさせたりして何とか環境を改善したのだった。
因みに以前にも言ったことがあるかもしれないが、師匠の説得は物理とイコールで繋がっているので基本的に肉体言語が使われる。
アンペルがいつの間にか防御魔法を会得していて、そのお陰で師匠とクイーンの話し合いの余波を食らわずに済んだ。
防御魔法は魔力を周囲に展開して外部から身を守る魔法だが、生まれ付き習得している者は殆どいない。
大概が必要に駆られて、長年の修行の末に、などの理由がつくが今回の場合は前者だろう。
育児でむしゃくしゃするクイーンの愛を受け止めた末に生存本能が働いたのかは分からないが、アンペルはそこで防御魔法を発動したようだ。
今はその魔法で私とレジーナを守ってくれているわけだが。
あの時のことを思い出して苦い気持ちになりながらも、パピヨンの扉を開けて暖炉に火を入れた。
暖炉の前にレジーナを下ろすと3ヶ月で大分大きくなった姿を見てしみじみと成長を確認した。
特に体は生まれた時よりも倍近く大きくなり小型犬の標準くらいだったサイズが小さめの中型犬はあると思う。
ただ尻尾の発達は棘が少しある程度でアンペルのそれと比べるとまだまだであることが窺えた。
翼は着実に大きくなっていて正面から見た時に少しだけ見えるのが可愛かった。
久しぶりの外出が嬉しいのかきゅうきゅう鳴いてご機嫌のレジーナにほっこりしたがこれから行くのは額の紋章を確かめるため、師匠がいる予定の研究実験室だ。
あそこは前に毒ガスが充満していて死にそうな目に遭ったことがある。
扉を開けて煙を視認した瞬間に女神様が防御魔法を展開したので肺や目などは無事だったが。
それからは女神様に教えてもらったので防御魔法を使うことができるようになった。
個人的には属性魔法よりもよっぽど技術を磨いていると思う。
日頃から師匠の無茶振りで危険な場所へ採取に行ったりしなければならないので、今後のためにも真っ先に習得しなければと思った。
しかし属性魔法よりもよっぽど難しく、魔力操作を上達させないと全く使いこなせなかった。
まだ完璧とは言えないので防御魔法とその次に召喚魔法をマスターするのが当面の目標である。
気合いを入れるために深呼吸をしてから再度レジーナを抱き上げて師匠を呼びに実験室の扉を慎重に開けた。
「あ、レヴィ!そっちに言ったわ!」
扉を大方開けたところで中にいた師匠が私に気が付いて声を掛けて来たが、正直それどころではなかった。
扉を開けた時の状態からフリーズしてしまった私は扉の前にいたソレを見て体が全く動かなくなってしまったからだ。
ぐじゅう、しゅこー、べちゃべちゃ
そんな音を立ててこちらへよろよろとやって来る謎の人型クリーチャーが見えたら、誰だって硬直すると思う。
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