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第1実技試験5

閲覧ありがとうございます!



渡された籠の蓋部分には金属のプレートが付いていて、そこには番号が刻まれていた。

27と書かれたそれは私達のチーム番号となるそうだ。



27番目で5人チーム……最低でもこの会場には135人以上はいるってことか。

大体200人くらいだとして運動場は3つあるから単純計算3倍で600人……一体最初の受験者数は何人いたんだろうか。

倍率は例年数百倍にもなると聞いたから筆記試験でかなりの人数を落としたんだろうな。




「このあとランダムで番号が呼ばれるが会場を4分割して試験を行うため、いつでも出られるように準備をしておくこと。呼ばれて10分以内に来なかった場合は即失格とする。観客席とは別に受験者用の休憩所を用意してあるので諸君はそちらのみ利用すること。以上だ」



緑の髪の男性は必要事項だけを早口で説明すると行け、と言った。

初対面のニーナが彼の話し方でも癇に障ったのか、食ってかかろうとしていた為彼女の腕を引いてさっさと休憩所とやらに向かうことにした。






到着した休憩スペースには既に多くの受験者が来ていた。

私達の後に何組も並んでいたのでこれから更に増えることだろう。


石造りの床が特徴的な休憩所にはテントが張ってあり、硬く冷たい床を感じない為か中には分厚い布が敷いてあり大人が2人くらい寝られそうだ。

入り口の垂れ幕部分には区別が付くように番号が振られていた。

テントの前に木で出来た簡易的な椅子とテーブルが置いてあるので食事もここで摂れるらしい。


私達も27と書かれたテントへ向かうと、まずニーナがテント内へ入って行った。

そしてテントの敷き布の上に寝そべるとこれなら寝れそうだ!と何故か嬉しそうに言った。



いや、さすがに試験中は寝ないだろ。


同じことを思ったのかジャスパーが休憩や作戦会議に持ってこいだな、と呟いた。

確かに私達のメンツは人目を引くし、お互いの能力も把握したいので外から見られにくく会話内容を聞かれにくいテントは良いのかも。





ニーナも戻り皆が椅子に腰掛けたタイミングでギルが早速話を切り出した。


「ではまだ試験開始まで時間があるようですから、皆さんのそれぞれ得意なことや作戦などを話し合いましょうか」


「そうだね。チーム戦ってことは単純に戦うだけじゃなさそうだよね」


「さっき他の奴がその籠を取り合うって言ってたゾ」




テントの中でゴロゴロしていただけだと思っていたニーナがそう言えばと話し出した。

いつ聞いたの?と訊ねるとのここに来るまでに若い番号のチームから盗み聞きしたそうだ。

それを聞いたギルはふむ、と腕を組んで考えている。


いつの間にか話の主導権をギルが握っているが、何故か嫌味がなく自然な流れのように感じた。

きっと彼は進行に慣れているのだろう。


普段からそう言う役割を担っていないと出来ないと思うので、やはり良いとこの家の出だよなぁと思った。



しばらく黙っているギルを見ていたら、つい癖で師匠といる時のように魔法を使ってお茶を淹れてしまった。

先程ニーナがゴロゴロしている時に確認したのだがテント内には木箱があり、中には簡易な収納魔法でティーセットや食事などが収められていた。


人差し指でくるくるっとお茶を淹れていると、周りがシーンと静かになった。



ん?なんか急に静かになった?



人数分のお茶を魔法で淹れてそのまま各々の手元へ浮かせて運ぶ。

それからいつも通りふんわりと湯気を立てるお茶に手を翳して適温にするとカップに口を付けて飲んだ。


普段飲んでいるものより癖のある風味だけどこれも悪くないな。

ふぅ、と息を吐いて鼻に抜ける風味を感じていると、全員が私を見つめていた。



あれ、せっかく淹れたのに皆飲まないの?

もしかしてそういう気分じゃなかったとか?



首を傾げているとジャスパーが恐る恐るといった様子で聞いて来た。




「レヴィ、今一体何をしたんだ……?」


「え?お茶を淹れただけだけど」


「それだけで済ませられるオマエがすげぇよ!」


「今の動作の中に引き寄せ、温度調節、蒸らしなど基礎的な生活魔法から高度な魔力操作が必要な魔法までかなり複雑な工程がありました。それを詠唱もなしに片手で行うとは……」


「特に温度調節と水を生み出す魔法は高度で無詠唱でやれる奴なんか見たことねぇ」


「父上でも出来ないヤツダ!凄いナ!やり方教えてくレ!」


「ふゎ、すごい……」




なんだこの反応。

無詠唱って……そもそも魔法を使うのに詠唱が要るの?

それにビックリなんだけど。

師匠から教わった時、詠唱が要るなんて一度も……あ。



一度も教わったことはない、と思ったが以前こんなことを言っていたのを思い出した。










私が持つ魔法使いのイメージを師匠に言ってみたことがあった。



「師匠、魔法使いは皆杖で魔法を使うんですか?」


「そんなことないわ。私の場合は細かい魔力操作のある魔法を使うのに便利だからこのペンタイプを使ってるけど、大きな杖を使う人もいるし何も持たない人もいるわ」


「へぇ。じゃあ魔法を使う時に呪文とか唱えたりもしないんですか?」


「魔法はイメージさえ固まっていれば呪文やら詠唱やらは必要ないわ。逆に唱えるとそこにイメージが固定されてしまうから、自由な発想の魔法を邪魔してしまうのよね」




この時はそういうものなのか、と思っていた。

でも今思えば師匠は詠唱や呪文を使わないと言っていたわけではない。

ただイメージの邪魔をするから必要ないと言っていただけだ。



あれれ?

じゃあもしかして私師匠の規格外な価値観で修行してたってこと?



.

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