第1実技試験3
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折角の可愛い顔が可哀想に。
同情の眼差しを向けながら、白目を剥いて気絶している彼女の襟首を掴んでいるニーナに注意をしておいた。
「ニーナ、その扱いはダメだと思う。それとこの子目を回しちゃってるみたいだから一度寝かせてあげた方が良いよ」
「何だト!?貧弱なヤツだナ!」
「えー……」
おま、自分で連れて来ておいてそれ言う?
より金髪の女の子が不憫に思えた。
注意を受け入れたニーナが最初よりも優しい手つきで女の子を地面に直接寝かせた。
おいおい、髪とか汚れちゃうでしょ!
流石に配慮が足りないのでは?
色々言いたいことがあり過ぎてニーナへのツッコミが追い付かない。
しょうがないので自分のローブを脱いで畳み、女の子の頭の下に敷いてあげた。
頭からはみ出たローブの端っこで汚れた顔を拭い、その汚れはすぐに洗浄魔法でしっかりと落としておいた。
先日このローブの大よその値段を知ったばかりなのであんまり粗雑な扱いはしたくない。
かと言って地面にそのまま倒れさせておくのは何となく申し訳ないので折衷案だ。
だって多分、ニーナのせいでこうなったっぽいし。
女の子が起きるまでの間、ニーナに2人を紹介することにした。
「ニーナ、この2人がチームを組んでくれるって。こっちがギルでそっちがジャスパーだよ」
「レヴィは2人も引き入れたのカ!負けター!ワタシはニーナ!よろしくナ!」
「ギルと言います。突然入れてもらい恐縮ですが、よろしくお願いします」
「オ、オイラはジャスパー。よよよろしくな」
ん?ジャスパーなんか様子が変じゃない?
さっきとはまた違う、もしかして緊張してる?え、ニーナに?
と、失礼なことを思っていたけどよく考えたら食物連鎖的なアレなのかな。
ほら、ジャスパーってその……ネズミだし。
対するニーナってまぁ……猫だし?
魔物にそういうのが通用するのかは分からないけど、ジャスパーが緊張してるのは事実だしなぁ。
「ジャスパー大丈夫?」
「お、おう。オイラ元気だぞ」
「いや、そう言うことじゃないけど」
「なんだネズミ!オマエ具合が悪いのカ!?」
「ニーナはちょっとお静かに願います」
これからチーム戦があるのだから、もし何か問題があるなら今のうちに解決しておかないと。
一度ジャスパーと話しておきたいけどニーナがいるとなぁ、と思っているとギルがニーナに話しかけて気を逸らしてくれた。
「ニーナさん、ちょっと聞きたいことがあるのですがよろしいですか?」
「ん?なんダ?」
「魔人の方って見た目にかなり種族的な差がありますけど、やはり使える魔法も影響するんですか?」
「そうだナ!ワタシのところは火属性魔法が得意な種族だから、そう言うヤツは多いゾ!」
よし、今のうちだ。
すかさずジャスパーをニーナから離して話を聞いた。
「ジャスパー、もしかしてニーナ苦手?」
「いや、そうじゃねぇ……名前に聞き覚えがあるんだ。クロノバレド諸国の何かで聞いた気がするんだよ。確かにニーナが猫系の魔人ってのもないわけじゃねぇけど」
「そっか……」
「勘違いすんなよ。これから試験があるのに私情は挟まねぇし、ニーナのことも詮索しねぇ」
君ってやつはやっぱり良い奴だよジャスパー。
ありがとうね、と言うとそれはこっちのセリフだと笑って返された。
私達の様子を見ていたギルに大丈夫と手を振るとニーナとの会話を切り上げて上手く話題をこちらに振ってくれた。
凄く手慣れた仕切り手腕に感心していると女の子がうーんと唸り始めた。
そろそろ起きるかな?と近くでしゃがんで待つことにした私の隣にニーナもちょこんとしゃがんで来た。
「ぅ、ん……あれ?こ、こは……」
「気が付いた?」
「!?」
「声をかけただけなのに気絶するなんてオマエ貧弱だナ!」
「っ!!?」
ニーナの言葉はともかく私はただ声を掛けただけなのにピシィ!と音が付きそうなくらい見事に固まった彼女にもしかして……と一つの推測をした。
ギルとジャスパーにちょっとニーナをよろしくと言うと彼らは無言で頷くとギルが先程のようにニーナを質問攻めにして連れ出してくれた。
今度はそこにジャスパーも加わってフォローしてくれているのであっちは大丈夫だろう。
現代で私も社会人になるまではそうだったから親近感が湧いた。
多分、この子もそうなんだと思う。
何かを言いたそうに、でも言えないのか口をもごもご動かすだけで声は出ていないしこちらと目も合わせようとせず下を見て俯いている。
人によっては失礼だと思うかも知れない態度だ。
ただ自力ですぐ治せるものではないのだ。
人見知りというものは、そう簡単に克服できるものじゃなかった。
少なくとも私はそうだった。
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