第1実技試験1
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学長の挨拶のあと、続けて国王の代理であるという壮年の男性が巻物を広げ内容を読み上げた。
偉い人の話っていつも思うけど長くなりがちだよね。
この場にいるのは半分くらいが13歳の子供なので途中飽きた子達がヒソヒソとお喋りしまくっている。
「これより第1466期入学試験、実技試験を始めるにあたり皆に伝えることがある。今期は我がアルテナス神興国第1王女アスマリア・アル・モレアが入学試験に参加する。我が勅命によりこの度の実技1次試験に観客を招待し公開することとした」
……ふぁ?な、なんて?
急に出て来て何言ってんのこの人?
普通試験内容って機密扱いとかじゃないんですか?
事態を読み込めずぽかーんと呆けた顔を晒す私を含む一部の人たちを尻目に代理の男性は続けた。
「なお、観客は国外の来賓も含まれる。試験の公平性を保つ為、アスマリアには他の者と同じ条件で受験をさせること。試験中においては王族であろうとも特別扱いをする必要はない。皆の活躍を女神アルテナス様にお祈り申し上げる。以上の言を陛下より賜りました」
つまり、アスマリアは王女だけど皆試験中は手加減するなよってこと?
確かに萎縮して本気が出せないなんてなったら不公平だとは思うけど。
男性が下がるとまた学長が出て来て実技試験の概要を説明した。
学長曰く、実技試験は2回に分けて行われる。
1回目が観客を入れて行われ、2回目は1回目を合格した者のみが進めると言う。
1回目は第1から第3運動場に分かれて自由に5組1チームを作り対決すること。
5対5で戦い勝ったチームが更に別のチームとも戦う。
合計2回勝ったチームは無条件で2回目の実技試験に臨める。
もしチームが負けても教師や生徒会、特別顧問などが個別に評価をしており、有能な者は2回目に参加するよう声が掛けられるという。
なるほど。
もし負けても評価次第で上がれる可能性もあるってことか。
でも出来れば先に2勝したいところだな。
「どういうことダ?」
いまいちルールを理解出来ていないらしいニーナが猫耳を下げながら眉を寄せてこちらに聞いて来た。
ニーナはかなり大陸共通語が上手だが、学長の早口な説明はまだステップが先だったようだ。
学長の言葉を噛み砕いてニーナに説明していると、女神様が常時展開している感知魔法から視線を感じ取った。
髪色は濃い藍色のはずだから特に注目ポイントはないと思うからただ見てるだけかな?
ちらりと視線の主に目をやると私を見ていたのは大人しそうな雰囲気の金髪美少女だった。
よく見ると金色の髪の毛先が水色をしている。
人間のカラーリングじゃなさそう。
もしかして魔人?
ばちりと目が合うも即座に逸らされてしまい何をする間もなかった。
ニーナに催促されたので続きを説明していると、気が付けば周りはチームを作り始めていた。
より強い人を求めて冒険者風の大人と組みたがる子も居れば、歳の近い同性同士で固まっている子達もいた。
私も探さないと。
そう思って辺りを見回してみるがあっという間に人が離れてしまって中々声が掛けられない。
何も言ってないがニーナが着いて来ているので多分組んでくれるんだろう。
「レヴィ!ワタシも誰か探して来ル!」
「え、ちょっと、ニーナ!」
行動派のニーナは言うが早いかサッと消えていってしまった。
彼女の感知魔法なら私が多少動いても問題ないだろう。
ニーナだけに任せるわけにはいかないので誰か組んでくれそうな人を探しに行くことにした。
途中アナウンスが入り、5人チームを作った者達から運動場の南出入り口にいるスタッフに声を掛けるように指示があった。
早くもチームを結成した人達が続々と移動してしまい、残った人達は私を含め焦りを見せていた。
声を掛けてもらえることもあったのだが、もう1人魔人のニーナがいることを伝えると眉を顰めて他を当たると断られてしまった。
やはり魔人へ大なり小なり偏見を持つ人はいるようで、凶暴だとか知能が低いとかそんな奴とはチームを組めないとすげなく断られること数回。
そろそろニーナと合流した方が良いかも、そう思った矢先。
「すみません。宜しければ僕と組んでくれませんか?」
え、と振り返るとそこにいたのは先程ぶつかってしまった少年だった。
今はローブのフードを外しているので顔が見えているのですぐに誰か分かった。
突然話しかけられて困惑していると、困ったように眉を下げながら彼は事情を説明した。
「僕はガレリア帝国から来たのですが、連れとは別会場になってしまいまして。この会場では知り合いが誰も居ないものですから中々声を掛けるタイミングがなくて……お願い出来ますか?」
「私は構いませんけど、1人魔人の子がいるんです。それでも良ければ」
「魔人、ですか」
私が魔人と組んでいるのはやはり意外だったのか瞠目する少年に、やっぱり断られるかなと残念に思った。
せっかく声を掛けてもらえたんだけど、ニーナが先約だし仕方ないよね。
しかしそんな私の考えに反して少年の反応は驚き以上のものはなかった。
「それは興味深いですね。魔人の戦い方を間近で見られるのは貴重な機会です。その方はどちらに?」
「今は別行動なんです。ちょうど合流しようと思っていたところで……もし組んでくれるならこちらは喜んでお願いしたいんですけど」
「ありがとうございます。よろしくお願いしますね」
驚いていた割に嫌悪感がなさそうなので、魔人へのマイナスな偏見はあまり持っていない人なのかも知れない。
もしチームを作れなかったら失格になってしまう可能性もあるので、彼が好意的なうちにさっさと人を集めないと。
まずは1人、メンバーゲットだ。
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