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筆記試験3

閲覧ありがとうございます!



ジャスパーと入場時間近くまで資料を見せ合ったり問題を出し合ったりしていると、大分人が門前に集まってきた。

人が沢山いる割に私達のいる噴水そばには綺麗に誰も来ていないので、避けられていることがよく分かる。



また少し待つと門が空いて受験者が続々と中へ向かって行く。

あっという間に長い列を作り、門の内側にある管理人室で受験者の本人確認が行われている。


管理人室を離れてすぐの場所に5つの木の立て看板があり、大講堂と各学科塔の場所が書かれた手書きの地図が貼り付けられている。

本人確認を済ませた人達がそれぞれ指定された試験会場の場所を確かめるべく立て看板に殺到しているようだ。


あの分だとすぐに行っても地図を見られそうにないな。



ジャスパーと共に列へ並び他愛ない会話をしながら進むのを待った。

話題は彼の学習環境やお互いの学院入学の経緯だ。




「ジャスパーって頭良いね。さっき問題出し合った時、全問正解だった」


「勉強は得意だ。レヴェリアもかなり良かったな。一般教養がちょっと怪しいけど」


「それは私も懸念してるところだよ」


「そこ以外は大丈夫だと思うぞ」




さっき会ったばかりだけど、ジャスパーはとても話し易い良い人だった。

今まで特定の人としか関わって来なかったのと3日前のセレスティアの態度から対人マナーに不安があったので話せて良かった。

ジャスパーにも確認したが、マナー違反は無いし不快なことは何もないと言ってくれた。


彼的には母国を出て以降、ちゃんと人と話すのは初めてとのことだから色眼鏡も入っているかも知れないが。


カリギュラのような多くの魔人が行き交っている街ならまだしも、この国にはそこまで魔人が歩いている様子はなさそうだった。

私の髪色もそうだが気にする人としない人の割合が違うとこうも扱いに差が出るのかと驚いた。







受付の時よりもかなり速い流れでどんどんと列が進み、ジャスパーと共に管理人室の前まで来た。

中にいたのは受付時にいた老夫婦ではなく中年の男女だったので、多分息子夫婦だろうと推測した。


女性の方が身を乗り出して来たので鞄からコインを出して手に持った。



「コインと名前を言いな」


「はい。レヴェリアです」


「……はいよ。魔術学科塔の講堂に行きな」




彼女の右手にコインを渡すと左手に持った魔道具らしき金属の宝箱にコインを入れた。

私が名前を言うと宝箱の口がぐにゃりと生き物の口の様に歪んでペッと紙を吐き出した。

女性はその紙を読んでから摘むと私にぴらりと渡して、筆記試験会場を伝えて来た。



貰った紙を見ると私の名前と試験会場が記載されていてあの魔道具は券売機的な役割なのか、と納得した。

ただあの箱の紙の吐き出し方を見ると複雑な気持ちになるのは私だけだろうか。





確か会場は魔術学科塔って言ってたな。


木の立て看板に場所が書かれていたので見て来たいのだが人だかりは大きくなるばかり。

近くまで行けば看板を持った学生のボランティアがいるそうだが、いかんせん入り口だけでかなり広い。


一体どこに進めば良いのやら。




もう少し待つか。

そう思い立て看板を通り過ぎようとした私をジャスパーが呼び止めた。





「おお、まだいたか。場所は分かったか?」


「ううん。あの調子じゃ見られるまで暫くかかりそう」


「じゃあオイラがついでに見て来てやるよ」


「え、良いの?というかどうやって?」


「まぁ見てろって。何処の講堂だ?」


「魔術学科塔だよ」




魔術学科塔だな、と確認するように呟くとジャスパーは人垣にするっと入って行ってしまった。

あっさりと人と人の間を抜けて行ってしまった事にも驚いたが、私よりも少し背が低いジャスパーが他の人達に踏まれたりしていないか心配になった。



背伸びをしたり屈んだりして覗き込んでみたが私と同じかそれ以上の身長の子供や大人ばかりでよく見えなかった。

自分の背の低さを今回ばかりはちょっと嘆いた。


ジャスパー大丈夫かな……。



大人しく看板から少し離れたところで立っていると、てちてちと可愛らしい音を立ててジャスパーが近付いてきた。

見たところ怪我は無さそうだが、心配だったので聞いてみる。




「ジャスパー!大丈夫だった?」


「おう。これ、写し取っといたからやるよ」


「ありがとう!本当に怪我してない?あんなに人がごちゃごちゃしてるところ行ったのに凄いね」


「へへ!オイラ、魔物の血が入ってるから体の大きさを変えられるんだ。だから小さくして間を抜けて来れたんだ。看板の周りにロープが張ってあって助かったよ」




そうか!確かフェロー達も体のサイズ変えられたな。


もう一度ありがとう、と伝えてジャスパーはどこの講堂なの?と聞くと彼は魔物学科塔の講堂だと教えてくれた。


離れてしまったのは残念だが、また何処かで一緒になるかも知れない。

というか彼の学力なら筆記試験は普通に突破出来そうだし。

ほぼ確信を込めて魔術学科塔へ行く前に手を振って挨拶をした。



「じゃあね、ジャスパー。実技試験で会おうね!」


私の言葉を聞いて彼が丸いくりくりした目を驚いたように見開いた気がした。



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