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筆記試験2

閲覧ありがとうございます!



人の壁でよく見えないが、取り囲んでいるのは5人くらい。

筆記試験を受けに来たのか鞄を肩から下げている少年達だ。


市場にいた子供よりも仕立ての良い服を着ているが、貴族ではないだろうから商人の子供とかかな?



更に近づいて行くと彼らの会話とその中心にいる人物が見えてきた。




「おい、お前東の国のヤツだろ?」

「こんなバケモノまで入試を受けられるなんて、この学院本当に大丈夫か?」

「どうせすぐ落とされるだろ。金貨の無駄だったな!」

「もし隣になったら絶対に答案を覗いて来るなよ!」


「そんなことするもんか。オイラに構うな」


「魔物のくせに生意気なこと言いやがって!」

「ちょっと痛い目見た方が良いんじゃないか?」


「おい!返せよ!」


「やーだね!こうしてやるよ!」



囲んでいた少年の1人が中心にいた獣人、ここでは魔人か。

彼の持っていた鞄を奪い取り下卑た笑いを浮かべるとポイっと噴水へ投げ込んでしまった。

ばしゃん、と水飛沫を上げて沈んだ鞄にゲラゲラと笑う少年たち。




とんだクソガキ共じゃない?

一体どんな教育受けてきたんだ。

むしろ君らにこそ受かって欲しくないわ。



テンプレのようないじめっ子の様子に呆れつつも、これから入試なんだから放置はなぁと思い足を進めた。


彼等に話しかける時、突然の風でローブのフードがふわりと捲れた。

直す前に話しかけてしまったのでばっちり髪色を見られてしまい、あ!と思うも時既に遅し。





「ちょっと、君たちさ」


「何だよ?……って、お前のその髪!なんだその色!不吉なやつだな!」

「初めて見たぞそんな色!一体何の血が混じればそうなるんだ!?」

「気持ち悪いやつだな。行こうぜ!」


「……えー」



いつもなら魔法で捲れないようにしておくのだが、これから学院内へ入る際の本人確認の為に魔法を解いていたのが仇になった。

黒髪が滅多にいないことは知っていたがここまで言われるとは思わなかった。

まぁ赤の他人に言われたところで何のダメージもないけど。


仕方なくもう一度フードを被り直して逃げて行った少年達をチラリと確認してから噴水に落ちた鞄を拾う魔人を手伝う。




既に噴水に足を踏み入れている彼に倣い同じように足を入れて散らばった中身を集める。

あちらが何も喋らなかったので、私も無言でびしょ濡れの本や筆記用具を拾い渡した。




「ありがとな」


「これから試験なのにびしょ濡れだね。自分で乾かせる?」


「あぁ、大丈夫だ。……アンタはオイラのこと何とも思わないのか?」




彼の言いたいことは分かっている。

先程の少年達は彼の見た目がかなりネズミの魔物寄りであることを揶揄っていたのだ。



「魔物の血が濃いんだね。あ、もしかして混血じゃなかった?」


「いや、オイラは混血だ。ばあちゃんは人間だったけど、他はネズミとか小型の魔物だよ」


「ここまで魔物の見た目で言葉が話せる人は初めてだから驚いたけど、そう言うものなんだね」


「ばあちゃん以外の他の家族は人間の言葉喋れねぇから、隔世遺伝かなんかだと思う。それにしてもアンタ変わってるな」




え、髪色?やっぱり魔物の中にも黒髪っていないのかな?

ちょっとドキッとして無意識に髪を弄ると、魔人の彼は違う違うと首を横に振った。




「見た目じゃねぇよ。さっきオイラのこと見て驚いたってアンタ言ったけど、オイラのこと軽蔑したりしないからさ。人間ってネズミとか嫌いなヤツ多いだろ?」


「あぁ。別にネズミ平気だし、魔人はカリギュラでも見たことあるから」




普段もっとヤバいの見てるからね、とは流石に言えなかったが私が平然としているので納得したらしい。


この世界に来るまではネズミもゴキブリも死ぬほど嫌だったけど、師匠の弟子やってたらそこらじゅう掃除不足でわらわら出てくるから慣れざるを得なかった。

それに研究の過程で生まれた蠢くヤバい生き物とか素手で触ったら即死の毒虫とか、ガチで命取りに来る生き物を見てたら毒のないネズミもゴキブリも触ろうとは思わないけど可愛いもんだった。




「アンタ面白いヤツだな。オイラジャスパーって言うんだ。アンタは?」


「私はレヴェリア。ジャスパーもこれから筆記試験を受けるんだよね?」


「そうだぞ。鞄は濡れちまったがコインも用紙もあるし、問題ねぇ」


「もし良かったらまだ時間あるし、資料見て行く?」




私がそう提案すると、良いのか?と目を瞬かせるジャスパー。

彼の見た目はハムスターをデカくした感じで、私の知っているリアルなネズミよりもややファンシーだ。


彼を見て思ったのは毛足が少し長めなので被毛の手入れが大変そうだなぁってことくらいで、喋る時に口と鼻がひくひくするのが可愛いとか思ってないよ。

喋り方と声からして男の子らしいし可愛いとか言うのも失礼か。




まだ門が開くまでは2時間ほどあるので緊張をほぐすのに軽く話し相手になってくれたら嬉しいな、くらいの軽い気持ちで提案した。

するとジャスパーはじゃあ頼むよ、と自分の服と鞄を魔法で乾かしてから噴水の縁に腰掛けた。


私も濡れた足元を乾かして同じように腰掛け、鞄から分厚い本を広げて見せた。

ジャスパーも自身で纏めた試験対策を見せてくれたのだが、驚くべきことにかなり分かりやすく纏められていてとても読みやすかった。



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