再会2
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今被っているローブはカリギュラの時とは違い目眩しの魔法は掛かっていないので、純粋に髪色を隠すことを目的にしている。
なのでフードの隙間から普通に顔を見れば認識できる。
あの薄暗い中でも目が良かったピティならフードを被っていても私の顔が見れるのだろう。
会ったのは一度きりだし5年近く前だと言うのによく分かったな、と感心しながらピティに話しかけた。
「よく分かったね。ピティ、久しぶり」
「レヴィの目、凄い綺麗な青色でしょ?他に見たことない色だからすぐに分かったよ!会えて嬉しいな」
「……ピティ、その子は?」
私たちの、特にピティのテンションが上がる中、隣にいた金髪の女の子が困惑した顔でこちらを見ていた。
うわ、この子可愛い顔してるなぁ。
金色の髪にオレンジ色の瞳をした女の子をピティはおねぇちゃんと呼び、私のことを紹介してくれた。
「おねぇちゃん!この子はレヴィ!前に森で会って一緒に遊んだんだ」
「レヴェリアです。よろしくお願いします」
「そうだったの。……私はセレスティアよ。よろしく」
ピティの説明、完全に野生児のそれでは?
まぁ夜中に森の中にいたなんて馬鹿正直に言ったら怒られるから内緒にしてるのかな。
話を合わせておいた方が良いかも、と思い否定しないでおいたらアッサリ流されたのでセレスティアは興味が無いんだろうな。
口ではよろしく、と言ってくれたセレスティアだがすぐにそっぽを向いてしまいよろしくする様な空気は感じられなかった。
知らない間になにか失礼なことをしてしまったんだろうか?
振る舞いがマナー違反だったとか?
アルテナス神興国のマナーはラリューヌさんが指導してくれたので問題ないと思っていたんだけど。
ピティ達の住んでる国ではまた違うとかかな?
初対面でしかもこの世界で久しぶりの同世代からの塩対応に早速心が折れそうである。
日本人の性か愛想笑いを装備してとりあえず場をやり過ごすことにした。
「そうだ!レヴィは手続きが終わったらどうするの?良ければ、」
「ピティ、試験があるのだから無理に誘ってはダメよ」
「あ、ごめんなさい……」
ピティが用件を切り出す前にセレスティアがぴしゃりと言い放った。
今は午前中なのできっとお昼の誘いとかだと思うけど、生憎と師匠が宿で暇を持て余しているだろうからどちらにせよこのあとは別れることになる。
「ごめんね、この後は後見人と合流するんだ」
「そうだったんだ!確か筆記が受付最終日の次の日だからすぐだもんね」
え、そうなの?
じゃあ受付の期日来たら次の日には筆記があるのか。
そうしている間にも列は少しずつ進んでいて、私の列の方が早く人が減っているためにピティ達と離れて行った。
また入試でね!と手を振ってくれたピティに私も同じ様に手を振って応え、前の人に着いて受付へ進んだ。
あと2人程の所で前を覗くと、まず受付に後見人の用紙を渡しお金を払って向こうが手続きしている間に出された紙に記入する方式の様だ。
5分ほどで順番がやって来たので、ずっと手に持っていたせいで少しよれてしまった用紙と皮袋に入れてある金貨3枚を張り出した板の上に置いた。
皮袋を回収し紙を持ち上げた白髪混じりの老齢の女性は、分厚い眼鏡を何度も弄りながら文面を見ている。
何度も、何度も眼鏡を拭いたり掛け直したりをして渡した紙を見直している。
ここまでのスムーズな手続きが嘘の様に私で全く進まなくなった列に後ろからザワザワと声が聞こえて来て、まさか書類を間違えて持ってきた!?と焦りで手汗がドバッと出てきた。
もし何か間違えたなら師匠はまだ宿にいるはずだしすぐに書き直してもらってまた出直すしかない。
というかこの空気が物凄く居心地が悪いので一刻も早く立ち去りたい。
なので思い切って聞いてみることにした。
「あの、何か不備でもありましたか?」
「っ!あ、いやぁ、まさか!ちゃんと合っているよ。済まないね、てっきり幻覚草でも嗅がされたのかと思ったもんで」
「え、それってどういうことです?」
「あのアムリネが弟子?とてもじゃないが信じられないよ。成績上位にして規則違反の常習者が……」
「……ソウデスカ」
ちょっと待って?
書類の不備じゃなく、ただ師匠が後見人なのが信じられないだけってこと?
それだけのことでこんなに待たされてるのか私……。
でも女性の口調から察するに相当師匠に苦労させられた人っぽい匂いがする。
リーレットさんも前にこんな感じの顔というか雰囲気が周囲に漂ってた。多分。
ハッと列の長さに気が付いてテキパキし始めた彼女に、つい先程の師匠の失礼な発言を思い出し同情の眼差しを送ってしまった。
生きてたのかって言ってたな……あの人。一体在学中何をしたんだか。
師匠の名前以外は特に目を止める事もなく手続きは終了した。
最後に受験者を判別する為だと言うコインと筆記試験の要項が記載されている紙を渡された。
コインは五百円硬貨くらいでアルティ学院の校章が彫られている銀貨だ。
受け取った紙を折り畳んでコインと共にポーチへ仕舞うと、女性に軽く会釈をして受付を後にした。
気が付けば後ろにいたはずのピティ達はもう手続きを終えて去ってしまった様だ。
並んでいた列をチラリと見ると私が並んだ時よりも更に長さを伸ばしていて、早めにきて良かったと胸を撫で下ろした。
「なんか、疲れたな」
学院前広場を背にぽつりと呟いて、師匠と待ち合わせている宿へ足を向けた。
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