再会1
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ラリューヌさんのお屋敷から戻って更にしばらく経った頃、色々な人たちからそれぞれの得意分野について教えを受け入試対策がかなり進んだところでその日はやって来た。
私はいつも通り髪を隠す為にローブのフードを被っているのだが、師匠もこの日は目立つ緋色の髪をローブで隠していた。
何やら見つかると面倒な人がいるらしい。学院の関係者かな?
パピヨンから王都へ移動し、入試の手続きをしにアルティ学院の門前に設置された専用の受付へ向かった。
急拵えとは思えないしっかりとした木造の小屋で、正面に大きな窓があり外側の窓下に木の板が張り出している。
他に手続きしている人を見ていると張り出した板の上にバインダーらしき金属板が乗せられていて、乗せられている紙に何やら記入しているようだ。
横長の窓は全開になっていて、2箇所で手続きができる様になっている。
倍率3桁の学院だけあって入試受付初日にも関わらず長蛇の列が出来ていた。
列には私と同じくらいの子供から冒険者風の男性、ローブを着た女性など年齢も性別も様々な人が並んでいた。
時折貴族っぽい小洒落た服を着た子供が列に割り込んできたり使用人に並ばせて途中から入れ替わったりしていた。
受付小屋の中には学院の庭を管理しているという老夫婦がいるそうで、窓からその姿を見た師匠が「アイツら……まだ生きてるなんて。実は人間じゃないのかしら?」と言っていたのは聞かないフリをしておいた。
師匠は学院までの道案内だけのつもりらしく、受付へ提出する後見人の書類と入試費用の金貨3枚を渡すと先に宿へ行くと去って行った。
その後ろ姿を見合った後、受付を済ませるべく門へ向かうとさっきより更に列が伸びていて慌てて最後尾に並んだ。
がやがやと人の話し声が沢山聞こえて来る。
入試受付は今日から3日間。
時間も各日、日没までと決まっていて早いうちに済ませておきたいと思うのが心理だろう。
かく言う私もそのクチで、最終日で良いじゃない〜と怠ける師匠を急かして初日にやって来たのだ。
師匠の場合、最終日まで先延ばしして寝坊とか何かしらして面倒になって結局放り出すパターンもあり得る。
こんなに一度に人が集まる所へ来たのは前世のお祭り以来かも知れない。
こういう所へ来ると何故か知り合いの顔を探してしまうのは私だけだろうか。
本人じゃなくても似た顔とかいないかなぁと思ってしまう。
この世界に殆ど知り合いなんていないのだが、列に並びながらキョロキョロと辺りを見回していた。
なんかあの人リーレットさんと髪型似てるなぁ、とか師匠みたいな赤い髪だとか思っていると同じくらいの背丈の女の子を見つけた。
あ、あの子ピティっぽい!
月の光が照らす夜の森で一緒に冒険した明るい少女を思い出した。
顔はよく覚えていないが、連れの女の子と話している声がなんだかそれっぽい。
「おねぇちゃんなんかドキドキしてきた!」
「そうね。でも沢山頑張って来たから、きっと大丈夫よ」
「うん!」
本当にピティっぽい声だなぁ。
ちょうど隣の列に並んでいる茶色い髪の女の子と金色の髪の女の子。
姉妹で入試を受けるらしく、2人とも紙を持っている。
「お金足りるかな?」
「金貨3枚と言っていたから足りるはずよ。私が先に受付をするからピティはその後にやれば良いわ」
「うん!ありがとうおねぇちゃん」
ん?今ピティって言わなかった?
2人が気になって会話に聞き耳を立てていると、おねぇちゃんと呼ばれた金髪の女の子が茶髪の女の子をピティと呼んだ気がした。
聞き間違い?でも声も似てる気がするし……いくら何でも偶然が重なり過ぎでは?
じーっと2人を見つめているとまず金髪の子と目が合いそれを見た茶髪の子がこちらを振り返った。
そして目が合ったのだが、残念ながら顔を見てもピンと来なかった。
あの時は暗くて目が丸くて大きかったことくらいしか覚えていないので、当然っちゃ当然である。
でもあちらは違うらしかった。
「!」
顔を見た時、目が丸くて大きい子だなぁと思った。
活発そうな印象のその子は私を見ると大きな目を更に大きくして、次いで嬉しそうに目を細めるとこちらへ手を振って声を掛けてきた。
「レヴィ!?レヴィだよね!?久しぶり!私だよ、ピティ!」
「あ、え、久しぶり!」
やっぱりピティだったんだ!
間違ってたら恥ずかしいから話しかけられなかったけど、合っていたらしい。
ピティから話しかけてくれて本当良かった……物凄い人見知りってわけじゃないけど、確信が持てない状態で話しかけるの勇気が要る……。
周りの人やピティの隣のお姉さんの視線を感じて恥ずかしさに俯きながらピティにひらひらと手を振って応えた。
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