消えた竜種8
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女神の呪いとかいう色々アウトな別名を聞いたら、やはり私の中にいる女神様の存在が気になるというもの。
とりあえず早速聞いてみようと思う。
ー女神様女神様女神様!
『なぁに?私じゃないワよ?』
ーいやいや、呪い?みたいなの解いたんだから無関係ってことないでしょうよ!
『知らないワ。私の魔法が効いただけよ』
ーその魔法だって詳しいことよく知らないんですけど!?
『うーん……そのままの意味として受け取って欲しいのだけど、私の魔法は前にも言ったけど魔力や魔法を無効化したり使えなくすることが出来る。あのたまごにはそれ以外のことはしていないワ』
ーつまり、女神様は呪いにしろ何にしろたまごに掛けられた″何か″の魔力又は魔法を解いただけってこと?
『だからそうだと言ってるワ。女神の呪いだかなんだか知らないけど、私の魔法が効いたのだからアレは魔法の類よ』
今私は女神様から教えてもらったから知ったとして、たまごに掛けられたのが呪いじゃなく魔法だと気付ける人は果たしているだろうか。
過去の研究者達が解き明かしていないならきっと鑑定魔法を持ってしてもよく分からなかったはずだ。
これを伝えたら女神の呪いの解明は一気に進むだろう。
でも必ず根拠や情報の出所を聞かれる。
もし呪いを解ける魔法を使える事が知れたら今までみたいな生活は出来なくなるのではないか。
もしかしたら隠れて一生を過ごすことになるかも知れない。
女神様が表に出たがらない理由は分からないけど、知識も力もない今の私では対処出来そうにない問題だ。
心苦しい気持ちもあるが、今は保身第一。
師匠の話には相槌だけを打って女神様との会話については一切伝えなかった。
ひと通り経緯を把握したところで暖炉前にいるアンペルが徐ろに立ち上がり私の方へやって来た。
森にいた時の俊敏な動きが嘘の様にのっそりとした足取りに目が釘付けになっていると、目の前までやって来たお座りをした。
「どうしたの?アンペル」
分かるはずもないと理解してはいるのだが、知能の高い行動を取るからかどうしても話しかけてしまう。
「ぐるぅ、ふしゅー」
「良かったわね。アンペルが仮契約してくれるって言っているわ。ドラゴンのしかも相手から提案されることなんて滅多にないのよ」
「仮契約?意思疎通が出来るってことですか?」
「あら、知ってたのね。そうよ。魔物とは使い魔契約が基本だけれど力ある魔物の中には気に入った複数の人間と仮契約を結ぶことがあるわ」
仮契約はあくまで魔物の意思で行われるもので、使い魔の様に命令したり呼び出したりは出来ない。
当然、その魔物の持つ魔力量や練度で仮契約出来るかどうかが決まるので大体の魔物は対象外だ。
つまり仮契約が出来る時点で相応に強い魔物であり、更に可能な人数が多ければ尚凄いことであるらしい。
今回アンペルが師匠と仮契約を交わしたのは事前にクイーンを説得して使い魔契約をした後に、クイーン同伴でたまごの件を懇切丁寧に説明したからだという。
余談ではあるが、ここでの説得はいわゆる説得(物理)である。
もうたまごを孵化させるためという大義名分はないのでアンペルがわざわざ仮契約をする必要はなく、純粋に気に入られたことが珍しいらしい。
てっきりたまごを孵化させたことへのお礼か何かかと思っていたのでかなり驚いた。
いや、さっきまでブレスで殺そうとしていた相手を気に入るとは?と情緒の変化について行けなかっただけなのだが。
何はともあれ仮契約してもらえるならお言葉に甘えようと思う。
欲を言えば何か困った時にでも助けてくれたら良いな……そんな考えを持ちつつ師匠に教えてもらい仮契約をすることにした。
アンペルがこちらに頭を下げ、私はアンペルに両手の甲を差し出す。
魔力を手の甲に集中させると、魔法を使っていないのに魔力リングが発現した。
するとアンペルが私の手の甲へ鼻先をぴとりと付けて一鳴き。
魔力リングが今度はアンペルの額に発現したが、通常の使い魔契約とは違い額の紋章はすぐに消えてしまった。
そして額と手の甲の魔力リングが消えるとスッと顔を離し、何やら話し始めた。
《聞こえるか?仮契約は終了した。我はアンペルだ》
「え、あ、はい。私はレヴェリアです。よろしくお願いします」
わわ!本当に喋ってる!というか言葉が分かる!なんだこれ、凄い!!
この世界で過ごしていて凄いと思うことや驚くことは今まで沢山会ったけど、過去1番くらいの衝撃を感じた。
ファンタジーだ……凄いファンタジーだ!
アンペルと意思疎通が出来たことに感動しているとあ、そうだ!と師匠が今日の夕飯はシチューよ、とでも言うかの様に何でもない声色で付け足した。
「アンペルはその昔大陸の北に住んでいた、大陸で最も恐れられたフレアドラゴンよ。その強大な力を恐れ過去に国同士が結託して絶滅に追い込んで、公には消えたとされる竜種。でも実際には生き残りが各地にいるそうで彼はその末裔よ」
は?なん、それ?え?
たまごが動いたのを見た時の師匠達の様に目と口を大きく開けて戸惑う私を見て、師匠がイタズラが成功した子供の顔でニッと笑った。
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