入試対策4
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悩むアスマリアに協力出来ることなら言って欲しいと伝えてその場は解散した。
正直、ここまで彼女が成長するとは思わなかった。
人の上に立ち周囲をよく見て場の空気を読み判断することは、時に自分の感情や信条に逆らう必要も出てくる。
初めて会った頃のアスマリアだったら嫌なことを絶対に受け入れなかったし、感情を飲み下したりする様なこともしなかっただろう。
むしろ周囲に当たり散らす言動をすることの方が多かったのではないかと思う。
そう考えると今のローレンスとの関係も奇跡に近いんじゃないかな?
本当なら手紙を貰った時点で一も二もなく公爵家へ戻っているだろうに、迷い悩んでいるのは彼がアスマリアを心配しているからだ。
王太子がどんな人かは知らないが少なくともアスマリアよりは人望があるみたいだし、ローレンスも彼に仕えることを嫌がっている素振りはなかった。
兄妹仲が悪そうな感じもアスマリアの話を聞く限りだとなさそうだから、きっと学院に入学してもなんとか上手くやって行けるんじゃないかな?
入学前から王女様と仲良くしてもらってるし、入学出来たら私の学院生活は安泰かもね!
なんて考えは学院へ入ってから見事にひっくり返されてしまうのだが、それはまだ先の話である。
ラリューヌさんのところで学び始めて結構な日にちが経った頃。
師匠の引っ越し準備やここの学習環境が良いこともあって当初の予定よりも長居している。
ここでは庭の一角をお借りして自分用の薬草畑を作らせてもらったり研究用の部屋を1つ用意してもらったりと至れり尽くせりである。
師匠やその使い魔達の世話がない分、研究や勉強に没頭したりラリューヌさんの執事同伴でちょっと街に降りたりと楽しく過ごしていた。
街での散策の途中で知ったのだがラリューヌさんはアルテナス神興国の貴族なのだそう。
爵位は分からないがご挨拶の為に連れて行ってもらった本邸の入り口に大きな白黄色の石が飾ってあったのをよく覚えている。
案外世間は広いようで狭いのだなぁとこの時は呑気に思っていた。
そういえば滞在して1ヶ月くらいの時、入試の件を聞き付けたリーレットさんが珍しく興奮した様子で自身が設立したという錬金術学科を宣伝しにお屋敷へ突撃してきた。
その時はとても詳しく錬金術の魅力や授業の内容、就職先の斡旋についてなどを語ってくれたが残念なことに私はまだ入学どころか試験を受けるための準備段階である。
とりあえず相槌を打っていたらすっ飛んできたラリューヌさんに捕まってお説教を受けていた。
あまりに珍しい組み合わせだったので何かに記録したかったが、生憎とこの世界にはまだカメラがない。
時たまこういう場面などで現代の技術が懐かしくなるので、いつか作れないかなと思っている。
そしてここまで月1程度はアスマリアのところへ行くことが出来ているのだが、先日ついにローレンスが入試を受け、結果は無事合格だったという。
アルティ学院は全寮制なのだが王宮へは年2回の長期休暇中に時間を作ってやって来るらしい。
未だにちゃんとアスマリアの近衛にも籍を置ける様、当主と交渉をしていたというローレンス。
アスマリアも国王に入試を受ける許可をもらえたので魔力操作や魔法の練習を始めたと言っていた。
表向きはガレリア帝国のグレイシャ皇子と親交を深めるために学院へ通うというのが主な理由だが、もう一つ目的がある。
それは私の卸しているお茶を王家主導で表へ出すこと、そしてその販売をアスマリアが斡旋し実績とするための販促と認知を広げるため。
ことの始まりは数ヶ月前にいつものようにアスマリアへお茶を納品したところ、現在アルテナス神興国へ卸しているお茶の量と買取額を増やす代わりに専属契約を交わして欲しいと言われたのだ。
入試を受けたいと言ったアスマリアに対し、国王は今王都で話題になっている私のお茶を国の名産として提供するなら考えると言った。
アスマリアは私に確認を取りたいと言って猶予をもらい、私がやってきた時に話してくれたのだ。
まぁ作り方は簡単だしそもそも師匠の魔法薬がなければあのクオリティのお茶は作れないのでそれを説明した上で良いのであれば卸すと伝えた。
師匠にも確認したが金儲けの為に魔法薬を作っているわけじゃないから好きにしなさい、と言ってくれた。
販売名義は師匠の名前を借りることになり、魔女アムリネの名前を聞いた国王は飛び上がって驚いていたとアスマリアが笑っていた。
いや、笑い事じゃないです。といつもならツッコミを入れてくれるローレンスはこの時既にいなかったのでちょっと残念である。
そんなこんながあり今は安定供給に向けた準備段階で、茶葉に効果を付与する魔法薬を厳選したり元の魔法薬の質を師匠の物に近付けている最中だ。
アルティ学院では経営学を学んだりすることはないが、代わりに各国から優秀な魔法使いや身分の高い貴族がやってきたりするのでコネ作りにはぴったりの場所だろう。
ラリューヌさんから借りた研究設備は入試対策や納品する茶葉作りだけでなく、アルテナス神興国の王室からの依頼品の開発にも使わせてもらっている。
これは国王からも認知されていることで、既にラリューヌさんや当主も了承済みだと言う。
王室からの依頼とあって手抜きをするわけにはいかないので本邸からわざわざ人を遣わせてくれ、更に材料調達まで快く引き受けてくれたラリューヌさん達には感謝しかない。
ただし出来た新しい魔法薬や茶葉を試させて欲しいとか、更に美容効果を付与した物を……という要望をしてきたりと下心はそれなりに感じるが。
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