表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/96

消えた竜種7

閲覧ありがとうございます!



ドラゴンが2匹も入れるスペースはパピヨンにはないが、どうやら2匹とも体のサイズを小さく出来るそうなので問題ないという。

パピヨンの扉の前に転移した後、それぞれ縮んでいく姿はなんとも不思議だった。




扉を開けてまず師匠がしたことは杖を振って私の服を綺麗にすることと暖炉に火を入れることだった。

陸上で生活をするドラゴンは暖かいところが好きだそうなので出来るだけ火の近くにベビードラゴンを置くのだそうだ。


確かにたまごの置いてあった岩場の巣も地面が黒く焼け焦げていたので温める為にあえて焼いていたのか、と納得した。



師匠が魔法で作業机の上を片付け椅子を2脚引き寄せた。

そして暖炉の前に籠を出してそこにベビドラを入れブランケットを掛けた。

すかさずクイーンが籠を囲むように体を寄せてベビドラが飛び出さないように見守り、その近くにアンペルがそわそわと伏せている。




「事情を話すわ。でもその前に……お供が欲しいわね」



作業机に魔法でティーセットを出すと私に淹れるように言ってきた。

そのまま椅子に座ってお茶を待つ師匠を横目に大人しくティーポットを手に取り瓶から茶葉を出した。


慣れた動作でお茶の入ったカップを差し出すとありがとうと受け取り早速口を付ける師匠。

温度は魔法で調節済みなのですぐに飲むことが出来る。

そしてティーセットにちゃっかり添えられていたクッキー缶の中身を皿に並べて机の中心へ置く。





準備を整えると、話す内容を整理していたのか静かにしていた師匠がカップを置くと口を開いた。



「今回のことを理解するにはまず私が何故クイーンと契約したのかから説明する必要があるわ」


「1年ちょっと前にクイーンの棲家に行った時ですね」


「そうよ。契約する少し前にクイーンの巣を狙って密猟者が野営していると情報があったの」


「密猟者……」


「たまにあるのよ。西の地域は人の集落が少なくて珍しい魔物や植物が多いから特にね」




じゃあたまに手紙や魔法で連絡を受けてすぐに慌てて出て行く時ってそういう理由もあったのかな?

因みに私にお使いや採取を頼む時にはその辺りを把握してから送り出していたらしい。

それを聞いて意外と考えてくれてたんだな、と失礼にも思っていた。





「それで密猟者を殲滅がてらクイーンの様子を見に行ったらアンペルもいて産卵期に入っていたのを発見したの。見るからに2匹は番いだったけど違う種類のドラゴン同士だったから仮にたまごを産めても孵化には至らないと思ったのよ」


「見ただけでそんなことが分かるんですか?」


「……貴女は聖書を読んだことがないから知らなかったわね。聖書には女神の教えが書かれていて、教えの他に戒律や物語が記載されているの。」




女神信仰のことや聖書があるのはラリューヌさんが信仰者なので知っていたが、まさか戒律に物語まで書かれているなんて。

師匠は神妙な面持ちで聖書に記載されている今回の件に重要な項目を教えてくれた。




「女神アルテナスの聖書には3つの戒律があって、″生まれによる差別をしてはならない″、″魔力を持つ者はその使い方を学ばなければならない″そして最後に″他の種族と交配してはならない″」


「交配?何故ですか?」


「分からないわ。でも同じドラゴンでも種の違う者は例えたまごが生まれたとしても孵化することはない。人間もそう。妊娠は基本しないし、出来ても流れてしまう」




悲しそうな顔でそう言った師匠を見て何か過去に関連した出来事があったのかな、なんて想像してしまった。

そうか女神の戒律か……あれ?




「あの、師匠。じゃあ東の国にいる魔人や魔物はどうなるんですか?フェローやポチも他種族と交配してますよね?」


「良いとこに目を付けたわね。あそこは女神信仰がない代わりに違う神を信仰している地域なの。子を望む親はその神に祈りを捧げて、何かの儀式をしていると聞いたことがあるわ。フェロー達だけど、何故か犬型の魔物は交配出来るのよね。何でかしら?」


「犬型の魔物……なんて大雑把な」


「血の混ざりやすさや魔力や知能、様々な説が唱えられてきたけれど誰も原因を発見出来たものはいないの。だからこそ、今回のたまごの孵化は絶対にあり得なかったことで世紀の大発見なのよ」


「そう、なんですね……」





どうしよう、ぜんっぜん重要さが分からない。

だって女神様あの時サラッと魔法使ったしベビドラはあんなに元気だし。


チラッと暖炉の前でクイーンに顔を舐められているベビドラを見た。

ちゃんとクイーンを母親だと認識しているらしく顔を擦り寄せて甘えている。

母と子の幸せな空間の端っこにぽつんとアンペルが羨ましげな様子で窺っているのが何ともシュールだ。





「もしこの子の存在が知れたら最悪戦争になる可能性もあるわ」


「え!?そんなに!?」




クイーン達の方にやっていた顔をぐりんと戻して師匠を見ると、普段のふざけた様子は皆無で真剣に言っているのだと分かった。




「それくらい有り得ないことなの。今まで誰も成し得たことがないから″女神の呪い″なんて呼ばれているくらいなのよ」




……ん?呪い?


あの時に女神様、なんて言ってた?

なんか呪いみたいなの掛かってたから解いといたわ〜みたいこと言ってなかった?


え、女神様マジの呪い解いちゃってた感じ?



たまごが孵化しただけでこんなに大騒ぎなのに、呪い解けるよとか言ったらどうなっちゃうんだよ……。


師匠のあの驚き様からしてとんでもないことになるのは容易に想像がついた。



とりあえずへ、へぇ〜とかいう下手くそな相槌しか返せなかったが師匠は気にならなかったのか特に何も言わなかった。



.

いいね、評価などありがとうございます!


もし面白いと思われた方がいらっしゃればいいねや評価、ブックマークなど頂ければ嬉しく思います!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ