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消えた竜種5

閲覧ありがとうございます!



目も口も開けてポカーンとした顔の師匠は珍しいし、ドラゴンのそんな顔なんて初めて見たのでなんか面白かった。

しばらく観察していたら、我に返った師匠が信じられないと言わんばかりの表情でたまごを指差した。




「な、こ、これはどういうこと!?こんなことが突然起こるはずないわ!レヴィ、貴女何をしたの!?」


「え?と、特になにも?」




ガッツリやっちゃったけど女神様のことを言えないから説明が出来ないので、しらばっくれるしかなかった。



「嘘おっしゃい!休眠から目醒める気配がなかったのに突然こんな、私が帰ってから小一時間で孵化間近な状態になるなんて……」




すると師匠はたまごをじっと見つめて、突然ハッと気が付いたような動作をすると私の方をくるりと向いて手を出した。



「私の鞄、持っているでしょう?出して頂戴」


「はい。分かりました」



肩に下げていた鞄を師匠に渡すと、ごそごそと中を漁って例の使い道不明のティッシュ箱みたいなアイテムを取り出した。


付いているチューブごと引っ張り出すとチューブの先についた鉱石を確認して、さらに鞄から出したジェルパッドみたいな物を鉱石の入っているパーツに取り付けた。



パッド部分をたまごにくっ付けると、たまごがふるりと震えて動きが激しくなる。


クイーンの顔がどんどんたまごに近付いて来ていて、アンペルがその後ろで落ち着きなく右往左往して歩き回っている。




なんだこれ、出産シーンか?生まれるのか?


どうやらあの装置はたまごに魔力を流し込むためのものだったらしく、師匠が自身の魔力をあのチューブの先についた鉱石に貯めて流していたらしい。




装置の横に師匠が手を翳すとカコン、と外れて空洞が出来た。


師匠がそのまま手を入れると装置が起動して魔力を帯びた時のように装置が光り始めた。

魔力の光はチューブの中を通ってその先の鉱石へと流れて行く。

鉱石も光り始めるとたまごへ流れ込むように光が移っていくのが分かった。


初めて見る光景にしばらく釘付けになっていると、突然師匠が魔力を流すのを止めてしまった。




「……やっぱりダメね。私の魔力を流しても漏れ出てしまうわ」


「どういうことですか?」


「本来魔力を流し込まれると生き物であれば活性化したり目覚めたりすることが多いのよ。流し過ぎれば逆の作用を引き起こすこともあるけど、今回はそこまで流していないからそれはない。どちらにせよ何も起こらないなんてことはないわ」


「漏れてしまうことはおかしいんですか?」


「弾かれることは結界とかでたまにあるけど、漏れることはまずないわ」




師匠曰く、大きな穴の空いた革袋に水を入れているような感覚だという。

元気がないだけなら少しずつ魔力を流せば徐々に溜まっていく感覚があるそうなのだが、今回はそれも全くないそう。


暖簾に腕押しみたいな状態ってこと?大分元気そうだけど。



おかしい、なんでだ?と頭を抱える師匠の前ではパッドをつけられた卵が元気にダンシングしていた。


なんだこれ。こいつ凄い元気だぞ?魔力要らないのでは?





「見た感じ元気そうですけど、魔力が必要なんですか?」


「動いているということは孵化直前で一番体力と魔力が必要なの。今まで殆ど魔力がない状態だったから、殻を破るにはまだ足りないはずよ」




なるほど。

それでさっきから魔力を流そうとして漏れてる!と騒いでいたわけか。


せっかく女神様が呪いとやらを解いたのに結局孵化できないかも知れないなんて。


複雑な気持ちでたまごと師匠を眺めていると、顔を寄せていたクイーンがぐりんと首をこちらへ捻ってきた。

至近距離に突然やって来たドラゴンの顔に焦っていると、私のローブの端を少し咥えて師匠の方へぐいぐいと引っ張って行こうとしている。




「ちょ、クイーン、ローブ破れるっ」


「クイーン?」


「ぎゅふ、ぐふ」


「……そうね。レヴィ、貴女がやってみなさい」


「え!?ど、どうやって?」


「ここに来て、私がやっていたのと同じようにやりなさい」




ローブを咥えながらくぐもった声を出すクイーンの言葉が分かるらしい師匠が心得たと言わんばかりに頷いた。


師匠はスッと下がってそばに顔を寄せるクイーンの頬を撫でながら言った。

突然の指示に戸惑いつつも先程見たのを真似てティッシュ箱(仮)に手を入れた。




「普段魔法を使う要領で手のひらに魔力を集中させるのよ」


「分かりました」



とりあえず言われた通りに魔力を手のひらに集中させる。

正直半信半疑なのだが、これで果たして上手く行くんだろうか。



さっきのように装置が光り、チューブが光る。

そして鉱石が光り……


ぎゅるぎゅるぎゅる!!

チューブの中を勢いよく光がたまごの方へ移動していく。

まるで高速道路のトンネルみたいだ、なんて呑気に思ったのもひと時だけ。



突然ガクッと力が抜け、物凄く強く魔力を″吸われている″!?と未知の感覚に驚いて固まってしまった。




「!?」


「レヴィ!魔力を集中させなさい!」


「は、はい!」



師匠に喝を入れられてハッと気を引き締めて集中する。


なんだこいつ、師匠の魔力にはまるで見向きもしなかったくせに!

内心で悪態を吐きながら吸われるままに魔力を明け渡した。



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