入試対策1
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え、今なんて言ったこのお姫様は?
私も勉強?なんで?
ちょっと言ってることが理解出来なかったので聞いてしまった。
「あの……つかぬことを聞くけど、なんで私も?」
「え?わたくしも13歳になったらアルティ学院へ行くのだから、レヴィも一緒に来てくれるのでしょう?」
………ん?
一体どういうこと?
アスマリアが通うのはお姫様なんだし良いとして、何故私まで?
「レヴィが来てくれないならわたくし学院になんて通えないもの!お父様にも進言するつも「通う!通うよ!?」本当?嬉しいわ!」
「……気の毒に」
いやいやいや、なんで私まで通うことに!?
そしてローレンス!お前ボソッと気の毒にって言ったろ!?
聞こえてるんだよ!ちょっとはこの暴走お姫様止めてよ!無理だと思うけど!!
「今まで花嫁修行に関連したお勉強しかして来ていないし、このままでは学院に通うことも許可してもらえないかもしれないわ」
つまり、私にも入試対策の勉強に付き合えと。
アルティ学院って名門中の名門なのに貴族でもなく伝手もない私が入れるものなのかな。
門戸を広く開いているからと言って入学出来るとは限らないのは前世で受験戦争を経験しているのでよく分かっている。
「事情は分かったよ。でも勉強に付き合ったりは出来るけど、実技はどうする?アスマリアは魔法が使えるの?」
「魔力はあると宮廷鑑定士の方に言われたわ!」
「宮廷鑑定士?」
「アルテナス神興国お抱えの鑑定魔法を使える魔法使いのことだ。他国からの贈答品から流通品の鑑定まで幅広く行う。レアな魔法の為、適性があると分かったら各国で仕事の斡旋をしてもらえる」
「へぇ。ちゃんと国の専属もいるんだね」
「滅多に見つからないけどな」
そうなんだ〜。
師匠もそうだけど、意外と周りに使える人がちらほらいるから凄いレア!って感じがしないな。
「もしもお父様の許可が得られればわたくしも魔法の訓練を受けられるはず。レヴィにもぜひ一緒に学院の入学試験を受けてほしいわ!」
「それは俺も同感です。レヴィは類稀な才能がある。僅か9歳で魔法陣なしに転移魔法を使ったり魔法薬を調合出来る上、更に商品開発まで……正直学院へ行かないのは勿体無いと思う」
「うーん、とりあえず師匠に聞いてみるよ。学院の卒業生らしいし」
「そうね。お師匠様にくれぐれもよろしく伝えるのよ!」
「う、うん」
圧が強いな。
確かに才能云々は女神様の魔法のお陰だし年齢的なアドバンテージもあるけど、あの2人がいるなら学校生活をもう一回やるのも良いかもしれない。
試験とかの諸々は考えないようにして学力や能力、家柄的に無謀でなければ挑んでみたいかな。
今日の集まりはアスマリアの圧の強いお願いで無事幕を閉じた。
次の日、師匠が作業机に向かって納品予定の魔法薬を調合するのを手伝ったあと昼食がひと段落したブレイクタイムに入試の話をするつもりだ。
ティータイム用にと作ったパウンドケーキをつつきながら私が切り出すよりも早く、ティーカップを口元に寄せながら師匠が話し始めた。
「思い出したわ。今度ラリューヌが魔法薬を回収しに来るんだけど貴女ちょっと彼女の屋敷にしばらく行ってきなさい」
「え?何でですか?」
「マナーだとかその他色々を教えてもらう良い機会だからよ」
えー、突然過ぎるんだけど。
ラリューヌさんかぁ。テーブルマナーとかが細かくてイマイチ覚えられないんだよな。
あと貴族流の挨拶やら暗黙の了解やらを初めてさわり程度に教えられた時、生きて来た世界が違うとはこのことかと痛感した。
食事も立食か着席かで全然違うし、家族にも貴族ルール適用されるとか庶民の私からしたら息苦しさすら感じるレベルだ。
まだ本格的なレッスンを受けたわけではないのにもう既に気分がげんなりしてしまった。
ラリューヌさん、嫌いじゃないんだけどちょっとこだわり強いタイプなんだよね。
あ!私も学院のこと言っておかなきゃ!
「師匠!私アルティ学院の入試を受けようと思うんですけど……」
「あら、良いじゃない。私たちもあそこを卒業したのよ。歴史ある学院だけあって古臭いけど教育機関としては最高よ」
良かった……。ダメって言われるとは思わなかったけど、こんなにあっさり許可が出るとは。
拍子抜けしてパウンドケーキをフォークで刺していた手を止め、カップに持ち替えひと息吐いた。
これならアスマリアとの入試対策も上手くいくかもしれないな。
余裕すら感じた私は健康茶入りのカップを傾けて、師匠には及ばないまでも優雅にを心掛けてお茶を飲んだ。
そこへ、師匠がまたしても爆弾を落として来た。
「貴女がアルティ学院を受けるならちょうど良いわ。そろそろ拠点を一度移そうかと思っていたのよ」
「ごひゅ、げほ!ごほっ、」
「汚いわよレヴィ。貴女が入試を受けたら合否に関わらずここを移動するわ」
「げほ、い、行き、先は?」
なんとか絞り出した質問に師匠がにやりと笑って答えた。
「南にある大国、ヴィアラクテア王国よ」
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