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消えた竜種4

閲覧ありがとうございます!



「し、師匠!」



思わず掠れた声でそう叫ぶと、師匠は私を背にしてドラゴンと向き合いながらチラリとこちらを見た。


そしてドラゴンにもう一度「アンペル」と声を掛ける。

ドラゴンが唸りながらも引き下がったのを確認すると、くるりとこちらを振り返り眦を吊り上げて言った。




「全くアンタって子は!普段大人しくしてるかと思えばこんな無茶をして!!」



とぷんすか怒っていた。そりゃそうか。

勝手に魔法陣使って転移した挙句にドラゴンの巣に行って殺されかけてるもんな。


怒っている師匠の顔を見ていると、なぜか視界がぐにゃりと滲んだ。


最初何が起きたのか分からず、咄嗟に瞬きをするとぼろりと目から何かが落ちた。



……あれ?私泣いてる?



「し、しょ……ししょぉ」


わけが分からなくなって師匠の名前を呼んでいると、頭に何か暖かいものが乗せられた。




「……これに懲りたら、勝手に魔法陣使っちゃダメよ」


心配したんだから。





そんなこと、初めて言われた。


致死率の高い猛毒の草を作業机に放置したり空腹のフェローに追いかけさせたり他にも色々命の危険を感じることをされてきたけど。


でも、師匠の知らないところでは起こらなかった。


もちろんあとでリーレットさんに告げ口して叱ってもらうまでがセットだった気がするけど。




あれ?思えば結果的に生き残ったのであって今回と言い、割と師匠の手で窮地に陥ってないか私。


ぽろぽろと涙が落ちていたのも束の間、師匠原因説に思い至ってスッと涙が引いてきた気がする。





泣き止んだ私を見てよし、と頷いた師匠は私の頭に乗せた手を下ろして大人しくなったドラゴンに向き合った。

いや、なんでそんな達成感ある頷きをされたの?

絶対今、上手く宥められたわ!と思われてる……。



ドラゴンに説教を始めた師匠にジトーっと納得いかないぞと目線を送るも気付かれるはずもなくスルーされた。







「アンペル、この子は私の弟子のレヴィよ。襲ってはダメ」


「ぎゃう、ぎゃうぅ」


「縄張りに入ってたまごに近づいた?貴方の包囲網を掻い潜ったってこと?あら、流石私の弟子ね「ぐぎゃぎゃぎゃ!!」冗談よ」




師匠、ドラゴンと会話出来るの!?



驚愕の事実に目を剥いて驚いていると、師匠よりも大きな赤い影がドラゴンの横っ面を直撃した。







「ぎゃぐぅ!?」



漫画のような見事な断末魔と吹っ飛び方に大きく口を開け、呆けた顔で見送ってしまった。

師匠は驚かないのかと見ればやれやれ、と首を横に振り腕を組んで余裕の様子。


ってことはこれは日常なの?




大きな赤い影、フルトゥレドラゴンのクイーンが深緑色のドラゴンに右ストレートを食らわせたようだ。

握り締められた右前足から僅かに煙が上がっている、というこれまた漫画みたいな光景にそろそろ現実逃避しそうになった。



先程の凶暴な態度は何処へ行ったのか、アンペルと呼ばれたドラゴンは翼を閉じ頭を低く垂れて何やら落ち込んでいるように見える。





「ぎゃぅ……ぐぅ」



心なしか声も元気がない。

言葉が分かるらしい師匠も含めて一体どういう関係なんだろうか?


そしてドラゴンの表情に詳しくはないけど、物凄く怒っているのが立ち昇る魔力?でよく分かるクイーンさん。

どうしてそんなに怒ってるんだろう?




「ぎゃぎゃぎゃぎゃ!!がぅがゃぁ!!」


「………ぎゅぅ」


「あらぁ、随分ご立腹ね。気に入られたもんねぇ」




頭を垂れるドラゴンにガミガミと怒っているらしいクイーンと何やら感心してきるらしい師匠。

三者をきょろきょろと見比べていると、戸惑う私に気が付いた師匠が笑いながら説明した。




「クイーンはアンペルが貴女にブレスしようとしたのを怒ってるのよ。たまごも近くにあったしね」


「え、このたまごってクイーンが産んだんですか?」


「そうよ。クイーンとそこにいるアンペルのたまご。違う種族だから孵化する確率はかなり低かったけど、休眠させたりして何とか一年弱頑張ってきたの。でも……」




珍しく言い淀むそぶりを見せた師匠は、私がさっきまでいたたまごのそばへ歩いて行く。

たまごは咆哮による風で周りを覆う葉の中にまた埋まってしまっていた。


師匠はそれを掘り出すこともなくそばでしゃがんで葉の上からたまごがあるだろう場所へ手を置く。




「そろそろ潮時かもね」



まるで自分のことのように悲しそうにそう言った師匠。

気が付けば先程まで怒りを爆発させていたクイーンが近くに来ていてきゅーんと悲しそうな鳴き声を発していた。


アンペルの気が立っていたのはたまごが孵化しないかもという焦りもあったのかな。

気安く縄張りに入った挙句、死にそうなたまごに触ってるとかそりゃあアンペルからしたら万死に値するよな。



あれ?でも………




「師匠、このたまご動いてましたよ?」


「なんですって!!?この数日徹夜で張り付いてて一度も反応しなかったのよ!?」


「「ぎゃ!?」」



私の発言を聞くと慌てた様子で葉を退かし始める師匠。

その様子を番いのドラゴンがあわあわと見守っている。


凄い、この短時間にちょっとだけ彼らがどんな様子なのか分かる。

もはやコミカルさすら感じるリアクション豊富なドラゴンにファンタジーだなぁなんて呑気に考えていた。





葉を慎重に捲っていくと、そこにはさっき女神様が魔法を使って元気いっぱいのたまごがうっすらオレンジ色の光を放ちながら佇んでいた。



なんかさっきより元気?気のせいか?



魔法を使った直後よりももごもごと動いている気がするがまぁ元気なのは良いことだ。


ほら、ちゃんと動いてるでしょ?そう言って振り返ると、師匠とドラゴン2匹があんぐりとさっきの私のように口と目を大きく開けて呆然としていた。



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