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消えた竜種2

閲覧ありがとうございます!


番外編の続きです。



しょうがなく焼かれた無害サークルを抜けて毒草ゾーンへ進む。

師匠の鞄から拝借した外套や手袋にバシバシ草木が当たる感覚があるので、この装備がなかったら即お陀仏だっただろうな。


ローブには着用者を怪我から守る機能があるので覆われていない足や顔に当たる草木も弾かれているというファンタジー仕様だ。



やっぱり師匠が魔法をかけたアイテムはレベルが違うな、と感心しながら歩いていると風景に変化が出た。





転移して来たサークルから10分ほど歩くと草木の背が足首くらいの開けた場所に出た。



カリギュラの市場にあった広場より少し狭いくらいのスペースで、奥の方に大きな岩が重なるようにして出来た崖とその奥に洞窟が見える。


狩りをするゲームでドラゴンが棲んでいそうだなぁと呑気に考えながら何となくそちらへ足を進めた。













洞窟の入り口に差し掛かったところで何かの呻き声のようなものが聞こえ、ふと我に返った。



あれ、もしかして私とんでもなく命知らずなことしてる?



時既に遅しとはこのことか。

女神様に毒されて危機管理能力が著しく低下していた私の頭はこの時正しくお花畑だった。






一際大きな唸り声のような低い音がしたと思ったら、体がフワッと浮かび後ろへ吹っ飛んだ。

岩場から落ちたのか浮遊感があったので衝撃が来ると思いギュッと身を縮こまらせたが、どうやら地面に叩き付けられる前にギリギリで静止していたようで幸い怪我は無かった。



瞬きの出来事で全く理解が追い付かず、何拍か遅れて女神様が魔法を使ったのだと思い至った。



ハッとして顔を上げると、そこには私を吹っ飛ばしたであろう巨大なドラゴンが岩場の上から顔を覗かせ地面を震わせんばかりの大きな咆哮を発した。


ローブを着ていても尚、咄嗟に耳を覆わなければ鼓膜が破れていたかも知れないと思うほどの音量に目も開けていられなかった。






この時なぜか以前、師匠にお出掛けと称してクイーンの棲家に連れて行かれたことを思い出した。


確かクイーンの棲家もファルファーラの森の更に西、砂漠地帯に繋がる渓谷にあったはずだ。




走馬灯のようにあの日の記憶が甦る。


怒り心頭のクイーンが吐いた炎がローブの端っこを焼いて、延焼しない内に脱ごうとしたら師匠に森の毒で死ぬから脱ぐなと怒られた。


結局燃えているローブの火を消そうと地面を転がっていたらすぐそばにクイーンがいて尻尾で叩き殺されそうになったり、師匠の放った魔法が広範囲の炎魔法でそれに燃やされそうになって必死に逃げた結果、渓谷の下に流れる川に落ちて溺れかけたり。


というか普通、渓谷とはいえ森の中で火属性のしかも広範囲魔法使うか?

危うく火達磨になるところだったし、森も焼け野原になるところだったんだぞ?


隣に師匠がいても全然安心出来なかったな……むしろ余計なことも思い出してしまった。





過去の思い出したくない記憶が呼び覚まされたせいか少しだけ冷静になれた様な気がした。





地面に転がったままでは良い的になってしまうので急いで障害物のある岩場へ駆け込もうと必死で走る私の頭に、呑気な声で咆哮を発したドラゴンへの不満を垂れる女神様の声が聞こえた。




『あら、随分なご挨拶だワ』


ーめめめ、女神様!


『心の声なのに(ども)るなんて逆に器用なことするワね』


ーそんな呑気なこと言ってる場合じゃなあいい!!





こんな会話をしている間もドラゴンはこちらへブレスらしき攻撃をしようとしているのか、口を大きく開けて何かを吐き出そうとしている。



左の岩場は隠れられそうだが、下手をするとドラゴンの攻撃で崩れて生き埋めになってしまうかも知れない。

しかし右は隠れられそうなところがなくあの尻尾の射程圏内で攻撃されそうだ。


尻尾は詳細は見えなかったがクイーンとはまた違う、爬虫類っぽくない硬い金属でも付いているような形をしていた。

見るからに何かの攻撃に使いそうな形状なので警戒する必要がありそうだ。




仕方なく左の岩が大きく迫り出しているところへ駆け込むと同時に熱風が押し寄せた。

直撃は免れたものの巻き起こった風でまた体が浮き、ごろごろと岩の隙間を勢い良く転がった。


今回は女神様が魔法で補助してくれなかったようで打ち身のせいか体のあちこちが軋むように痛み、更に岩に自生していた苔が剥がれ落ちてローブに沢山纏わりついている。


幸い切り傷や擦り傷はローブのお陰でなかったので生き埋めにならない内に奥へともたつきながら足を進めた。



熱風を感じた方向ではドラゴンの荒い息遣いが聞こえていて、私のことを探しているようだ。


少しでも立ち止まったり座り込んだりしたらもう立ち上がれないと確信できるくらいに怖い。


バクバクと煩いくらい脈打つ心臓の音が聞こえてしまっているんじゃないだろうか。

そう心配になり思わず胸の辺りで服を掴むとジャリ、と宝具のペンダントに触れた。





そうだ、あの時とは違うことがちゃんとあるじゃないか。


今この場に師匠はいないけど、女神様や女神様の魔力をサポートしてくれる宝具が。

少なくとも最初の不意の一撃を生き延びられたのは女神様の魔法のお陰だ。

だから諦めずに逃げれば絶対助かる!


ガタガタと震える足をそう叱咤して進んでいると、大きな岩同士が重なり合っていて殆ど行き止まり状態になっていた。

僅かに上から光が漏れているので隙間があるかもしれないが、そこまで足場になりそうな所がない。




やばい、これ以上進めない?どうする?あそこの隙間、登れないかな?



パニックになりかけている頭を必死に働かせるも、今使える魔法では登れそうにないし脱出には転移魔法しかないが私1人では座標なしに飛べない。





『ならあのドラゴンの巣に行っちゃえば良いワ。灯台下暗しってやつね』



女神様の楽しそうな声とともに周囲に光が満ちて、暗い岩場に慣れた目には刺激が強く目を閉じざるを得なかった。










目を開けようとして眩しさにまた閉じることを数回繰り返してやっと前を見られるようになった。


先程登っていた洞窟の中に似ている気がする。

女神様が言った通りならここはあのドラゴンの棲家ということになる。



もし見つかったら今度こそ本気で殺しにくるのでは!?

慌てて周りを見回し、ドラゴンの気配が周囲に無いことを確認した。

少し息を吐き出して気持ちを落ち着けると探索する余裕が出来た。




石ばかりが続く岩場で一ヶ所だけ地面が黒く焼け焦げている場所があった。

その中心部には何かの葉っぱが盛られている。



何か大事な物が置いてある?


行ったらいけない、と思う気持ちとなぜか惹き寄せられる気持ちを感じた。




惹きつけられるままに近付いて行くと、盛られた葉っぱの中に何かがあるのを見つけた。


上にある葉を少し退けると、中には丸い頭が見えた。


これは……


「たまご?」



.

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