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秘密の交流3

閲覧ありがとうございます!



籠を抱えアスマリアの部屋へ転移した筈だが、何故か部屋の主人は不在でいつもの場所には無愛想な従者しかいなかった。



「あれ?アスマリアは……」


「姫殿下は急用で先ほど席を外された」


「あ、そうなんだ」


「………」


「………」




え、会話終わり!?なんか喋れやーい!!


どどどどうしよう。こんな状況初めてなんだけど。

とりあえず座っていいかな?




おどおどとローレンスの顔色を窺いつつ、いつもアスマリアとお喋りをしているソファに向かい腰を下ろした。


するとなぜかアスマリアがいつも座っている向かい側のソファにローレンスが座ったのだ。

困惑してゆっくり彼の顔を見ると想像していた冷たい目はなく、なぜかあちらも困惑しているような気がした。


少し観察すると綺麗な顔を少し歪ませながら気まずそうに薄紫色の瞳をうろうろさせているのが分かった。

いつまでそうしていたか分からないが、そんなに経っていないと思う。

徐ろにローレンスから口を開いた。





「……あの時は、」


「?、はい」


「初めて会った時、強く捻り上げて悪かった」



そう言って銀色の髪を揺らして頭を下げた。


正直驚いた。

いくら今まで私がビビり散らしていたとはいえ、彼は仕事をしただけなのだ。

そのあとアスマリアに色々言われようともあの時の彼の判断は近衛として正しかった。


そりゃあ止められた後も手加減なしにやられたのは痛かったけど。

私が不審者なら、というかローレンス視点なら完全に不審者だったししょうがない。

彼だけに謝らせるのは気が引けたのでこちらもすかさず声を掛ける。




「そんな、私の方こそ急に部屋に来てしまって…」


「確かにアレは驚いた。まさか王宮に転移魔法で入って来られる者がいるとは思わなかったからな」


「あはは…はは、」




だよねぇ!?

アスマリアは何でか全然気にしてないけど警備がかなり厳重なはずの王宮に部外者がいたらそりゃあ驚くし警戒するよね!?


あまりの正論に苦笑いをするしか出来なかった。





「だが姫殿下の言っていた女神の使いであれば可能なのかと思っていた」


「っ!?いや、それは!」


「分かっている。どうせ姫殿下が勘違いされたんだろう?そういう人だ」


「なんか、すみません」




うわあああ!

黒歴史掘り返された気分だ…もしかしてあの時のことやり返されてる?

分かってて言ってるよね?


もはや思い出したくない過去にローレンスの目の前であることもお構い無しに頭を抱えてしまった。


そんな私の姿を見て初めてふ、と空気が漏れる音が聞こえて来た。

音源は一つしかないのでそちらを睨み付けた。

最初の時とは逆の空気と立場になんだか変な気分になる。



ローレンスってこんなに話しやすかったんだな。

3日前とは真逆の印象に単純過ぎでは?と自分に呆れてしまった。





「…笑わないでもらえますか」


「ふ、すまない。…くっ」


「止められてないですよ」


「止める気がないからな。ああ、敬語は必要ないぞ。姫殿下に使っていないのに俺に使うのはおかしいからな」


「……分かった」



話しやすくなったけど、色々すっ飛ばしていきなり馴れ馴れしさレベル上がってない?

これが異世界クオリティってやつか…。


転生してから同年代と話すの今年が初めてだからピティとかアストライオとかアスマリアには難しい言葉とか使ってないか不安になるけど、何故かローレンスは気にせず話せる。

年上だから?それとも貴族って大人っぽい子が多いの?

アスマリア王族だけどあんなだよ?



不敬なことを考えながら気安くなったローレンスに気になっていた年齢を聞いてみることにした。




「ねぇ、ローレンスって何歳なの?」


「俺は今年で10歳だ」


「10歳であの技術なの!?…何か特殊な訓練とか受けてたりするの?」


「?いや、近衛には引き抜きで入ったから騎士団の訓練は受けていないが」




おいおい、自己流であの動き?しかも10歳で?

そうなんだ、と返事をした私の口端が引き攣った。


おかしくないか?

ピティも大概だったけどローレンスもおかしいぞ?

これ、本当にこの世界の標準説が浮上してきた予感。



思えばカリギュラの港町でアストライオに腕を引かれた時も森で採取とかして前世より全然運動してたはずなのにめちゃくちゃバテてたし。


私、もしかして体力全然ない?もはや運動音痴疑惑すらある?

アスマリアも鈍臭そうだけど彼女は王族だからそもそも運動しなさそうだもんな。




「公爵家の講師は兄上達に着いているから、その講義を横で聞きながら俺自身は独学で剣も座学も学んだ」


「誰か師事出来る人はいなかったの?」


「着いても教育係くらいだな。元々最近まで辺境へ養子に送られる予定だったからそこで教育を受ける予定だったんだが」


「引き抜かれちゃったのね」


「そういうことだ」




公爵家に居場所がないとは聞いていたけど、思っていたより苦労性なんだな。

私は自己流だけど教えてくれる人がいるから間違っていることはすぐ指摘して貰えるし。


そばに見本がいても見様見真似だけで技術を高めるのはかなりの努力が要るというのは考えずとも分かることだ。

その点彼は腐らずに努力を続けたということだろう。



ローレンス的には中央に残ることになったのは良かったんだろうか。

もし辺境へ行けば中央へ帰ることは難しくなるが、少なくとも今よりはマシな教育が受けられるわけで。




「ローレンスは辺境へ行きたかった?」


「…正直、辺境へ行けばこの先の未来は殆ど決まっていた。跡を継ぐ為の勉強をして、恐らく領地から出ることもなかっただろう」



決まっているが安定した未来か、自由だが誰にも頼れない未来か。

今の彼が選べるのはこの二つしかないんだろうな。


無表情だとずっと思っていた彼の顔は、私が見ていなかっただけでちゃんと感情を表に出していた。

今はまるで迷子の、そう。カリギュラで見たアストライオのようにどうしたら良いのか分からない、そんな顔をしていた。



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