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秘密の交流2

閲覧ありがとうございます!



まさかの事実を突きつけられ、ティーカップを持つ手が震えた。


ど、どうしよう。王妃様に素人がお茶を作るとかしんどいが過ぎるんだが。

まぁさすがに一般人が作ったとは言わないよね。

きっとアスマリアがたまたま見つけたお茶で〜とか何とか言ったんだと思うけど。


何でだろう、無性に嫌な予感がするのは。

…アスマリア、たまに色々雑な時あるからな。




「来月のお茶会は2週間後です。それまでにいらっしゃれるので?」


「そうね!レヴィ、また近いうちに来て欲しいのだけどいつなら来れるかしら?」


「あー、次…えっと、じゃあ三日後…かな」





そう!!変わったといえば、これもだ!

最初の数回はまるで虫ケラでも見るような冷たい視線が何度も突き刺さっていたが、今やアスマリアとの会話にも平然と割り込んでくる様になったコイツ。


初対面で腕を捻りあげられた上に床に引き倒された恨み、忘れないからな!ローレンス!



しかしそんな過去などなかったかの如く涼しい顔で毎度しれっとアスマリアの傍に控えるその姿は忠実な近衛そのものだ。

顔の良さも相まって美しい姫とイケメンの従者のコンビとかいう恋愛小説とかに出てきそうな組み合わせの絵が完成している。




いつからローレンスの態度が軟化したのかは分からないが、初対面が最悪過ぎて未だに近くに来られると挙動不審になってしまうことがある。

私の反応を見てもなお近付いて来るのできっと奴はわざとやっているに違いない。絶対そうだ。



怖いのであからさまに威嚇することは出来ないが、臭い物に蓋をする的な習性でひたすら避けている現在である。

アスマリアとの会話中にローレンスが入ってきても極力関わらない様に、アスマリアにも話しかけるように返している。

だってもし怒らせたら今度は斬りかかって来るかも知れないじゃん!





「三日後ね!急にお願いしてしまったから大変だと思うけど、またすぐレヴィに会えるのは嬉しいわ」


「私も。アスマリアと話すの楽しいから頑張って用意して来るよ」




素直に感情を話してくれるアスマリアの言葉を聞くと心が癒される。

師匠は相変わらず無茶振り三昧だし来客は個性的だしローレンスは何考えてるか分からないし。


最近の癒しはアスマリアとの秘密のお茶会とわんこなアストライオとの文通とフェローのお世話だけである。





そういえばアストライオのお父さんはやっぱり壊血病だったようで、あれから濃縮ビタミン液を何日か摂取して大分体が良くなったらしい。

そんな内容の手紙が送られてきたので、ビタミン液が無くなったら普段の食事で多めに柑橘類の果物を摂るように指示を出しておいた。


歯の出血はまだ治らないようなので、頃合いを見て船医に診てもらうそうだ。


元気を取り戻したお父さんはアストライオに謝った上で経緯もちゃんと話したらしい。


なんでも、遠洋へ行って間もない頃にサイクロンに遭い保存食の一部が流されてしまったが、主食や漁に必要な物は残っていたし今帰っても採算が取れないことから強行したのだとか。


結局漁が終わるまでの数ヶ月は釣った魚などでやり過ごせてしまったので当初の予定通り航行したらしい。

その結果は言わずもがなである。


他に乗船していた漁師も似た様な症状が出ていたがアストライオのお父さんほどではなかったとのこと。

それでも念の為私が教えた対策を伝えておいたと手紙には書いてあった。















迎えた三日後。



日中は師匠が研究に熱中していたのでいつもの頼み事がなく、代わりに屋根の上にあるフェロー達の部屋を掃除したり毛繕いをして過ごすことにした。



長毛なフェローを中心に使い魔達の手入れは欠かせない。

ファルファーラの森は毒や眠りなど状態異常の固有魔法を持つ生き物や草木が多いため毛に花粉や毒虫が付着する可能性があるので、定期的に丹念なブラッシングやシャワーが必要になる。



特にドラゴンのクイーンは竜種の中でも最も美しいと言われるフルトゥレドラゴンという種類で、その特徴は蝶の様な暗い所でも淡く輝く翼にある。

クイーンの揺らめく炎ような赤い翼は見た目の割にとても鋭く硬いので手を切らないように気を付けて磨く必要がある。


僅かな光で発光する特殊な翼は使い魔契約を交わすと色が変化すると言われ、永きに渡り貴族を中心に愛玩の対象となっていて過去には乱獲も起きていた。


フルトゥレドラゴンはファルファーラの森の奥深く、人が立ち入れない強力な魔物達の棲家がある山や洞窟などに棲息する。




この世界は自然の占有率がとても高く、以前見せてもらった地図で見る限りこのファルファーラの森一つで日本の関東地方が入ってしまうくらいには広いと思われる。


私たちが住んでいるパピヨンカーズは森から見ればまだまだ入り口で、師匠が人の住めるように周辺を改造して建てたそうだ。







師匠の研究がひと段落するのを薬草茶を作りながら待っていたら夕方になってしまった。

そのままみんなの夕飯を作って寝支度を早めに終わらせていたらあっという間に約束の時間である。


確か依頼された魔法薬の納期が近かったので本当は研究している場合では無いのだが、こうして息抜きに1日好きなことをさせないと師匠が爆発するのでしょうがない。

明日は死ぬ気で頑張ってもらおう。


師匠をその気にさせる方法を思案しながら加工したお茶の葉を瓶に詰めて乾燥石を入れる。

仕上げに効能を書いたカードを紐で瓶に結び付けて3つ程出来たそれを籠に入れ、割れないようにハンカチを入れた。




ここ数ヶ月、毎回同じ場所へ転移しているせいかアスマリアの部屋を軽く思い浮かべるだけですぐに魔法が発動するようになった。


いつもの光が収まるとそこにいたのは笑顔を浮かべるお姫様がいる……はずだった。

部屋にいたのはお綺麗な顔面を持ちながら無表情かつ無愛想なアスマリアの従者だけ。



え、なんでローレンスしかいないの?


.

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