秘密の交流1
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あの後も何回か交流を重ねた。
大体月1から3回くらいのスパンでアスマリアの部屋を訪問している。
女神様に確認してみたところ、あの宮殿にはちゃんと感知魔法の結界が張られているらしい。
ただ女神様の固有魔法によって無効化されてしまっているので私が訪問しても結界に引っ掛かってはいないそうだ。
女神様の固有魔法ってなんぞや?
本人に聞いてはみたものの詳しくは答えたくないのか濁されてしまったのでやはり深掘り出来ず。
ただ魔法の無効化なんて今まで聞いたことがないし、特殊魔法について師匠達に教えてもらった時もこれについては何も言っていなかった。
というか人間が固有魔法を持っているというのも初耳だし。
聖女は例外として、火属性魔法や水属性魔法などそれぞれ得意な魔法や相性の良い魔法は誰しもがあると聞いていた。
特殊魔法も中には得意としている人もいると言っていたので、それが固有魔法ってことになるのかな?
女神様だからそもそも人間に分類されないとか?
それともアシッドグリズリーやフェローみたいに個体や種族ごとに持ってる魔法があるってこと?
なんて考えてみても答えが出ることはなかった。
この世界についてはまだまだ分かっていないことの方が多いのだから、すぐに答えに辿り着けるとは思っていないが。
数回の逢瀬を経てアスマリアとは大分打ち解けられたと思う。
今も今月初の訪問中なのだが、優雅な仕草でお茶を飲む彼女は控えめに笑いながら穏やかに話している。
最初は甲高い声で叫ぶ様に言葉を発したり見下した言い方がかなり多かったが、話しながら少しずつニュアンスを変えた言い方で静かに話していたら徐々に汚染されてくれた様だ。
よくあるよね?
話し方とかイントネーションとか言葉の選び方とかテンションとか、相手から移っちゃうあれ。
言葉遣いは本人があまり意識していないところだと違和感なく入っていくが、逆に周囲にはよく分かる変化だと思う。
よしよし、と内心満足気に頷いていたのだが、ここで誤算が生じてしまった。
あまりにもアスマリアが突然に色々と大人しくなったので誰かが入れ知恵でもしたのではないか、と周囲の貴族や侍女が勘繰り出したのだ。
今までかなり人使いが荒かった様なのでこの反応で何となく察した。
だって彼女話の中で侍女がひと月に何度も入れ替わるとか、近くの侍女に呟いたことを他の侍女が把握してなかったからキレたとか言ってるんだよ?
それを聞いてこの人マジで言ってらっしゃる!?と目を剥いたものだ。
現代ならパワハラで即アウトなことを平気で連発していたし、王侯貴族ってそういうのが当然なのか?と最初は勘違いしそうになった。
でも夜中一人で部屋にいるはずなのに多少騒いでも何も起こらないことが全てを物語っていた。
仮にアスマリア自身が私の訪問中は人払いをしていたとして。
それでも防音設備が完璧なわけじゃないから叫んだりすれば声は多少なりとも外へ漏れるだろう。
ここへ誰かが来たことはない。
つまりそれは部屋の近くには護衛どころか侍女すらもいないことになる。
それって、おかしくない?
お姫様だよ?しかもまだ子供。
護衛は毎回ローレンス一人で子供とはいえ男だし。
普通は見張りの一人くらいいるものでしょ?
ローレンスは公爵家の三男だから最悪婿入りさせれば良いんだろうけど、帝国の皇子と婚約させる予定なのに仮にも護衛が一人なのは私でもマズイって分かる。
やっぱりアスマリアって…嫌われてる、よね?
「そうだわ、この前お母様がレヴィのくれたお茶を褒めてたのよ」
「ぐっ、ごふ!ごほ…」
「飲んだらとても化粧ノリが良くなったと大層褒めていたわ!来月のお茶会で是非振る舞いたいと言っていたの。また頂けないかしら?」
「ごっほ、ん、ん!……いや、それは…良いけど」
は?なんでそうなった?
アスマリア嫌われ説を思考していたところに突然爆弾を落とされて完全にお茶が気管に入ってしまった。
おかげでまともに声が出せるまで咳が止まらなかったし、今も喉の奥に痰が絡み付いている。
ちょっと待って??
王妃様にあの試作品を振る舞った?
まだまだ改良の余地があるあれを?
私自身は当初何も考えずに王女様に振る舞ったことはしっかり棚上げしてそう思った。
二度目の訪問時に持参したお茶が思いのほか好評だったので何度か持ってきたのは覚えている。
ただあれは美容効果もそうだが、アスマリアの希望で入眠を助けたり目覚めを良くする効果も重視したので美容特化とは言い難くなった代物だ。
もはや美容茶というより健康茶に近い。
「お母様は少し前まで夜中に足先が冷えて目覚めてしまったり、朝起きた時に体が怠くなってしまうお悩みをお持ちだったの。わたくし、レヴィのお茶を初めて飲んだ後とても寝つきが良かったものだから何度か勧めてみたのよ」
そうしたら、とても良かったと喜んで下さったの!
しかもお肌の調子も良いと言われていたわ!
にこにこと嬉しそうに話すアスマリアを尻目に私の心は冷や汗をかいていた。
え、あれってアスマリアの症状じゃなかったの!?と。
もしかして侍女達が勘繰るとかって、それも入ってたりする感じ?
心なしかカップを持つ手が震えたのは言うまでもない。
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